ホントウの勇者

さとう

魔術・修行



  強くなると決意した次の日…俺とクロはツタのカマクラの外に出ていた。ちなみにこの空間はクロが作り出した空間で、クローノス大陸が滅びる前の空間時間を凍結させているので、この空間にいる限り外で時間は経たないというよくわからん空間だ。まあ要するに、ここに何日いても年はとらないし、時間も関係ない、外に出ると時間が動き出すって感じか……うーんわからん


 《マ、気にしないで修行を始めましょう、やることがたくさんあるワ》


  さて…戦うと意気込んだ所で何をすればいいんだろう? 今のまま城に戻れば2秒で挽肉にされそうだしなぁ、こんな時は頼れる相棒に聞いてみよう


 「なぁなぁクロ……どうすれば強くなれる?」
 《ハァ…もうクロでいいワ、とにかくいまのアナタがするべきことは、【銃神】の力を覚醒させることよ。【銃神】の力が目覚めないことには意味がナイからネ》
 「覚醒?」
 《【銃神】は今アナタの中で眠っている状態なのヨ。アナタ自身の強い思いで力を起こしてアゲルのの。さあ目を閉じて……集中して》


 俺は言われたとおりに目を閉じて集中する。そしてクロの言葉に耳を傾ける。


 《【銃神】はアナタを選んだ……どんな異世界人にも宿ることのなかった【銃神】が。そこにはきっと意味がアル、ココロの中で呼びかけて》






 おい、俺の中に眠る【銃神】さんよ聞こえるかい。あんたの力を借りなくちゃいけないみたいだ…正直あんたを恨んだよ、勝手に人の中に入ってきたくせに、俺が拷問受けてても、残飯食わされても、死にかけてもあんたはうんともすんとも言わなかった。でも今はなんとなくわかるぜ、クロの話を聞いて理解したよ。あんたの力は誰かのため・・・・・の力だ。自分のため・・・・・の力じゃない。自分が死ぬことになっても、愛するもののため、家族のため、命をかけて戦ったあんたを俺は尊敬するよ、俺はあんたとは違う。でもホントウに守りたいもののために命をかける覚悟はある。クラスメイトを助けたい…ついでに・・・・あんたが・・・・守ろうとした世界・・・・・・・・も救ってやる・・・・・・から……力を貸せ、【銃神ヴォルフガング】






 そして俺の胸に温かくやさしい力が溢れてくるのがわかった。ゆっくり目を開けると濡羽色の光が俺を包んでいる。決してきれいな色とは思えなかったが、とても清らかな力を感じた。


 「すげえ、なんか……あったかい」
 《マ、マサカ……一度教えただけで、ここまでの解放ができるなんテ。アナタ一体何者ヨ!?》


 なんかクロがびっくりしてる。それよりこれどうやって止めるんだろう?……フンッ、止まれ!! あ、止まった


 「なあ、これでいいのか?」
 《エ、エエ。とにかくこれで蓋が開いたワ、まずは基礎中の基礎……【魔術】を習得してもらうワネ》
 【魔術】か。なんかそれっぽいのきたな!! ん…でも待てよ?
 「なぁクロ、【銃神】の属性ってなんなんだ?」
 《【銃神】の属性は【無】属性ヨ》
 「……そんな属性あったっけ?」
 《エエ、始まりの神【創世神ジェネシック・バオファオー】から授けられた【銃神】だけの属性ヨ。属性にはネ弱点があるの。赤と青・黄と緑・白と黒・雷と元。【時】は属性だけれど、攻撃的なチカラはあまりナイからね》
 「【無】属性ってのは?」
 《【無】属性は全てに通じるチカラよ。どんな色にも染まる無限の可能性、デモ裏を返せば、全ての属性が弱点ともなるノヨ》
 「全ての属性の弱点だけれど、それはこっちも同じってことか」
 《エエ、だからワタシ達、九創世獣ナインス・ビストが【銃神】を守っていたのヨ。彼は戦いにはワタシ達のチカラを使わなかったけれど、【加護】は受けていたからネ。全ての属性から身をまもっていたわヨ》
 「【加護】ってなんだ?」
 《そのままのイミよ、九創世獣ナインス・ビストの【加護】を受けるト、その属性にあわせた恩恵を受けられるようになるワ。基本的にはその属性の防御力が上がるわネ、ノーダメージとは行かないけれど7割くらいはダメージを減らせるワね》


 加護すげえ。俺もほしい……ってことは


 「じゃあいまの俺は、クロの加護を受けてるってことか?」
 《そういうことネ》
 「なるほどな。ん?…でも【時】属性って、攻撃的な強さはあんまりないってことは」
 《ウルサイわね!、ちゃんと意味はあるのヨ!そもそも【時】属性は他の属性と融合ブレンドするコトでその真価を発揮するノヨ!【時】属性単体では不老不死くらいの効果しかないワ!》


 悪かったよ。そんなに怒んなよ


 《トニカク!! 今のアナタは【無】属性、幸い全ての属性の【魔術】を使えるから、【生活魔術】から【神話魔術】までマスターしてもらうからネ!》 
 「はーい、先生」


 こうして俺の【魔術】訓練が始まった。そもそも【魔術】はこの世界に生きる人たちなら子供から大人、じーちゃんばーちゃん関係なくみんな使えるらしい。一般的なランクが




 【生活魔術】・・日常で使う魔術。〔魔石〕に魔力を込めて動かす道具〔魔道具〕を使ったり(ツタカマクラの中のランプも魔道具らしい)、クロが俺の体と制服を乾かしたやつとか


