異世界召喚されて、助けたエルフが願いを叶えてくれるそうなので、賭けをします

Pman

第3話

「で、あなたはどこから来たのですか?外国の方ですか?我が国『アルバン』の関所を通ってきたのですから、それなりに知識はあるものと思いますけど…」


「まぁ、捉え方によってはそうですね」


「よく分からないので、詳しく知りたいのですが、嘘を言うとこの国の情勢的にあなたは死にますよ」


「それは、どういう?」


「その回答で、あなたは情報不足つまり、ここの人ではない、と言うことが証明されますが。もう一回チャンスを与えます。正直に答えてください」


「正直に、ですか。それを答えられないほど、無知だったとしても?」


「それが、本当なら、可哀想ですが、とても怪しいので、調べさせていただきますね」


すると、急に俺の手を掴み、手を繋いだ。そして、なにかを唱え始めたシェナーさん。先程と同じようにポワッと、光の粒が浮かび、繋いだ手の周りを一周する。それは、高速で円をかきながら回る。


「シェナーさん、これは?」


おどけて聞いた俺とは裏腹にシェナーさんの顔が真剣で、萎縮した。


やがて、減速し、光の輪はシェナーさんの手首を締め付ける。
シェナーさんは、それをひどくいたがった。実際痛いのだろう、締め付ける痛みと同時に電気的な痛みも加算されているのだと思う。なぜ、こんなことしたのか、たぶん、俺を試したんだろう。なぜそんなことできるのかは、どうも俺は説明できないが、俺に「言語理解」のスキルを与えた、俺にとっての神的存在だから、なにか想像のできないこともしてしまうんだろうと、心の片隅で思っていた。


一分弱、シェナーさんは、苦しんでいた。後、


「さて、どこから話しましょうか。では、せめて、償いの意味も込めて、私から一つ」


ハアハアと肩で息をしながら、シェナーさんは言った。今までも、これからも俺は、何をしているのかわからないまま話は進んだ。路地裏の閑散とした雰囲気とは相反なり大通りは、賑やかで喧噪に包まれていた。


「はい」とだけ返事をしておく。
キリッとした表情に変わって、


「君が、私をどんな目で見ているのかは、わかりませんが、多少なりとも『人間』には見えているはずです。しかし、私は『人間』ではない。実は、見た目に反したかわいいエルフなのです」


エルフによく似た傾向を持つ、あのとがった耳を持たないシェナーさんに言われると、説得力がない。けど、髪は薄緑色、上品な服なのに、あまり飾り気のないところも、彼女を人間として肯定するにはやや難があるように思われた。なぜなら、先ほど大通りを歩いたときに見たが、この国の髪色は、黒、茶、金の三色ぐらいで、特異な色を持つ人物は、大抵馬車を引いていて、剣客やその方面に才のある人ぐらいだったと思う。


続けてシェナーさんは言った。


「そして、もっと厳密に言うと、エルフではない。この世界で人間の欲を叶えられるエルフを『女神』という。私はその中の一人、『賭けの女神』です」




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