ホントウの勇者

さとう

〔大火山ボルカニカ〕③/戦闘訓練・最終テスト



 それから俺は訓練漬けの毎日だった


 でも不思議と辛くない、もちろん体力的な意味では辛いが、強くなる実感が沸くにつれて修行がとても楽しく感じている。俺の場合は異空間で休みを取るため1日をほぼフルに使えるのだ


 日が落ちても俺の【白】の魔術で光玉を生み出し、昼間のような状態で訓練を続けた。魔術を発動させて状態で訓練を続けていたので魔力の総量も上がり、【白】属性は上級魔術まで使えるようになっていた


 《オラオラまだまだスキが多いぞ!! 自分の動きと相手の動きを常にイメージしろ!! 攻撃の手を緩めるな!! おらおらその足は飾りか!! 左右の手と足の組み合わせを一定にするな!! どこ狙ってやがる、ナイフ投擲は致命傷にはならねぇぞ!! 四肢を狙って相手の動きを制限させるんだ!!》
 「はいすみません!! うぉぉぉぁッ!!」
 《甘いッ!!》


 強烈な一撃が俺の腹を抉る
 

 「があっぐああっ!?」
 《よーし休憩、 暫く休め。次はナイフ投擲の訓練だ》
 「ばい……ありぎゃとう、ございまじだ……うぷ」


 俺は殴られた腹を押さえつけながら言う。あの体のどこにこんなパワーがあるんだよ


 アグニはすごい指導者だった。身長は俺の半分以下なのにそれを感じさせない動きで常にホバリングした状態で俺に格闘の構えを取らせ、その動きを矯正して今の形を作った


 足技に関してはまず関節を柔らかくする事から始めた。ストレッチや柔軟をたっぷりして訓練終了後に温泉に入ったあともたっぷり柔軟する事を毎日やる、俺の1日はほぼ24時間なんで日付の感覚がまるでないが、何日?何週間?か経つと俺の体はかなり柔らかくなっていた。しなやかさと柔軟性を兼ね備えた筋肉だとアグニも言ってくれた。なんかうれしい


 ナイフ投擲は最初は全く当たらなかった……まず最初にナイフの持ち方から始め、そして投げ方を教わり投げるが全く当たらない。あ、ちなみに的はアグニが近くの森から木を採ってきて作ってくれた。何日か訓練していると的にはあたるようにはなったがまだまだ命中率は低い、格闘と合わせた訓練でとにかく投げる、投げる、投げる……!!


 やっと的に100%当たるようにはなったがそれは固定された的に対してだけだ。当然実戦ではまるで役に立たない……なので次は移動する的を狙う。クロが魔術で木の的を不規則に動かしそこにナイフを当てるが、難易度が桁違いに上がった。命中率はゼロに近い……アグニ曰く的を追うのではなく的の動きを先読みし投げる、言うのは簡単だけど本当に難しい。とにかく投げる、投げる、投げる、投げる………


 動く的も当てられるようにはなった。コツを掴めばもう簡単だ、言葉を理解するんじゃなくて体で理解した。しかしナイフがそろそろ少なくなってきた。100本くらいあったのに残り30本くらい、でもまだまだできるな、よし次!!




 次は俺が動きながら的を狙って投げる訓練、これは次元が違う……アグニと格闘しながら的を狙う訓練はアグニに気をとられ的を狙えず、的を気にするとアグニの攻撃に対応できない。それでも投げる、投げる、戦う、投げる、戦う……!!




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 あれから更に何日か経過した。はっきり言って俺のナイフは百発百中だぜ!! アグニと戦いながらクロが時折的を投げる。命中、さらに戦い投げる、命中


 《なかなか様になってきたじゃねえか。無論まだまだだけどな、しかしその辺の奴等にゃあもう負けねぇだろうよ、最初の頃のお前の数十倍は強くなってるぜ》
 「でも、まだアグニには全然勝てないけどな」
 《バッカ野郎、オレに勝てるわけねぇだろうが!! オレは500年自分を鍛えてんだぞ? 真の力を封印されてるとはいえ、まだ3割程度の力でお前の相手をしてんだぞ》


 なるほどねえ、これで3割ってどんだけなんだよ……って今なんかすごいこと言わなかったか?


 「な、なぁアグニ。真の力ってなんだよ?」
 《あぁん? クロシェットブルムから聞いてねーのか? オレ達【九創世獣ナインス・ビスト】は本来、神と契約しないと本来の力が出せねーようになってんだよ、ヴォルの奴は契約したはいーけどオレらの力を全く使わなかったからなぁ……まあ使わなくてもあいつに勝てる神はいなかったけどな》


  へーえ、そうなんだ……まあたしかに伝説の神獣っぽくないしなぁ。どうみても黒猫とトカゲだし


 《とにかくもう少し修行したら最終テストだ。そのテストに合格できたら王都に向かうぞ!!》




 よーし…… 気合い入れますか!!




