異世界召喚されて、助けたエルフが願いを叶えてくれるそうなので、賭けをします

Pman

第6話

「ここで、先ほどの話をしながら、腹ごしらえをしましょう」


といった途端、すぐ紙皿に盛り付けられた肉料理を持ってきた。ほら、もって、と言われ、受け取った。所謂食べ歩きスタイルで、進んでいくらしい。普段なら、何の肉か気にも留めず口に運ぶが、あの多種多様な種族をみると、わななき確認せずにはいられなかった。
「これは、エィゲルの肉だ。北方の民族で、よく狩りをしている、鹿の肉だ」

三口、四口で彼女は食い切った。


「じゃ、何も知らない君にこの国について教えてあげよう」


「よろしくお願いします」もぐもぐと咀嚼音が混じる。


「君は、多分、違う世界からきたんだよね?」


頷く。


「部活が終わって、電車でうたた寝していたら、突然この世界に入ってきちゃってよ、それで目を開けたら、オーク?の群れの屋敷でよ、一生懸命逃げてきたら、シェナーさんにあってよ」


電車や部活など、ここの世界にはないようなものが彼女にどう翻訳されたかわからないが、すでに前半の部分で彼女は涙を流していた。


「なのによ、ナンパされて困ってるのか、助けるか、迷っていたら、意外と俺が叩いただけで伸びちゃうし。あれぐらいだったら、一人でも切り抜けられたんじゃねえか?」


「そうですね、君がいなければ、自分の力でなんとかできたと思いますが、私の能力は、第三者に使われるところを見られたら、二度と使えなくなるという習わしなので、関係のない君に『賭け』を申し込むことで、関係を作ったんですよ」


「それで、俺があの男たちに勝ったから、俺は「言語理解」を得られたってわけか」


「そう、アレンが勝ったら、私に利益がくるように賭けをしたの」


「もし俺が返り討ちに遭っていたら?」


「今頃、陵辱でもされてるでしょうね」


うげ、と声が詰まったが、シェナーは満面の笑みで


「だから、ありがとう」と言った。


「これで、私はあなたのものになっちゃたけどね」


飲んでいたオレンジジュースを吐き出し、むせた。


「まあ、冗談だけどね」


彼女はそういうものの、含みのある言い方で、少しイラッきた。


「おじさん、これ一つ」


彼女は、先ほどの一言がなかったかのように次の行動に移っていた。

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