ホントウの勇者

さとう

閑話 金村剣吾・【剣神ヴァイスキリング】①



 俺は金村剣吾かねむらけんご、高校2年生・剣道部所属の17歳。身長は185センチ、体重75キロのスポーツマンだ!! 自分で言うのも何だが体を鍛えまくっているから、同年代と比べると運動能力はかなり高いと思う


 そんな俺は今ベッドの上にいる、時間は7時45分……遅刻寸前だ!?


 俺の家は両親が共働きのため朝は早く家を出る。なので目覚ましはきっちり掛けておいたつもりなんだが時計の電池が切れていた……そんな馬鹿な


 自分の部屋から一階に降りるとダイニングテーブルに千円札が置いてある。朝食・昼食代だ。俺はマッハで着替えを済ませ、鞄と竹刀袋をつかんで家を飛び出した。


 しばらく走るとどうやら間に合ったみたいだ…同級生達がちらほら見え始める、俺は見知った顔を見つけると、その隣で歩き始めた


 「おっす、ジュート」
 「おはよう、剣吾」


 これもいつものやりとり、俺の幼稚園から今に至るまでの腐れ縁、無月銃斗むつきじゅうとだ。俺はこいつのことをジュートとよんでる。ジュウではなくジュー……そんなことはどうでもいい、俺は確信を持って聞いてみる


 「いやー朝起きるのギリギリでさぁ、朝メシ食いそびれたんだよ」
 「……それで?」
 「すまんなにかめぐんでください」
 「朝一番で食べ物の催促かよ……」


 あきれたように喋りながらも、鞄からチョコバーを取り出し俺に渡してくる。こいつはこういうやつだ、自分の周りの人間をよく見てる。以前にも俺が朝食を抜いて登校したときにパンをもらったりしたし、たぶんこいつは俺が朝食を抜いて登校してくるかもしれないからお菓子を鞄に一つぐらい入れておこう……」もし朝食を食べてきたらお菓子は俺が自分で食べればいい、とか考える人間なのだ。だてに幼稚園からつきあってない……それに甘いやつでもない


 「サンキュー!さっすがジュートだぜ!」
 「その代わり今日の昼飲み物オゴれよ」
 「おっけおっけ」


 対価はきちんと請求するところがこいつのいいところ。ギブアンドテイク、対等な関係。なんとなく不思議なやつなんだよな、クラスメイトでもめ事があっときに何故か無関係のこいつが仲裁役を買って出たり、俺は男女かまわず話しかけているが、不思議とこいつの悪口、陰口を誰も言わない、普通高校生だったら他人の話で盛り上がるのにジュートは男女かまわず好かれていた


 こいつに自覚はないが、ジュートのことが気になってる女子生徒がいる…というのはよく聞く話だ。しかしこいつは難しい本ばっかり読んでいて色恋の話は全くしない……枯れてんのか?


 そんな風に他愛のない世間話をしていると学校に着く。はぁ……憂鬱だぜ、俺にとっての学校の楽しみは昼食・休み時間・昼休み・部活動だ 


 ジュートと一緒に教室に入ると、ジュートは男女かまわず全員に朝のあいさつをする。中には不良っぽい奴や髪を染めたギャルもいたが、ジュートは笑顔で全員にあいさつする。そしてクラスメイト全員がちゃんとそのあいさつに答えてるのだ。しかも中には朝なのに顔を赤らめてあいさつする女子も何人かいた、まあ俺は年上好みなんでなんとも思わないが


 鞄を机に掛けてジュートの所に行く。小難しい本を鞄から取り出し読み始めたジュートに話しかける


 「まーた難しい本読んでんのかよおまえ、よく飽きないな?」
 「飽きるわけないだろ、知識は心を豊かにするんだぞ。おまえもマンガばっかり読んでないでたまには文学に触れてみろよ」
 「パス。俺は読書より運動してる方がいい」
 「それなら朝の神聖な読書タイムの邪魔すんなよ」
 「へーへーわかりましたよーだ」


