ホントウの勇者

さとう

王都レッドキングダム①/買い物・再会



 俺とクロは今現在〔王都レッドキングダム〕に続く街道をゆっくり歩いている


 「はぁ、のどかだな……」


 王都に近づくにつれてモンスターが少なくなっていき、数時間前からは全く出てこないのだ。まあ出てきても今の俺の敵じゃ無いけど


 この辺りの風景は今までとは少し違う。この街道の道はきちんと整備されてるしmいままでの道は所々に大きな岩や砂利などが無数にあり歩きづらい所もたくさんあったがここはきれいに整地されていてとても歩きやすい。まあ修行には向かない道路だ


 周りの風景も緑が多い。岩場や高台みたいな地形はあるがちゃんと草や木が至る所に生えている、こんなに緑が多いと言うことは水が豊富にあると言うことだ……っていうか川が流れていた。俺の推理も冴えてんな。するとクロが


 《少し休みまショ》


 と言う。こいつがこんなこと言うなんて珍しいな……まあいいけど


 俺は川の近くにある大きな木の下に腰掛ける。クロも俺の隣に香箱座りで休憩する…すると突然俺の近くに赤い紋章が輝きだしアグニが現れる。


 《ふわああああぁぁぁ……まーだつかねえのかよ、退屈だぜ。モンスターでも出ねえかなぁ》


 と、そんなことを言う。物騒な奴だな


 ちなみにアグニがいるのはクロが作った空間の中だ。クロは攻撃用の魔術は全く使えないが【時】属性……すなわち時間と空間を操る魔術を使い、クロ曰く本来の力が戻ればもっとすごいことが出来るらしい


 アグニがいる空間にアクセスする魔術を教えてもらいその空間に入ってみたけど、そこはなーんにもなかった。本当にただの空間だ……俺はこの空間を〔セーフルーム〕名付けた


 この空間の特徴は、現実と同じ時間が流れていると言うことだ。【九創世獣ナインス・ビスト】には人間や亜人に見られるとマズい姿の奴もいるのでこの空間に入ってもらい、必要なときに出てきてもらう。そういうときのためにクロが作った部屋だった


 その言い方だとなんかほかの【九創世獣ナインス・ビスト】も連れて行くの? って思ったが力を借りる以上連れて行かないとやっぱりダメらしい


 〔セーフルーム〕は何もないただの白い12畳ほどの箱状の空間だ、確かにアグニも退屈だろう。王都に着いたら家具や魔道具を買って部屋を飾り付けるのもいいかもな、あと酒もいっぱい買っておかないとなぁ


 クロ曰く〔セーフルーム〕は部屋の増設が出来るらしい。それいいな、【九創世獣ナインス・ビスト】にそれぞれ個室を作って、俺も自分の部屋を作って、この世界の本をいっぱい集めて書斎なんか作りたい……やべえ、めっちゃ楽しそう


 俺がそんな妄想に酔いしれていると知らずにクロが言う


 《王都に着いたらまずは宿を確保しまショ、それから必要なモノの買い出しと装備の点検をしておきなさいネ……マァずっと修行づくしだったから、王都を観光するのもイイかもネ》


 なんかクロがやさしい。まあたしかに修行漬けで待ちどころか人間や亜人も全く見ていない、というか修行だけで60日……2ヶ月も経っていたなんて驚いた。ええと、一日24時間×60=1440時間。〔カマクラハウス〕内での時間を合わせるともっとか、俺は修行してたのか……以前の俺だったら考えられんなぁ。するとアグニが


 《まぁおまえはかなり自分をイジメてきたんだ、ここらで少し自分にご褒美くれてやれや。余裕のねえ人間になってら俺たちもつまんねーからなぁ……おいクロシェットブルム、素直にそう言えよ、もしかして照れてんのかぁ?》
 《う、うるさいワネこのバカ!! 亜空間に閉じ込めて永遠にでれないようにしてあげるワヨ!!》


 クロさんがなんかかわいいです。俺は自然と隣にいるクロの頭をなでる……よしよし


 《にゃっ!? ニャにすんのよ!?》
 「ありがとな、クロ」
 《…………フン》


 とまぁそんな感じで休みつつ和んでいると、アグニが言う


 《情報を集めんなら冒険者になっちまった方がいいな。依頼でいろんな国に出かける冒険者ならこの大陸以外のことや【魔神軍】のことも何かしら知ってる可能性がたけぇ、お前のクラスメイト達は異世界人だし、異世界人特有の匂いがある。何かしら痕跡があるかもしれねぇな》
 《確かにネ、でも【時の大陸クローノス】から出ていない可能性もあるワヨ。あそこにある【神の箱庭サンクチュアリ】で力を磨いて異世界人全員が【神器ジンギ】を使えるようになっていたら、マズイわよ》
 《まあな、この8大陸の戦力じゃあ出来てせいぜい時間稼ぎだ。【特級魔術師】がいてもそれは変わんねえだろうな……神ってのはそれぐらい強えーんだよ。神を倒すには神の力、すなわちお前の力だ。プレッシャーを掛けるつもりはねぇがこの世界はお前に掛かってんだぞ、今更だがヴォルのやつはよくあそこまでやったよな》


