ホントウの勇者

さとう

状況・決意

 
 神様が勇者?【魔神軍】? 8つの大陸? 頭が混乱しそうだ、というかもう混乱している。最初から聞けばいいの最初が間違っていたかなぁ……俺の表情を見て黒猫がため息をつく


 《ハァ…落ち着いて。いきなりじゃわからないのもムリないワ。まずこの大陸から説明するわネ》


 「は、はい。お願いします」


 《まず、この世界は九つの大陸に分かれているノ。ワタシたちがいるこの大陸は【時の大陸クローノス】……九つの大陸の中で最も強い力を持った神々が住む大陸ヨ》


 「【時】ってどういう意味だ?」


 《それぞれの大陸には【属性】があるのヨ。 地水火風の四大魔素エレメンツ、光闇雷元の四高魔素アンチフォース。【時】はそのすべてを超越した属性、故に神の持つ属性と言われているノ》


 それってもしかしてあのときの水晶の色か? そういえばあのとき金仮面のやつが言ってたっけ、紋章の色と形で神の力がわかるって。あれ……じゃあ神様の属性って


 《神々は複数の属性を備えているノ。【時】はすべての神が持っている属性ヨ、そこにほかの属性を融合ブレンドさせて作られる【固有属性エンチャントスキル】を持っているノ》


 なるほど、じゃあシグムントやほかの3人も複数の属性を持ってるってことか


 《神々は最低でも3つの属性を持っているワ、その中でも【魔神エルレイン・フォーリア】は最強の【固有属性エンチャントスキル】・『終焉世界ワールドエンド』を持つ最強の神ヨ》


 あの金仮面そんなヤバいやつなのか?……なんか恐いな


 《そして魔神の直属親衛隊【王ノ四牙フォーゲイザー】の四人。【空神シグムント】・【獅子神レオンハルト】・【薬神ナーカティック】・【歌神ローレライ】は6つの属性を操る最強クラスの神ヨ》


 マジかよ、絶望的なんですけど


 《まだあるわヨ。あなたたち異世界人に宿る神様たちがいるワ、さすがにどんな神が宿っているかワカラナイけれど、きっと【王ノ四牙フォーゲイザー】によってかなり強くなっていると思うワ》


 剣吾、静寂さん、弓島さんたちもか……でもどうして?


 「そんなに強い戦力を集めてどうするつもりなんだ?」


 神の軍勢、【魔神軍】とはよく言ったもんだ。これだけ強ければこの世界に敵なんていないんじゃないか…………ん、まてよ……おい、まさか






 《簡単ヨ、【魔神軍】はすべての大陸を征服して、神だけの楽園・・・・・・を作ろうとしているのヨ》






 そんなまさか、そんな世界大戦みたいな争いのために俺たちは召喚されたってのか


《異世界召喚は今まで何度か行われたワ、でもみんな失敗してるのヨ。召喚と同時に死亡して、死体だけがこちらの世界に来るなんてのは当たり前だったワ。500年前の対戦時にいた神様たちはみんなヤラレちゃったからネ。戦力確保に必死なのヨ。そして今回の召喚で無傷の若い少年少女が40人も手に入り、最も厄介な【銃神】は始末できた。【魔神軍】はキット動くワヨ》




 《それジャア最初の質問ネ。【銃神ヴォルフガング】は【魔神軍】を裏切って8大陸を守る側についたのよ。その理由はネ……》






 黒猫はうれしそうに、寂しそうにつぶやいた






 《愛するものを守るために、彼は戦ったからヨ》






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 《神様はネ【時】属性を持っているから死ぬことがないの。その強大な力を持って世界を神様の楽園にして、神の国を作りあげ永遠を作り出そう。そのために8大陸の生物すべてを亡き者にしよう……これが【魔神大戦】の始まり。その計画は100年後と決められたワ。おのおのの神が力をため、準備をする中で【銃神ヴォルフガング】は8大陸の生物たちに興味を持ったのよ。そして力を隠して人間になりすまし、8大陸を渡り歩いた…あるときは冒険者になり人間の仲間とパーティを組んで、あるときは商人になり世界の交易を見て回って、あるときは妻をめとり養子を迎え幸せに暮らしてみた。【銃神ヴォルフガング】は気づいたのよ、この世界に生きるすべての命の強さを……神の都合なんかで滅ぼしてイイものではないと、だから彼は神を見限り、たった一人ですべての神と戦っテ…そしてほとんどの神と先代の【魔神】を道連れにする形で8大陸を守ったのよ………ホントにバカな男だったワ》


 まるでずっとそばで見てきたかのようなしゃべり方だった。いや、きっとそうなんだろう。じゃあもしかして俺を助けたのって


 《アナタを助けたのはヴォルの……ううん【銃神ヴォルフガング】の匂いがして、なんだかとっても懐かしかったから》


 「……ずっと側にいたんだな」


 《彼が世界を放浪してるときに出会ったの。90年くらい一緒だったワ》


 「それにしても、神がどんだけの規模だったのか知らないが、たった一人で【魔神軍】を相手にできるもんなのか?」


 《当然ヨ、【銃神ヴォルフガング】は最強の神なんだから。当時の神の軍勢は先代【魔神】・【王ノ四牙】・配下の神5000・神が造りし獣、【神獣】100000体ほどネ。その戦いは一撃で【神獣】が全滅し、配下の神5000は【銃神】に傷一つつけることなくあっさり全滅、【王ノ四牙】ですらわずかな手傷しか負わせらレなかったのヨ》




 めちゃくちゃつええじゃねえか。チートだろそれ……逆に何で負けたんだよ!!