 俺は適当な返事をして自分の席に戻る。ふああ……ねむい


 しばらくぼーっとしていると、教室後ろの入り口が開く。特に後ろを振り返りはしなかったが、カツン、カツン、と音がする。杖をつく音だ


 首だけで振り返りその音の方向を見ると、彼女…静寂書華しじましょうかが自分の席に着こうとしている。ジュートのやつ、さりげなくイスを引いて彼女が座りやすいようにアシストしていた。こういうことするからもてるんだろうな、静寂さんも顔を赤くしてうれしそうだし


 そんな風に二人を眺めていると今度は教室の前の扉が開く、あれは弓島黎明ゆみしまれいめいだ。彼女は仲のいいクラスメイトにあいさつをするとジュートの方を見る、するとたちまちむくれ顔になり、仲良く喋るジュートと静寂さんの方へ歩いて行った。ありゃどうみても嫉妬だ


 そのほほえましい光景を第三者視点で眺めているとチャイムが鳴った。そして教師が教壇の前に立ち、日直が号令を掛ける。


 「規律!礼!着席」






 その瞬間、世界が真っ暗になった






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 なんだ?……なにが起きた?……いてててて


 何故か俺は教室ではなく石造りの地面の上で目を覚ます


 なんだここ? 俺は辺りを見回すと倒れてるクラスメイト達、そして一人だけ立ち上がって一点を見つめるジュートを見つけた。ジュートのヤツ何を見てんだ?


 俺はジュートの視線の先を見るとそこは異様な光景だった。なんだあれコスプレ集団か? 金色ヘルメット、イケメン、梅干しババア、ゴリラ、超好みのおねーさんがステージみたいなところから俺たちを見下ろしていた。そして金ヘル金色ヘルメットが喋り始めた


 『よくぞ参られた、異世界の客人たちよ』


 なんだこの声…風邪でも引いてんのか? それに異世界だって? 訳がわからないまま金ヘルを睨みつけているとクラスの連中が


「異世界転移キタコレ!!」 
「ここどこ?…いったいなに?」 
「どういうこと?ワケわかんない!?」


 と、騒ぎ始めていた。俺は黙って金ヘルを睨み付けている…すると再び金ヘルが


 『ここはクローノス城、そして私が王のエルレイン・フォーリアだ、客人たちよ、突然のことで驚いたであろうが、一つずつ説明をさせていただきたい』


 ご大層な名前だな……俺はお前のこと金ヘルと呼ぶからな


 『まず最初に君たちを召喚した理由だが、我らのために力を貸してほしいのだ』


 そこまで金ヘルが話すと、クラス委員長の女子・羽蔵麻止はねくらまとめが叫んだ


 「私たちはただの高校生です、あなたたちの求めるような力はありません!! すぐに私たちを元の教室に帰してください!!」


 すげえな、さすが委員長だ。セミショートヘアの眼鏡美少女・羽蔵麻止……実は彼女もジュートに惚れているという噂がある


 そんなこと考えている場合じゃない。視線を金ヘルに戻すと再び話し始める


  『申し訳ないがすぐに帰ることはできない、【返還の儀】は季節や時間など一定の条件がなければ行うことができない。そして君たちは全員強大な力を持っている。』


  『異世界転移した人間はみな、この世界に伝わる伝説の神の魂を宿し現れる、君たちの中にはもう神の力が宿っているはずだ』


 『神の力は個人で違う、体のどこかに【神紋しんもん】が現れているはず。その紋章の色と形を見ればどの神が宿っているかわかる」


 金ヘルはそこまで喋るとイスに座った、代わりに壁際にいた兵士?達がガラスのボールを配り始める。クラスメイト達の雰囲気がだいぶ和らいできたので、俺はジュートの所へ向かった、するとすでに静寂さんと弓島がいた。俺は3人に向かって話し始めた


