ホントウの勇者

さとう

王都レッドキングダム②/3人娘・喫茶プフランフェ



 「あ、あのあの……えっと、その…おひさしぶりです!! あなたにもらった〔エーデルシュタイン〕、大事にしてます!!」


 とメリッサが緊張しドモリながらいい


 「おにーさん、また会えてすっごくうれしいよ!!」


 とアリンが涙ぐみながら笑顔で言い


 「はぁ…お礼もさせて貰えずいなくなってるから、ずっと気になってたのよ。また会えてうれしいわ」


 クレアが微笑を浮かべる


 「よう久しぶり。元気だったか? また会えてうれしいぜ」


 俺はそう言って3人に挨拶する
 今更だが俺たちは自己紹介してなかったのでお互いに自己紹介をした
 ここで俺の観察癖が火を噴くぜ


 メリッサは剣士の少女だ。身長は俺のちょい下……だいたい165センチくらいで髪型は薄い茶色のショートボブで〔エーデルシュタイン〕の髪飾りを付けている。顔立ちはかなりカワイイ、瞳もぱっちりしてるし薄い唇は健康そうなピンク色だ。装備は金属製の胸当てに肩パッド、腰に皮のベルトを巻いていて細い剣をぶら下げていて左腕には小さな盾を付けている。足は短いスカートにスパッツを履いてすね当てを付けてて全体的に軽装だ。そういえば大蜘蛛との戦いではけっこう早い動きで蜘蛛の攻撃をかいくぐってたし、スピードタイプの剣士なんだろうな


 アリンは弓士。身長は150くらいかな? 小さくてスレンダーな感じ。髪型は赤のポニーテールで、髪を留めているリボンに〔エーデルシュタイン〕を付けていて髪の長さは肩の少し下辺りまで伸びている、顔立ちはチョット子供っぽいような笑顔が似合う妹系のカワイイ顔だ。装備は全体的にメリッサと同じだが、武器が弓なので背中に矢筒を背負っていて腰にはナイフを装備している。弓は動物の骨を加工して作ったような、全体的に白っぽい弓だ
 ん? よく見ると弓に何かついている。コレは魔石だ、たぶん魔力を流すと弓の弦を引く力が上がりやの威力が上がる……そんな魔道具かもしれない


 クレアは魔術師。属性は確か【黄】だったな…冒険者の魔術師はほとんど中級だって聞いたことがあるからたぶんクレアもそうだろうな。身長はメリッサよりやや高い、髪型は黒のセミロングで顔立ちは全体的に色っぽい、カワイイと言うよりは美人と言った方がいいな。装備は後衛だからか鎧はつけていない、紫のワンピースに紫のローブ、黒いブーツを履き、頭には〔エーデルシュタイン〕を付けた紫の魔女っぽい帽子をかぶってる。【黄】属性なのになんで紫なんだろう?…まあいいや、そして手には木で出来たワンドを持っている。それにしてもクレアは色っぽい、胸もでかいしスタイルも抜群だ


 ちなみに全員17歳らしい……以上、観察終了。と同時に俺の腹が鳴った


 「あの……お腹すいてるんですか?」
 「ああうん、買い物しててね。ちょうどお昼にしようと思ってたんだ」


 りんごを食べながら朝イチで町に入り買い物して今がちょうどお昼時だ、このタイミングはもしかして


 「そっか、じゃあ一緒にご飯食べよーよ!! ジュートの冒険の話を聞きたいしね!!」
 「そうね…あなたにいろいろ聞きたいこともあるし」


 やっぱりね。俺もみんなの話を聞いてみたいし、冒険者になるにはどうすればいいかも聞いてみたい。断る理由もないしお願いしよう、と思っていたらクロが俺の肩の上にジャンプしてきた。お前も腹減ったんだな……って、アグニはどうしよう


