魔女が生き残った世界で生活する俺ら、当然魔法使えるよね?

Pman

第8話

お前には渡さない。そう今一度固く誓った、進道だった。
この時間、俺には耐えられないかも。ライバル心が芽生えた進道でもあった。





翌日も俺と進は放課後に喋っていた。玄関で百音を待たせているのには気が引けたが、五分だから、我慢してくれ。


「ところでさ、優と日野さん、どこで知り合ったの?」


「いや、家が隣だったんだよ。あいつん家すげぇ金持ちで、遊び相手として雇われてた、みたいな」


「雇う?どういうことだ?」


「俺ん家はな、他の家より多少貧乏なんだ。生活するにはギリギリでなんとかなるんだけどこのままいくと養育費がってことで俺が遊び相手となる代わりにお金を払ってもらってたんだ。百音の家の人はいい人たちだぞ。あれに嫌われたらもう未来はないなぁ。あ、ここだけの話な」


「遊び相手ってなにしたんだ?」


「一緒にごはん食べたり、庭で遊んだり、あ、一緒に風呂も入ってたぞ」


もちろん、最後の一言は余計だと思う。嫌がらせだよ、嫌がらせ。進が震えているんだが、さてどんな反応をするのやら。


「それで、何回一緒に風呂に入った?」


「え、いや、まぁ、数えきれないぐらいだよ」


そんな質問が来るとは思わなかった。さらに、進は続ける。


「優、君は昔どれぐらいの頻度で遊び相手をしていたんだ?」


「そりゃ、毎日だよ。決まってるじゃねぇか。昼寝だって一緒に寝たし、夜も一緒に同じベットで寝ることもあったなぁ。百音の家には俺の部屋もあるし」


「うわ、負けた……」


「だから、言っただろ。最初から勝てないんだよ」


「勝てないとは言ってない。ライバル心がどうのこうのって話だけだ」


「どっちでも、いいじゃねぇか。それに、今のは昔の話だぞ。まだお前にチャンスはあるかもだぞ」


「今のは、ってどういうことなんだ。今、今はどうなんだ。昔いくら仲良かったって大切なのは今の関係だぞ、どうなんだ?」


「いや、だから、今も俺の部屋はあるし、百音の両親もまだ雇ってくれてるから、まぁ、あまり昔の関係と変わらないな。お陰で今は金には困っとらんよ」


「もうダメだ負けた」


ガクッと頭が垂れている。俺の勝ち誇った顔をお前に見つけてやりたいよ。何気なく時計を見ると約束の五分が迫っている。進に声をかけて、俺は教室からでた。廊下をトボトボ、と歩いていると後ろから進が追いかけてきた。またこのパターンか。進はもう百音を諦めたのだろうか。気になるのだが、今はそっとしておこうという俺の良心が働いた。いや、働いてしまった。残念だ。二度と立ち上がれないように希望という希望を、悪ければ生きる希望までも潰してやろうとという考えも浮かんだが、それはすぐに消えた。
何故か進の顔が明るいのだ。




















          

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