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 俺は今アグニと向かい合っている。体調は万全、装備も大丈夫、左右の袖の二の腕の部分にはナイフが6本づつ、計12本収まっている。俺が軽く体をほぐしているとアグニが言う


 《これから最終テストを始める。内容は簡単だ、魔術意外の持てる力全てを持ってかかってこい……クロシェットブルム、合図を頼む》
 《わかったワ》


 俺は右手に【雄大なる死グロリアス・デッド】を逆手に構える。左手はなにも持たずに構える……アグニは不適な笑みを浮かべてる




 《始メッ!!》




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 クロの合図と同時に俺は飛び出した


 そして一瞬でアグニの前に出るとナイフを横に振る。狙いは首────しかしあっさりかわされるが想定の範囲だ。右足を軸にして半回転して蹴りを放つ、同時に左手で右腕の二の腕に収納されてる投げナイフを3本抜き取る


 「おらぁっ!!……チッ!!」
 《甘いぜッ!!》


蹴りがかわされ、そのまま左足で着地と同時にバックステップ。ナイフを投げるナイフを投げるが…躱された


 俺は一度ナイフをホルスターにしまい両手で投げナイフを3本づつ構え再び突進した


 すると、アグニが恐ろしいスピードで突っ込んで来る。アグニの狙いはカウンターの一撃だ!!


 「ッッとぉ!?」
 《おぉっ!?》


 なんとか躱しすれ違う、するとアグニの背中が見えたのでナイフを全部投げる


 「おいおいなんで後ろ向きでかわせるんだよっ!?」


 俺は右手に投げナイフ、左手に【死の輝きシャイニング・デッド】を抜くと……アグニがいない、下だ!?


 アグニが拳を突き上げ……狙いは、アゴ…俺は体を反らしギリギリ躱した


 そして、強烈な一撃が腹のど真ん中にぶち当たった


 「ッッがぁあぐッッがぁっ!?」


 アゴはフェイント、本命は…腹。俺は腹をうたれ倒れる寸前でアグニの前に飛び出し──アグニは驚いた顔をしてニヤリと笑い前に飛び出した


 俺とアグニは正面から向かい合う。そして右手のナイフを投げる───フリをしてやさしく放り投げる。フェイントだ、アグニが驚いてるスキに左足で蹴りを放つ


 「おぉぉぁっ!!」
 《ッとぉ!?》


 当たったがガードされてる、そのまま左手のナイフを振下ろすが弾かれる───ヤバい、体制が不安定だ!!


 「ギッガッグッガアぁぁぁぁぁっ!?」


 連続でパンチをもらう。が…倒れないで俺は突進した


 俺は両手に【雄大なる死グロリアス・デッド】と【死の輝きシャイニング・デッド】を構え、最後の突進をする。アグニもトドメのために突っ込んでくる




 そして、俺はナイフを投擲した




 俺は今までこのナイフ、【雄大なる死グロリアス・デッド】と【死の輝きシャイニング・デッド】は切ると突く以外の使い方をしたことがない。だからこそ敢えて投げる




 アグニは今度こそ驚いて回避し…俺はその目の前に踏み込み拳を構えアグニの顔面に突きだした














 《ま、今のは少し驚いたぜ》














 そんな言葉が聞こえ……俺の意識は闇に落ちた




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 あ、あれ……どうなったの? なんで俺寝てんの?…… 俺の側にはいつの間にかクロが座ってる。するとクロが


 《アナタは負けたノヨ、最後にカウンターをもらってそのまま意識を失ったノ》


 マジで、全然覚えていない……するとアグニが俺の側に飛んできた。そして


 《おーう起きたか。早速だけどな結果を言うぞ───合格だ》
 「マジで……やったぜ!!」
 《勘違いすんなよ、必要最低限の強さは手に入れた。そういう意味での合格だ、これなら王都にいっても大丈夫だろうよ。いっておくがよ、修行はまだまだ続くからな》
 「わかってるよアグニ。これからもよろしくな」
 《おうよ。さあさあ支度してさっさと王都に行くぜ!! いやぁ久しぶりにうまい酒が飲めそうだぜ、がっはっは!!》


 そういうとアグニを赤い紋章が包み込みその場からきえた。どうやらクロの空間に行ったようだ。まあ世話になってるしな、王都でお酒をいっぱい買おう




 《ホント騒がしいヤツネ……さあ王都へ向かいまショ、王都はここから東に行ったところへあるワ》
 「よーし、行くぜクロ!!」




 新しい仲間、【赤】を司る神獣【アグニードラ・インフェルノ】・・通称アグニを加えて、俺たちは〔王都レッドキングダム〕へ旅立った





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コメント

  • ノベルバユーザー333647

    戦闘しながら投げた的に当てるの100発100中でも人にはあんまり当たんないよ。
    だって人間は思考するから的とは全然違う。

    拳銃の扱い上手い人でも実はそんなに命中率高くないのと同じですね。
    当たっても狙ってトコには当たらないのが現実。

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  • くあ

    なんでナイフ減るの?

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