 《うい~…っ。ようよう、オレのコトは心配すんな~~っく……うめえ酒も~つまみもあるしよ~~っく、楽しんでこいや~~……がっはっはっは!!》


 こいつめちゃくちゃできあがってんじゃねえか!!……もういいや、ほっとこう


 「じゃあお願いしていいかな? 実は今日の朝この町に入ったばかりでこの辺りのことよくわからないんだ、出来ればコイツの分も食べれるところがいいな」


 俺はそう言ってクロをなでる。よしよしかわいいやつめ


 「わかった。じゃあスッゴくおいしいお店に案内するね!!」
 「アリン、まさか……」
 「……あそこしかないでしょうね」


 メリッサとクレアは心当たりがあるようだ。まあ俺としてはうまければなんでもいい
 そう言って俺たちは歩き出す……俺はなんとなくクロをクレアに渡してみた


 「ちょっと、なに?」
 《……………》




 いや、魔女と黒猫って絵になるなーって思って




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 「ついたよー。ここが王都で一番おいしいお店!!」


 ついたのは町の中央からやや外れたところにあるおしゃれなカフェだった
 〔喫茶プフランフェ〕……なんかいい雰囲気だな
 アリンの先導のもとお店に入る……ほぉぉ、いい感じだ。中は全体的に森を感じさせるイメージで植物がたくさん飾ってあり緑が目に優しい。天井はガラス張りになっていて光が降り注ぎ、魔道具だろうか……優しい音楽が流れていて気持ちがとても落ち着く
 席は4人掛けが5席のカウンターが4席でこじんまりとしている。隠れ家的立地のせいか、お昼時なのにお客はゼロだった。するとお店の奥から赤い髪の女の人が出てきた


 「いらっしゃい。って…アリンじゃないか。おや、メリッサちゃん、クレアちゃんもいらっしゃい。そちらの方は?」


 するとアリンが俺を紹介する


 「ただいま、おかーさん。えっとね…この人はジュートさん。私たちの命の恩人なの!!」


 おかーさん? なるほど、ここはアリンの実家か。アリンが俺との出会いの経緯を話してる


 「まぁまぁ……娘がお世話になりまして、娘を助けていただきありがとうございます。申し遅れました私はアリンの母のマリンと申します」
 「おかーさん、わたしたちご飯食べに来たの。おいしいモノいっぱいつくってね!!」


 俺も自己紹介をしようとしたらアリンに阻まれた。どうやら空腹に勝てなかったらしい……俺は苦笑いをしながらマリンさんを見ると、マリンさんも苦笑していった


 「すみませんこんな娘で……お席でお待ちください、当店自慢の料理をお持ちしますね」


 俺たちは窓際の4人のボックス席へ移動する。席順は俺の隣にメリッサ、前にアリン、横にクレアだ。ちなみにクロはクレアの膝の上で丸くなっていてクレアが優しくなでている。いろいろ聞きたいことあるけれど、まずはみんなのことを聞いてみるか。


 「みんなはさ、どうして冒険者になったんだ?」


 すると3人は、恥ずかしそうに、うれしそうに、懐かしそうに言った。


 メリッサ、アリンは〔王都レッドキングダム〕出身、クレアは【青の大陸ネレイスブルー】の出身らしい


 メリッサは父親が平民ながらも城に勤める騎士らしく、そんな父親に憧れて子供の頃から剣を振っていた。そしていつか自分もこの国の騎士になると誓い、修行の一環で15歳で冒険者になったらしい


 アリンはこの喫茶店の看板娘だが、父親は猟師で小さい頃はよく一緒に狩りに出てたらしい。そこで彼女は弓の才能を開花させて父親を驚かせた、彼女は自分の弓がどこまで届くか試すために両親の反対を説得して15歳で冒険者になった


 クレアは【青】の大陸の〔魔術都市ウィルエンデ〕出身の中級魔術師で、魔術都市にある学校〔ウィルエンデ魔術学院〕の生徒らしい。【赤】の大陸に来たのは魔術能力向上のために留学という形で3年間の滞在を許されているらしく、クレアは15歳の時にこの〔王都レッドキングダム〕にやって来た。そして魔術能力を上げるには戦闘が手っ取り早いので、王都に着くと同時に冒険者ギルドに来たらしい


