ホントウの勇者

さとう

〔大火山ボルカニカ〕②/格闘訓練・みんなでご飯



 「……………」
 《まあ、こんなところか》
 「……………」


 完敗だった……手も足も出なかった。俺の攻撃が全く当たらず、全て躱された


 《ま、体力だけは一人前だな。1時間以上も全力で攻め続けるなんて普通の剣士にゃできねえな、お前の心肺能力はかなりのもんだ。そこは認めてやる」
 「………………」
 《だがほかは全然ダメだな、たとえば双剣。腕の動きでどこに攻撃が来るか丸わかりなんだよ、それに無駄な動きも多すぎる。1でいい動きに2と3を足して6の状態で攻撃してる。そこそこの手練れだったら最初の一撃でカウンターもらって一発であの世行きだぜ?》
 「……そっか」
 《攻撃手段もだ。おまえの武器はナイフだけなのか? 切りつけるだけがナイフじゃねぇ、ナイフは基本的に刺突・斬撃だ、お前のはただ振り回してるだけ……いいナイフがもったいないぜ》
 「……はい」
 《さらにおまえは使ってんのは腕だけ…その足は飾りか? 足技を覚えるだけで攻撃手段はぐっと増えるぜ》
 「はい」
 《あとナイフの握り方、構え方、歩き方、間合い、視線や意識、を徹底的に体に覚え込ませる。後は相手はモンスターだけじゃねえ、お前のクラスメイトは人間だろう? ナイフを握ったままでもパンチは打てる、徒手術や関節技も習得してもらう》
 「はい!!」
 《ナイフ投擲術も重要だ。たとえば戦闘序盤には右手でナイフ、左手に投擲ナイフのスタイルで近・中距離タイプと思わせて、相手がなれてきたところで、左手にナイフ、右手は徒手術、関節技にスイッチ、さらに両手にナイフに足技の超戦闘スタイルなど可能性はいくつもある》
 「はい!!」
 《まずは近距離のスペシャリストになれ。オレの武術の経験値は500年、オレが仕込めばお前は間違いなく最強になれる。まずは自分の弱さを受け入れろ、そうすればお前は必ず強くなれる。自信を持て、お前は俺たちが認めた最強の神【銃神ヴォルフガング】の後継者だ》
 「はい!!」
 《今日はここまでだ、オレはお前の修行メニューを考える。風呂にはいって明日に備えろ、というかクロシェットブルムの魔術空間で休むんだったな……じゃあ休んだら出てこい、手加減しないからな》
 「はい。ありがとうございました!!」


 アグニの言葉一つ一つがオレの胸に突き刺さる。自分の弱さを受け入れる……わかってはいたがその通りだ。なんだかんだで俺はモンスターをたくさん倒してきたしそれなりに戦闘に自信はあったが、今日アグニと戦っていかに自分の運がよかったか実感した


 「よし、がんばろう!! いっぱいご飯食べて明日……いや後に備えて頑張ろう!!」


 俺はクロの魔術空間〔カマクラハウス〕にやって来た。そうそうこの空間の道の作り方をクロに教えてもらったから、俺も自由に出入りできるようになった。あ、そうだ。いいこと考えた


 俺はクロ直伝の空間魔術を使い自分の空間からある物を取り出した


 米に塩、野菜に鍋、調理器具だ。よし…野菜粥を作ろう


 俺は一度外に出て適当な岩石をひろいかまどを作り火を起こす。薪は岩場の外の森から適当に持ってきてと……野菜を食べやすいサイズに切り鍋に魔術で水を入れ米を洗い、かまどに火をおこし鍋をセットする


 「よし、準備完了!!」 


 鍋でお米を炊き……ちょっと堅いかな、まあ初めてだしこんなもんか。野菜を投入しお粥を作る。味付けは塩のみで完成!! 味見…うまい。やるじゃん俺、クロを呼んで食べよう


 「おーーい、クローー!! ご飯だぞーーー!!」
 《わっかたワヨ……? アナタがつくったノ?》
 「ああ、野菜粥だ。食材はこの世界のだけど調理方法は俺の世界のだ、2つの世界のコラボ料理だな……いっぱい食べろよ!!」
 《ヘェ、いただきマス……!?》
 「どうだ? うまいか?」
 《スッゴくおいしいワ!! コンナおいしいノはじめてヨ!!》
 「そっか。へへっ……よかった」


 俺も食べ始める……うん、うまい!! そしてしばらく食べているとアグニがやって来た、俺たちを見てちょっとむくれながら言う


 《おいおい、ウマそうなの食ってんじゃねーか、オレにもくれよ!!》
 「ゴメンゴメン、修行メニュー考えるって言うからてっきりいらないのかと…ホントにごめん」


 《おおおぉぉぉっ!! うんめえぇぇぇっ!! これが異世界の料理か!!》




 聞いちゃいねえ、今更だけどこいつけっこう単純バカだよな




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 《ネエ、ジュート。これからのコトを話しておきまショ》
 「これからのこと?」
 《エエ、ワタシ達の最初の目的はアグニードラにあって強くなることだったワ、ココでの修行が終わったら次は王都にいくワヨ》
 「王都?」
 《エエ。〔王都レッドキングダム〕……【赤の大陸グランドレッド】で一番大きな都市ヨ。そこでアナタのクラスメイトと【魔神軍】の情報を集めまショ》
 《なるほどな、【神器ジンギ】が覚醒してない状態で神とやり合うなんて丸腰で〔レッドオーク〕に挑むようなもんだ。【魔神軍】の動きを知っておけば戦闘にならないからな》


 そういうことか。でも【神器ジンギ】か……どうすれば覚醒するんだ? 【銃神ヴォルフガング】の武器、それさえあれば神と互角に戦える。シグムントの野郎もブッ殺せる


 《ソウしたらその次は【青の大陸ネレイスブルー】に入りまショ。あそこにイル【青】を司る【九創世獣ナインス・ビスト】・【ルーチェミーア・アロロツェーレ】の力をかりまショ》


 なんかまた噛みそうな名前だな。どんな奴なんだろう?


 《ルーチェミーアかぁ…オレ、アイツに嫌われてるんだよなぁ》
 《アナタがクシャミしてアノ子に火炎を浴びせたのが原因でショ!! アノ子は繊細なんだから今度こそちゃんと謝りなさいヨ》
 《わーーってるよ、うるせーーなぁ!!》
 「え?……アグニも一緒にいくの?」
 《あん? 当たり前だろ。格闘技なんかは毎日体動かさねーと技がすぐ錆付くからな。毎日訓練するならオレもそばにいた方がいいだろ? まあ心配すんな、必要な時以外はクロシェットブルムの結界の中にいるからよ。それに……ヴォルの魂を持ったお前と一緒に冒険がしてーからな》
 「アグニ……よしわかった。一緒に行こうぜ、みんなで冒険だ!!」
 《おう。まずは修行だな!! 準備ができたら早速訓練開始だ!!》
 「おう!!」




 よっしゃあぁっ!! 修行開始だ!!





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