恋愛の女神に会ってから俺の日常が暴走している

丸石 つぶ

11… 昼休み<前編>

    4限目終了間際。俺はそろそろ昼休みかと思いながら、まともに授業を受けられる幸せを感じていた。
    いや、まともに生活できることに幸せを感じていたのだろう。
    というのも、幸運な事に授業中は何もなかったのだ。10分休みは休めなかったけど・・・。
    昼休みなんとか休みたいがおそらく無理だろう。なんせ楓が来るはずなのだ。
    せめてあいつが来るまでに少しだけでも…。
     号令に合わせて姿勢を正し、一礼し、ドアが開いて、
「翠ー!私がきたわよ。」
「・・・・・・えぇー。」

    楓が名指しで叫んだせいで、また学級裁判になりかけてしまった。
    なりかけたというのは、楓は山内の妹だと言ったら皆逃げていったのだ。
    うん、すごいね。悪い意味でだけど。
「待たせたわね、翠。」
「待ってないし早すぎる。」
    少しぐらい休みたかったよ。楓が相手とか絶対に休めないじゃん?ラノベが読みたい…。
    そしてある程度予想していたことだが、相手するのは楓だけではないらしい。
「ねぇ?翠君。僕とも一緒に遊んでよ。」
    やっぱり真也も来たか。想定内だし大丈夫かな。
「翠。咲糖の現状について聞きたいことがあるのだが。」
    山内も来ちゃったよ。もちろん兄の方。
「あっ、お兄ちゃんじゃん。えーっとあとあなたは…」
「咲糖真也だよ、楓さん。」
「真也さんよろし…あれ?名前教えたっけ?」
「まあまあ、翠君とお喋りする前に、ちょっと僕と話そうよ。」
「えっ、まあ、いいけど。」
   山内(兄)とは話したいことがあったし助かった。が、大丈夫かな楓。・・・まあ大丈夫か。
   そういえば山内(兄)の名前知らないかも。
「ちょうど暇になったし大丈夫だぞ。」
「そうか助かる。」
「お前って妹いたんだな。知らなかったよ。」
「俺と違って常識人だからな。印象が悪くならないような紹介方法を考えているうちにな…。」
    あなたの妹さん空から降ってきたけどね。
「お前の妹が常識人なのかはおいといて…、お前の名前ってなんだっけ?」
「・・・?・・・・あー、そういえば言ってなかったな、赤羽あかばだ。これからは赤羽って呼んでくれ。」
「赤羽ね…、分かったそうするよ。」
「さて、ここからが本題だが…、」
「真也の現状だっけ?」
「ああ。」
    どうすっかなこれ。言うべきだろうか?
    こいつが協力してくれればいろいろと心強いんだが、なにかとなぁ…、面倒事が増えそうな気がする。
「単刀直入に聞く。あいつ物理的に女になれるだろう?」
    完全にばれてるよこんちくしょう。
    いったん誤魔化してみるか?
「いやいや、そんなわけ無いだろう。変なこと言うなぁ。」
「そうは言ってもな、俺はあいつが女になったところを見ているしな。」
「マジで?」
「マジだ。」
    これは誤魔化せないな。どっから話すべきか…。いや、うちの女神に会わせた方が早いか。
「えっと、うん、確かに真也は性別を変えられるぞ、仕組みはわからないけど。」
「やっぱりか。ぜひとも研究したいな。」
「研究できるかはわからんが今日うちに来るか?原因の片割れがいるぞ。」
「なら寄ってから帰ろう。」
「それは助かるよ。」
    こいつがいれば下校中に変なことは起きないだろうし。
    そうこうしているうちに2人も戻ってきた。
    なんとなくだが仲が良さそうに見えるのだが、何故だろうか。不安しかない。

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