 「なんか変なことになってきたなあ」 と俺が言うと
 「たしかにねえ、でもなんかわくわくする!!」 と弓島
 「えっと……まだ状況がよく……?」 と静寂さん


 するとジュートが真っ青な顔で言う。




 「ここはヤバい……逃げよう」




 こんな顔のジュートは初めて見る……俺もいやな予感がしてきた。するとジュートの顔色の悪さが恐怖でおびえてるものだと勘違いした弓島がうれしそうに言う


 「なあに?……もしかしてジュートこわいの? アタシが守ってあげよっか?」


 おいおい……でもジュートの気を少しでも楽にできないかな、俺もその悪ふざけに乗る


 「おうおうお熱いねぇ!! やけどしそうだぜごちそーさん」
 「べべべ別にそーゆーんじゃないし!? あっちいってなさいよ!!」
 「へいへい……ジュート、またあとでな」


 とりあえずここは美少女二人に任せよう、俺は同じ剣道部員の所へ行く


 「おい、大丈夫か?」


 俺は同じクラスの剣道部員 盾守堅硬たてもりけんこうに話しかける。身長190センチ・体重95キロの巨漢、しかもこいつは肥満ではない。ステージ上にいるゴリラに負けないくらいのキン肉マンだ。特注の学ランの前のボタンを全開にして腕組みをしながら成り行きを見守っている感じだ。すると盾守は


 「………きな臭いな」


 オマエホントに高校生かよ、と突っ込む所だった。少し余裕が出てきたのか……すると突然ガラスボールが光りはじめた


 「なんだ!?」 
 「すげえ!!」 
 「キレイ……」


 クラスメイトも大騒ぎ、俺と盾守はおんなじ白い光が輝いていた。なんだこりゃ……と、その光が収まると突然右腕の甲に激痛が走り左手で押さえていた。盾守は左腕の甲を右手で押さえている……痛みが治まり右手の甲を確認する。なんだこりゃ、変なマークだな?


 するとクラスメイトがとある一点を見つめているのに気づく……そこにいたのは


 「………ジュート?」


 ジュートの紋章は未だに燃え続けている。なんだあれは……あのマーク、なんだあれ






 あれを見ていると・・・・・・・・ものすごく不愉快だ・・・・・・・・・






 何だこの気持ち、ジュートがむかつく。ぶっ殺したい・・・・・・


 「お、俺はなにを!?」


 俺は改めてジュートを見ると、ジュートは逃げ出していた・・・・・・・。まるでやましいことから逃げる犯罪者のように俺には見えた


 すると突然鎖が飛び出し、ジュートを拘束する。


 いい気味だ・・・・・ざまあ見ろ・・・・・


 違う……俺はあらん限りの声で叫んだ。何かをごまかすように・・・・・・・・・・


 「ジュートォ!! てめぇなにしてやがるこのヤロォ!!」


 梅干しババアが鎖を出したのが何故かわかっていたのでそちらに走り飛びかかるが、兵士に取り押さえられてしまった。これでいい・・・・・


 そして金ヘルがジュートに近づき何かを言う、そしてジュートは連れて行かれてしまった。










 ははは……










 ざまあ見ろ・・・・・ 【銃神ヴォルフガング】










 俺の心は・・・・・ドス黒く、温かいものに満ちていた





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コメント

  • ノベルバユーザー335554

    性格いいイケメンと比べんなよ‪w

    1
  • カツ丼

    きっと自分ではイケメンとは思ってないけど周りから見たらイケメンだっていう謙虚タイプなんだよ許してやれ。

    1
  • ノベルバユーザー333647

    ジュートのモテ設定は無理ある。
    普通平凡がモテる訳ない。

    何故ならこの年頃の女子はルックス優先。

    超性格いい平凡な普通メンと普通に性格いいイケメンならイケメン選ぶよ。

    というかジュートの設定だと良い人止まり。

    3
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