コップの中の漣

Pman

二十年余りを過ぎて。

結局、彼と繋がったのは、あれきりだった。
何年過ぎても、私の生活に変わりはなかった。そりゃ、そうだ。当たり前だ。もし、仮に高校時代の彼が迎えに来てくれても、いや、するはずがないのだ。彼が、そのまま高校時代の私と付き合えば言い訳で、わたしの生活はなにも変わらないのだ。


バタフライ効果、というものがあるらしいが、変化はない。


私も、長年の悩みというか、後悔が払拭できたお陰で結婚することができた。


彼には独身とは言ったが、大学を出てからの会社の同期の彼氏がいる。


彼に似た雰囲気で、身長も余り変わらない。
あの件以降、なかなか踏ん切りがつかなかったが、一年前やっと結婚に踏み込むことができた。もう、過去には悔いがない。



楽しかった、で済ませられる。

そして今年子供も生まれた。
「ねぇ、わたしの昔のアルバムどこにいった?」


「押し入れに入れてあるはずだよ」


夫は、優しくたまに見せる意地の悪さも私を魅了した。彼は、優しくいつも私のことを考えてくれた。夫は、自分の趣味にも打ち込める、少し私と距離を置ける。そんなところが、私に一人の時間を与えてくれて好きだ。


「あれ?こんな写真、私のところにあったっけ?」


見覚えのない、私の高校の写真だった。



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