ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE①/【潜神】・【腐神】・【蛇神】VS【銃神ヴォルフガング】/戦闘開始・【赤の特級魔術師・ルビーラ】

 
  俺が王様に謁見して4日、町は大騒ぎだった
 この大陸から逃げ出す人・最後まで残った人・武器を持ち闘う人……みんな、生きるために闘ってる


 現在の状況はあまりよくない
 レッドキングダム軍は、騎士団200・冒険者200・魔術師100・傭兵150の約650、商人ギルドはギルドマスターのみ参加している
 それに対して【魔神軍】の先兵はモンスター約1000に〔神の器〕3人だ


 〔神の器〕の戦力は1人がモンスター1000匹以上と言われている
 絶望的な数字だ。しかし希望はまだある……まずひとつはアグニだ。


 アグニはモンスターを倒すのを手伝ってくれるらしい
 ただしモンスターだけ、クラスメイトとは必ず俺が決着を付けろとのこと
 たとえ俺が死ぬことになっても手は出さないという
 俺はそれでもいい、アグニは俺が必ず勝つと信じてる……だから勝つ


 もう一つは【赤の特級魔術師・ルビーラ】が参戦することだ
 彼女の属性は【赤】火の魔術を得意とする。【赤】だけなら間違いなく俺より強い
 しかし彼女の【特級魔術】は発動呪文に約2分掛かる、なので前線の後方で魔術支援を担当する


 そして騎士団の斥候部隊が入手した情報によると、敵モンスターは特に部隊化してるわけではなく、ただ約1000匹という数がいるだけで進軍してる
 このままだとあと3日ほどで王都に入られるとのことだ


 グランドレッド軍約650は北へ前進し、プレオ平原と王都グランドレッドの中間地点でぶつか
 俺はみんながモンスターを食い止めている間に3人を倒す
 3対1……でも、やるしかない


 【神器ジンギ】の破壊。アグニ曰く神器は物理攻撃でも魔術でも破壊は可能らしい
 それを俺が出来るかどうかに掛かっている


  俺たち〔グランドレッド軍〕はもうまもなく戦闘地域に突入する
 俺は軍から離れて単独行動。軍は街道を北に向かって進軍しているが、俺の視線は見知った人物達を捕らえていた


 メリッサ・アリン・クレアである


 正直、冒険者を廃業した彼女達に俺は闘ってほしくない。これ以上傷ついてほしくない
 出発前に彼女達と話してみたら、答えはみんな一緒だった


 「ジュートさん、私たちだってこの町が大好きです。大事な物を守るために闘います!!」
 「そーだよ!! 花嫁修業始まったばっかなのに、町をメチャクチャにされてたまるもんですか!!」
 「私はこの町の出身じゃ無いけど、大事な友達のためですもの……闘うわ」


 俺は何も言えなかった
 俺と闘う理由が俺と全く同じなのだ……これ以上戦うなと言うのはただのエゴだ




 そして、プレオ平原南端でついに両軍は激突する




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 開幕の一撃はルビーラだった


 それはとてつもない大爆発だった
 普通の人間、普通の魔術師では起こせない奇跡の魔術


 何が起きたか分かったのは、この魔術を知る王都の魔術師のみ
 それ以外には全く分からないだろう


 これが【特級魔術師】
 これが人間最強の魔術師




 その一撃はモンスターの約半分、500体を焼き尽くした




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 人間は基本的に属性は1つだけ、それは農民だろうと【特級魔術師】だろうと変わらない
 属性を融合ブレンドさせることが出来るのは神だけなのだ


 しかし、【特級魔術師】はその常識を覆した
 1つの属性を融合ブレンドさせる


 ルビーラが行ったのは【赤】【赤】【赤】の融合ブレンド
 すなわち【固有属性エンチャントスキル】の発現。神にのみ許された属性


 【赤の特級魔術師・ルビーラ】の【固有属性エンチャントスキル】・『煉獄審判ティタノマキア


 これがルビーラが【特級魔術師】たる所以の、人間の使える【赤】の最強魔術


 それは膨大な炎を極限まで圧縮し、敵の中央で爆破炎上させる魔術


 しかしその消耗は並ではない
 3日に1発しか撃てない切り札でもあるのだ
 そしてその魔術を使うとルビーラはほとんど動けなくなる
 最初の一撃で数を減らし、あとは仲間達に全てを託す




 そして、ルビーラはそのまま気を失った




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 「おいおい、なに今の……【神話魔術】か?」
 「バカね。人間に【神話魔術】が使えるワケないでしょ?……ククッ、【上級】いや【特級魔術師】って奴の魔術ね。フフッ……面白くなってきた」
 「ホラ見て、人間達とモンスターが戦い始めたよ。そろそろ行く?」
 「そうしようか。よーし、何人刈るか競争しない? 負けた人が今日の夕食当番で」
 「いいわよ。ヒヒッ……楽しくなってきた」
 「よし、じゃあ行こっか……って、あれ?」
 「ん? どうしたの……………ああ?」
 「ヒヒッ…………」










 「みんな、久しぶり」




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 俺は今〔神の器〕の3人、達俣土丸たつまたつちまる毒嶋得巳ぶすじまどくみ久薙縄真毟くちなわまむしの前にいる
 俺がこの3人の前に出れば、少なくても後ろのみんなに攻撃されるのは……たぶん防げる


 「ジュート君?……嘘、だってキミは死んだはず……?」


 土丸が首をかしげて俺をを見ている


 「運良く助かってな。土丸、元気だったか? 相変わらずの鉄道オタクなのか?」
 「いやぁもう鉄道は卒業したよ。もっと楽しいことを見つけたからね」


 土丸は邪悪な笑みを浮かべてる
 俺はもう1人の女子に話しかけた


 「毒嶋さんも、久しぶり」
 「ヒヒッ…………どうも」


 こちらも様子がおかしい……なんか恐い


 「………久薙縄さん」
 「なに? 死んだはずの人が私たちの邪魔するの?」


 俺はムダかも知れないが、叫ばずにはいられなかった


「みんなお願いだ!! 神器を捨ててくれ……もうやめよう。【魔神】は間違ってる、みんなこの世界の人を見ればわかるはずだ!! この世界の真実を知ればきっと……!!」


 俺のすぐそばを風の刃が通る
 その刃を放ったのは……


 「土丸、お前……」
 「やーれやれ、ジュート君。あそこで死んでればよかったのにね」
 「あ、そうだ。ねぇねぇコイツ連れ帰ってさぁ……今度は私たちで処刑しようよ。みんなまだ【神の箱庭サンクチュアリ】から出れないからさ、みんなのストレス解消にぃ……ヒヒッ、どうかなァァ?」
 「それいいね、どうする……三人でやる? それとも一人ずつ……あーん私やりたいなぁ!!」


 やっぱり、闘うしか無いのか
 頭の中でクロの声が響く


 《ジュート、覚悟は決めたんでショ!! やりなサイ……そして勝ちなサイ!!》


 わかったよクロ
 俺はこんな所では死ねない


 俺は右手に【雄大なる死グロリアス・デッド】を右手に投げナイフを構える
 そして、話し合いが終わったのか土丸が前に出てきた


「いやぁーおまたせおまたせ、最初は僕が相手するね。はぁ……殺さないように気をつけなくっちゃ。じゃあいくよっ!!」


 土丸は素手で闘うのか構えを取る
 格闘主体か? でも隙だらけだ




 俺は全力で土丸に向かって走り出した





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