 そこで同じ日に3人は冒険者ギルドで出会った、それぞれの事情を理解して一緒に戦うことにした。というのが彼女たちの出会いだ。なんか運命的な出会いだな


 そこまで話を聞くとマリンさんが料理を運んでくる


 「おぉぉ……うっまそーっ!!」


 そこに並んだ料理はすごい量だった。パスタに野菜のスープ、山盛りのポテトに、ローストビーフ、バスケットには焼きたてのパンがたくさん入っていて空腹を刺激する。クロには焼いた魚が2尾と肉と野菜が少し添えてあり、もう一枚のさらにはミルクがたっぷり入っていた


 「さあ召し上がれ!!」




 「「「「いただきます」」」」




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 「いやーうまかった。ごちそうさまでした」


 なんていうかその、家庭の味…そんな懐かしい味がした。親父、母さん…元気かな
 少しだけしんみりするとクレアが俺に質問してくる、膝の上には再びクロをのせていた


 「そろそろあなたのこと聞かせてちょうだい。ジュート、あなたは何者? 何故上級魔術を使えるの? 上級魔術師は8大陸共同で管理されているわ、でも上級魔術士名簿であなたの顔も名前も見たことも聞いたこともない。複数属性を操れるなんて神だけよ……あなたは一体?」


 俺は彼女たちに俺の事情を話すべきか迷った、メリッサもアリンもクレアも俺の顔をじっと見つめている。するとクロの声が頭に響く 


 《ヤメテおきなサイ、アナタの敵は神よ、人間がどうこう出来る相手ジャないワ。彼女達を危険に晒すだけヨ》


 そうだよな、それにコレは俺の戦いだ。誰かを巻き込むなんて絶対にいやだ……言い訳はしない、嘘もつかない。俺は3人に言う


 「ゴメン、事情は言えない。俺は大事な物を取り戻すために戦っている……みんなを巻き込むワケにはいかない。コレは俺の戦いだから、ホントにゴメン」


 そこまで言うと3人は力を抜いて笑う


 「そうですね、初めて見たときから大きな何かを背負ってる……そんな印象を受けました。きっと私たちの想像のつかない大切な物なんですね……うらやましいです」
 「ジュート、わたし応援するね。そのくらいしか出来ないけど、ジュートならきっとできるよ!!」
  「わかったわもう聞かない…ごめんなさい。私たちに何か出来ることあるかしら? 力になるわよ」


 俺はみんなに聞きたいことを聞くことにした




 「ありがとうみんな、チョット聞きたいんだけどさ……冒険者ってどうすればなれるんだ?」




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 俺は3人娘と分かれて宿に戻ってきた
 明日の朝〔喫茶プフランフェ〕で朝食を取ったらそのまま冒険者ギルドに案内してもらう予定だ。ちなみにメリッサとアリンは実家があるからいいがクレアは2人の家を交互に泊まっているらしい、今日はメリッサの家に泊まるって言ってた


 あ、そういえばあの飲んだくれトカゲのことすっかり忘れてた。仕方ない様子を見に行くか


 《仕方無いワネ、様子を見に行きまショ》




 俺とクロは魔術空間への道を開き〔セーフルーム〕へ




 《グォォォォォッ!! ガァァァァァァッ!!》


 「………………」


 《グォォォォォッ!! グオッグォォォォォォッ!!》


 《………………》




 こ、コイツ買った酒全部飲みやがった!?
 辺りには空の酒樽20本、つまみは食い尽くされ辺りはゴミだらけ、あ……クロがプルプル震えてる


 《ニャアァァァァッ!! 起きろォォォォォッ!!》
 《ンガァァッ!? なんだなんだぁっ!?》
 《アンタいい加減にしなさいヨ!! ワタシの作った空間をこんなゴミだらけにして……アンタは昔からだらしなくていい加減で、第一酔っ払いすぎてルーチェミーアに火炎を吹きかけるわ、クライブグリューンをつまみ代わりにしようとするワろくなコトしないじゃナイ!! もうお酒禁止ヨ!!》
 《き、禁止だとぉ!? ふざけんな!! 第一クライブグリューンもあんときは酔っ払ってたし、食わせようとしたのはナハトオルクスのやつだぞ!?》
 《ウルサイ!! これ以上喋ると次元の狭間に閉じ込めるワヨ!!》




 はぁ……なんかどっと疲れた。今日はもう寝よう
 

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