 《負けたんジャなくて相打ちヨ、【魔神】が死の直前に【王ノ四牙】が与えた傷に毒を流し込んだのヨ》


 「なるほどな、いろいろわかってきたぞ。じゃああの金仮面は【魔神】の後継者なんだな?」


 《……恐らくそうヨ。先代【魔神】が死の直前に【銃神】に毒を与え、エルレインに自信の英知と魔力すべてを分け与えたホントウの魔神の後継者よ。エルレインは先代の野望、神の国を作るために、間違いなく動き出すでショウネ。アノ時に【銃神】が【九創世獣ナインス・ビスト】の力を使っていれば、こんなことにはならなかったカモしれないのに》


 なんかまた新しい言葉がでてきたな。俺もういっぱいいっぱいなんですけど


「なあ、ナインス……なに?」


《ン?…アア【九創世獣ナインス・ビスト】ね。すべての始まりの神【創世神ジェネシック・バオファオー】が生み出した一つの属性をを司る神獣ヨ。神ですら手が出せなかった究極の神獣ネ》


 「そんなすげぇの持ってたのか……【銃神】はなんでその力を使わなかったんだ?」


 《サスガにわからないワ……想像はつくけどネ》


 「………?」


 《ワタシ達・・・・ 【九創世獣ナインス・ビスト】はみんな【銃神】の人柄に惚れ込んで力を貸したの。でも、彼にとってはワタシ達は【力】ではなく【家族】だったのネ、彼は一度もワタシ達の力を使わなかったワ……彼がワタシ達を呼ぶときはいつも宴会やおいしいものが手に入った時。みんな最初は困惑したけど次第にあきらめたワ、ホントにバカな神ってみんなで笑って……》


 黒猫は泣いていた。ホントに【銃神】が好きだったんだな……ってなんか今とんでもないこと言わなかったか?


 「な、なあ。おまえってすごい猫なの?」


 《ダカラ猫じゃないってノ!!……ワタシは【クロシェットブルム・アイオーン】【時】を司る【九創世獣ナインス・ビスト】ヨ!!》


 マジかよもうおなかいっぱいだぜ、すごい疲れてきた


 《サテ、いろいろ話したけれどアナタに確認しなければいけないことがあるワ》


 「………なんだよ」








 《アナタ一体これからどうスルの?》










 「………それは」


 《コノ世界のこれからの動きはだいたいわかったワよね? その上で聞くワ、逃げるノ? 戦うの? アナタの中の【銃神】の力を鍛えあげれば、【魔神軍】とだって戦える。アナタ、どうしたいノ?》


 俺は、どうしたいだろう。ここに来て命は助かった、でもクラスメイトのみんなはまだ【魔神軍】に捕らわれている、俺が逃げればみんなは罪のないこの世界の人たちに牙をむく…でも逆に、俺が生きている・・・・・・・ってわかればクラスのみんなや【魔神軍】は俺を標的にするかもしれない。でも怖い……俺は【銃神ヴォルフガング】じゃない。ただの高校生【無月銃斗】だ。どんなに強い力があってもその力を振るって戦うことなんてできるだろうか










 《迷ってルのね。ネエ……一つだけ聞かせて?》


 「………?」








 《アナタ……友達を、助けたくないノ?》








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 ああそうか……簡単じゃないか


 クラスメイトを、友達を助けるんだ


 剣吾にジュースおごってもらわないといけないしな


 静寂さん……まだ見せたい本があるし、話したいこともある


 弓島さんに100円かりたままだしな、借りっぱなしは性に合わない


ついでに・・・・この世界を救えばいい


 俺の道は決まった。


 強くなる、そしてみんなを助けて、ついでに世界を救う


 「ありがとな、黒猫」


 「きめた……俺、戦う!!」


 「だから、お前の力を貸してくれ!!」


 《フフ。イイ顔になってきたじゃナイ?…いいワ、この【クロシェットブルム・アイオーン】が力をかしてアゲル》


 「俺は無月銃斗、ジュートでいい。よろしくな、えーと……クロ?」


 《チョ、チョット……なによクロって!! チャんと名前で呼びなさいヨ!!》


 「だってお前の名前長いし呼びにくい」


 《ニャーーーッ!?》






 こうして俺とクロ……一人と一匹。友達と世界を救う旅が今始まる





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