 いやそれ普通にプレッシャーだから……と言うか毎回気になることがある。【銃神ヴォルフガング】の【神器ジンギ】だ


 「なあ、【銃神ヴォルフガング】はどんな【神器ジンギ】を使っていたんだ?」


 俺の予想はある。だって【銃神】だもんな


 《オレたちはよくわかんねえがヴォルは【銃】っていってたぞ? 変な筒から弾が出るんだよ、あいつはそれに【無】の力を加えて戦ってたぜ》


 やっぱそうか、銃か……っていうか俺、バリバリの近接タイプなんだけど。今度は射撃の訓練もしないといけないなぁ、っていうかこの世界に銃なんてあるのか? 王都の武器屋に聞いてみるか


 でもこれで俺の戦闘スタイルの形が決まった。近接はナイフと格闘・間接技、中距離は投げナイフ・魔術、そして遠距離は【銃】、すなわち【神器ジンギ】……よーし、早く【神器ジンギ】を目覚めさせなきゃな


 《まあとにかく王都で少しハメはずせや!! 酒を飲むのもよし、女を抱くのもよし、カネはあんだろ? まあ贅沢しろや、がははははははっっ!!》


 声でけえようるさいな。それにしても女を抱く……まあ興味が無いわけではない。俺も男だし、でも


 俺は何故か静寂さんや弓島さんを思い出してしまい、ごまかすように立ち上がる




 何故か二人のことが頭から離れず、俺は再び王都へ向かって歩き出した




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 「やっとついた……ここが〔王都レッドキングダム〕か、すごいな…!!」


 俺は今正門に立っている……でかすぎる、それしか言えない
 町の中に入るとその全貌がなんとなくつかめた。正門をくぐってすぐにあるのは幅80メートルはある道路で、この道路が町の中央に向かって延びている


 俺はその道路をゆっくり歩き出す。道路の両サイドにはさまざまなお店があり、宿屋・酒場・武器・防具・魔道具・魔術用品店・パン屋・道具・肉屋・娼館……それも一軒や二軒どころじゃなく沢山ある。人の往来も様々で、冒険者・亜人・馬車のようなモノやヴォーズ渓谷で見た冒険者3人娘が乗っていた車モドキも走ってる


 そのまま町の中央まで来るとココは大きな広場になっていた
 大きさは学校の校庭より大きい町の運動場って感じだ。町の子供がボール遊びをしていたり、様々な露店が店を構えて辺りからとてもいい匂いがする。さらに冒険者ギルドもココにあった、明日来てみよう。とにかく活気があるな、楽器を持った楽団が音楽を演奏していたり、冒険者達がパーティの勧誘なんかもしている


 中でも一番驚いたのがこの町の城だ。どーなってんだありゃ?


 この中央広場から先に行くとそこは高い崖になっている。その上に巨大なお城が建っている……ん、よく見ると崖の先端にワイヤーのようなモノがつながって


 あ、あれはロープウェイだ……こんな技術があったなんて。すごいな、でも城に用事はないな、行ってみたいけど


 とにかく宿を探すか。こういうのは大抵中央広場に……あ、あった。〔ホテルレッドキングダム〕この王都の名前を使うくらいだからきっといいところだろうな、よーしここにしよう


 このホテルは5階建ての建物で中はとても広く清潔感タップリだった、いいね。カウンターに行き部屋が開いているかを確認する、ちなみに受付嬢は亜人のお姉さんだ……うさぎ?かな、部屋が開いているみたいなのでそのまま10日分の宿泊料金を前払いして、朝食だけオプションで付ける。だってこんなに飲食店あるから毎日違うとこで食べてみたい。ちなみにクロは一緒で大丈夫だった