 【下級魔術】・・小規模な魔術、ちゃんとした教えを受けない一般人はこの辺りまでしか使えないらしい


 【中級魔術】・・中規模な魔術、教えを受けた魔術師が最初に当たる壁。ここを乗りきれるかで魔術師として生きていけるか判断するらしい


 【上級魔術】・・大規模な魔術、これを使える魔術師はそんなにいない。そういうのは大低国が管理してるらしい。あとは魔術学校の先生とかやってるらしい…ってゆーか魔術学校なんてあるのか、面白そう


 【特級魔術】・・超規模な魔術、これを使える魔術師は8大陸で8人しかいない、その国の最強戦力らしい。神には劣るけど、人間相手では無双できる強さらしい


 【神話魔術】・・神しか使えない最強魔術、人間が操る力とは性質も規模も違うため、神の奇跡とも呼ばれてる。異世界人の俺でも【銃神】の魂が宿ってるから使えるらしい。ってことはクラスメイトのみんなも使えるってことだよな




 《ト、まあココまでが【魔術】の種類ネ。今のジュートは魔力の蓋があいた状態だから【魔術】を使えるハズよ。まずは簡単な【生活魔術】を使いこなして体を少しずつ慣らしていって下積みを繰り返すノヨ。無意識で【生活魔術】を使えるようになれば【下級魔術】を使える段階に入るワ》
 「なるほどな、なんかワクワクしてきたぞ!早く最初の【魔術】教えてくれよ!」
 《あせらないノ、まず最初に魔力の性質を感じてもらうワ。ハイ、これを手にもっテ 》


 クロがしっぽをくるんと回すと、何もない空中に紺色の紋章が輝いた。そしてクロのしっぽから光が飛び出し、俺の前で光が浮かんでいる、その光の下で手を構えると、ぽんっと10センチくらいの水晶が現れた。なんだこれ?


 《ソレは〔錬金石〕、魔力を通すコトで色が変わる石ヨ。魔力の色をイメージして、魔力を流してミテ、そうね……まずは【赤】をイメージしてミテ》


 俺は言われた通りにやってみた。頭の中で【赤】をイメージして魔力を放出する……すると、石が真っ赤に染まった。おお、やるじゃん俺


 《ナカナカうまいじジャない、次は【青】、次は【黄】、次は【緑】》
 「ちょっ、は、早いって!ちょっとタンマ!」
 《モウ…一瞬で切り替えできるくらい出来ないト、お話にならないワヨ!》




 おもしれえ、やってやろうじゃねえか!!




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 あらからどれくらいたったのか・・・・俺はひたすら〔錬金石〕の鍛練を行っていた。起きて、りんごモドキ食って、鍛練して、寝て、を何十回か繰り返した。その成果が




 《【青】、【黄】、【白】、【灰】、【赤】、【緑】………ヨシ、いいワヨ》
 「ふぁああ……あれ? もう終わり? もっと早くてもいいぜ」


 かなり上手くなったと思う。今では思っただけでその色を出せるようになった。ふふん、どうだ!!


 「合格か? よっしゃ、なら早く次の【生活魔術】教えてくれよ」
 《ハイハイ、それじゃあ次のステップネ、早速だけどジュート、上着を脱いで、川の水で濡らしてキテ、アナタに【乾燥】の魔術を使ってもらうワ》


 よっしゃあ!俺は迷うことなく学ランをずぶ濡れにして、クロの前に持っていった。


 《サア、イメージして……アナタの上着が乾くイメージよ、そして魔力を練り上げて放って》


 手を服の前にかざし、言われた通りにやってみた。服が乾くイメージ…魔力を練り上げ放つ、この間1秒……すると俺の手から青い紋章が現れて手のひらから光が飛び出す。そしてその光が上着を包み込むと、上着は一瞬で乾いていた。あれ? なんか簡単だったぞ?


 《フフ、簡単だったでショ?》


 俺の心を代弁してくれたのか、クロが言った


 《アナタの魂に、すでに魔力の色が刻み込んであるワ。あとはイメージ次第でどんな魔術も自由に使えるワヨ。魔術を使う時に、アナタの魂が自動的に仕様魔術にふさわしい色を選びだしてくれるからネ》


 なるほど、そりゃ便利だな。〔錬金石〕の訓練はこれのためだったのか……さすがクロだな


 《魔力を瞬時に切り替える技術は、【特級魔術師】レベルヨ、神と戦うんですもの、これくらいは最低条件ヨ》


 これが最低条件かよ? 神様はどんだけ化物なんだ?


 《【生活魔術】は今のアナタなら無意識レベルで使えるハズよ、このランプで試してミテ》


 俺は言われた通りにランプに手をかざす、するとランプが明るく輝き初めた


 「ただ手のひらをかざしただけなのに、俺なんにも考えてなかったぞ!」
 《ソレが無意識で魔術を使う、ということヨ。この様子なら、下級、中級魔術も問題なく習得できそうネ!》


 こうして俺は、クロの指導のもと魔術を習得していった。何十日たったのかしらねーが全ての属性の【中級魔術】までマスターしたころクロが言った。


 《ジュート、アナタにそろそろ教えておくコトがあるワ》
 「なんだよ改まって、いいから早く【上級魔術】教えてくれよ」
 《いいから聞きなさい、イマまでアナタに教えたのは全て魔術よ。でもね、神本来の力はその程度の物じゃないワ。全ての神は自分だけの・・・その神を象徴する武器、【神器ジンギ】を持っているノ》


 「神器?」


 《ジュート、アナタは【銃神ヴォルフガング】の神器を発現させればまだまだ強くなれるワ。だから……》










 《旅に出るワヨ!》




 「ええっ!?」







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