 受付でカギを貰い部屋に入る。俺の部屋は3階だ…おお結構広い、しかも窓を開けると町が見下ろせる。なかなかイイ部屋だった


 10分ほど休憩してすぐ町に出かける。いろいろ買い物しなきゃいけない……まずは道具屋だ


 俺はこの町で一番大きな道具屋に来ていた。道具屋というかスーパーマーケットみたいなところで、今までは〔カマクラハウス〕があるから食料や寝床には困らなかったがそういうわけにもいかなくなる。どちらかと言えば〔カマクラハウス〕は修行のための寝床で普通の冒険には向かない寝床だ。だって時間が経過しないから……だから俺は〔セーフルーム〕に家具やベッドなど生活の場を作ろうと考えていた。それに、いざというときの隠れ家にもなるしね


 と言うわけでまずは食料を買い込む。この世界の野菜・肉・果物・香辛料をとにかく沢山買う。何回かに分けて買い全部〔カマクラハウス〕に収納した。ついでに食器や調理器具も新しく購入しておく、アグニも仲間になったし他の【九創世獣ナインス・ビスト】も仲間になるかもしれないからな


 次は魔道具屋、ここではいろいろ買い物しなきゃな。今までは特に必要なかったからスルーしてたけど、どんなモノがあるか改めて見よう


 まず目についたのがランプだ。中の魔石に魔力を通すと発光する誰でも使えて一家に一つは必ずある魔道具だ。取りあえずひとつ買おう…あとはキッチンだ。こんなのもあるのかよ、コンロのようなモノがついていて魔力を通すと火が出るしくみだ。よしコレも買おう……うーん、あとは特にない。さみしい、どちらかと言えば必要なのは家具だな


 と言うわけで家具屋に来た。ココでは沢山買い物しよう。買ったのは、ベッド・ダイニングテーブル・イス・食器棚・毛布・布団・アグニ・クロ用の布団……などなど100万ゴルドほど使っていろいろ揃えた。支払いを済ませると定員が出てきて運搬のコトを聞いてきたが、俺はやんわりと断りその場で魔術を使い〔セーフルーム〕に送った。やべ、店員が口をあんぐり開けて呆然としてる……よし逃げよう


 俺が次に来たのは酒屋だ、アグニのために酒をいっぱい買ってやろう。中に入ると樽の中に入ったお酒が沢山あり、陳列棚には瓶もある。すると頭の中で声が聞こえた


 《おい、酒を買うなら麦酒と葡萄酒をたくさん頼むぜ!!》


 わかったわかった、ていうかなんだ今の? 頭の中で聞こえたぞ? まあ後で聞いてみるか。俺は麦酒を樽で10本・葡萄酒も樽で10本購入し、ついでにコップとひしゃくも買った。するとまた頭の中で声がした


 《うおおおおおっ、きたきたぁ!! おいはやくこっちに送ってくれよ!!》


 落ち着け、全部飲むなよ


 支払いを済ませて魔術で送る。あ…やべ、またやっちまった。店員が驚いてる……ありがとうございましたーと言って俺は逃げ出した


 防具屋はいいや、やめとこ必要ないし……シャムスさん、サニー元気かな。【青】の大陸に入る前に〔商業都市グランセン〕によれないかなぁ


 そんなことを考えながら適当な武器屋に入る。よし、投擲用ナイフを買おう……俺は投擲用ナイフを200本ほど買い、別な武器屋でさらに200本、さらに……を繰り返し、2000本ほどのナイフを買った。買いすぎたかな? まあいいや


 いやーー買った買った買いすぎた。こんなに買い物してもまだ1500万ゴルド以上残ってる。改めて〔アダムズアップル〕に感謝しなきゃ、俺が修行中の主食だったからな、不思議といくら食べても全く飽きない本当にいいりんごだ。サンキューアップル


 さて、メシでも食うか。俺はそう思いクロに言う


 「さーてクロ何食べる? やっぱり魚か?」
 《アナタね、マァそれでいいワ……ん? ねえアレって》
 「んん?……あれは?」


 そこで俺は見知った顔を見つけた。向こうも俺の存在に気づいて驚いている、そして俺の方に向かって走ってきた……こんなとこであうなんてな




 それはシューロ村であった冒険者3人娘。 メリッサ・アリン・クレアの3人だった





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コメント

  • ヒカッチ

    セーフルーム名付けた
    セーフルームと名付けた

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  • ノベルバユーザー333647

    主人公、目立過ぎてやばくね?
    敵が主人公死んだと思ってるうちに鍛えてるのにその内バレそう。

    敵は凄い力を持った神と魔神に神の力を持ったクラスメイトでしょう?
    向こうも馬鹿や間抜けばっかりじゃないよね?

    いや、最大の敵がちゃんと死んだの確認もしてないから馬鹿ばっかりか?
    なら安心!

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