やはり、創造神の加護はチートでした

弥音 雪

50話 ダメですか?




  とりあえずレオンは作戦通りフィリアを先頭に立たせるように後ろへ下がり強化魔法をかける。その時にかける強化は攻撃だけで防御は最低限にしておく。

  そして肝心な相手チームだが、今回はリーダー含め全員で戦うらしい。だがどこか少し不服そうにしているリーダー。

「レオン君。君は前に立たないのか?」

  そう遠くから叫んできた。確かにフィリアよりもレオンの方が強いのは1回戦と2回戦を比べて分かる。だがフィリアも強い。

「そうですね。フィリアを倒すことが出来れば直接戦いますよ。」

「分かった。ならば全力で倒すとしよう。」

  そうしてリーダー以外の5人は4人が無詠唱で中級魔法を1人は詠唱ありだが上級魔法を唱えていた。そしてリーダーは

「……我を護る剣となれ…氷剣!」

  魔法で剣を作り出していた。しかもそんじょそこらの剣より斬れ味が良さそうだ。

「っ!」

  フィリアは全く想像していなかったようで一瞬動きが止まった。一方レオンは

「あの発想は無かったな…。」

  と驚きよりも自分の発想力の無さの方を悔いていた。

  だがレオンの場合は創造でなんでも作れてしまうのであまり意味が無かったりする。そしてリーダーの剣も作り終えた。

  これで相手チームの魔法の準備が完成したようだ。ここからが本番だろう。

「フィリア!気を引き締めて!」

  そう言われより一層フィリアは集中する。

「では行くぞ!」

  そうして相手チームは中級魔法と上級魔法を一斉にフィリアに放ちリーダーは風魔法を使い一気に迫る。

「エアーブラスト」

  そうフィリアが唱えた瞬間上級魔法すらもかき消す爆風が吹き荒れた。ただし前方だけにだ。その分威力は圧縮されていて相手チームはリーダー以外は壁に強くあたり気絶してしまった。リーダーも何とか耐えたものの風に追いやられていた。

「……マジかよ…。さすがにこれ程とは思ってなかった。」

  フィリア自身もここまで出来るとは思っていなかった。多少はレオンの強化魔法があると思うがそれでもだ。

「いい魔法だったよフィリア。この調子で最後まで頑張って!」

「はい!」

 そんな陽気なやり取りとは正反対に会場はなかなかに静まり返っている。

「おい見たか今の魔法。」

「あぁ。一瞬で何もかも吹き飛ばしたよな。」

「やっぱり王女様は違ぇな。」

「そうだな。格が違うような気がするぜ。」

  と徐々にその話の波が広がっていき、いつの間にか大歓声に変わっていた。

  それとは別にフィリアは相手の動きに集中している。初動を見逃さないように相手の動きの全体を見ながら。

  そして会場も静まり数十秒睨み合った後に先に動いたのは相手だった。

 「水弾!」

  そう唱えた瞬間無数もの水の塊が飛んでくる。

  フィリアもそれに対応するように風の結界を張り全ての水弾を防いだ。

  そして多くの水弾でフィリアが目を逸らした一瞬を見逃さずに相手はフィリアの背後に回り込んでいた。

「もらったぁぁぁ!!」

  そうして氷剣が振りかざされた。だが気づかなかった。これがフィリアの罠であるということ。そしてすでにウィンドランスを頭上に待機させていたことを。

  振りかざされた氷剣はフィリアに当たるよりも早く消滅した。これが示すことは1つ。フィリアのウィンドランスの方が早く当たって気絶させることに成功したのだ。

  先生は気絶の確認をした後にコールした。

「3番チーム全員気絶により、優勝は5番チームのフィリアさんとレオンさんです!」

  そのコールが響き渡った瞬間会場が沸き上がった。

「お疲れ様!最後の駆け引きはとても良かったよ。」

「レオンもお疲れ様です。それとありがとうございます!おかげで勝つことが出来ました!」

「いやそれはフィリアの力だよ。最後の方なんて僕は強化魔法解いてたよ?つまりフィリアがそれだけ強かったんだよ。」

「ありがとうございます!」

  今回のフィリアの動きは最近の中では1番の動きだった。魔法から駆け引きから立ち回りなど。しかし一つ一つを見てみればまだ甘いところがあった。今後はそれを直していければいいだろう。

  試合が終わった後は表彰を受けた。ただの授業だったはずなんだけど。
  それも終わった後は各自解散となり自宅や寮に帰る者、今の試合を見て魔法の練習をする者、そしてフィリアに群がる者。が主に多かった。

  今回1番目立っていたのは恐らくフィリアだろう。レオンも50人倒したが、それでもあの6人を打ち負かした事の方が大きい。なのでフィリアの周りに人が出来ることは寧ろ必然と言えた。

(1回客席に行くか。)

  そうしてさっきまでいた席に行くとそこには開始前にどこかへ行ってしまった学園長がいた。

「お見事じゃったよレオン君。」

  学園長がいることに驚きながらも一応の返事をしておく。

「いえいえあれはフィリアの力ですよ。」

「そう謙遜せんでも良い。お主が王女様に合わせて強化魔法を完璧に調節しておったでは無いか。最後には自分の力だと錯覚させるほどにのぉ。」

  さすがは学園長だった。ほとんどの教師が分からないようにしたつもりだったが甘かったようだ。

「さすが学園長ですね。そこまで見抜かれるとは。……ですが少し違いますよ。」

「ほぉ。どういうことじゃ?」

  少々驚いた様子の学園長にレオンは説明していく。

「確かに最初の方はフィリアが動きやすいように調節していました。しかし最後は本当にかけていません。」

「ならばあの威力はどう説明する?」

  そうここが問題なのだ。だが現代社会の日本を生きたレオンに取っては当たり前のことである。

「僕は強化魔法を調節することによってフィリアの実力の9割を出させました。」

  こう説明しても未だにピンと来ていない様子なのでもう少し詳しく説明する。

「普通の人はどんなに本気を出そうとしても8割の力しか出ません。それは自分を守るためであったり、緊張があったりするからです。」

  それでようやく合点がいったようだ。

「なるほどのぉ。」

「はい。だから最初に言いました。フィリアの力だと。」

  してやられた学園長である。

「レオン君には敵いそうもないのぉ。ともあれ優勝おめでとう。これからも健闘を祈っているよ。」

「はい!ありがとうございます!」

  そうして学園長は去っていった。そしてレオンは今日の試合を振り返りながら今までの日々を感傷していた。

「レオン!」

  振り返るとそこに少し息を切らしたフィリアがいた。

「フィリアどうした?」

「レオンを探していたのです。もう皆さん帰ってしまいましたから。」

  そうして周りを見渡すと先生も含めて誰もいなかった。

「あっ、気づかなかった。ごめん待たせて。」

「いえ大丈夫ですよ。私が勝手に待っていただけですから。」

  そうしてレオンの隣に来たフィリアは微笑んでくれた。

「ありがとう。それじゃ戻ろうか。」

「はい。」

  そう言ってレオンは出口に向かった。

「レオン!」

  そこで唐突に後ろから呼び止められて振り返った。

「私の命を助けてくれてありがとうございます!今日までこんなに楽しくやってこれたのはレオンのおかげです!まだ短い時間しか共に過ごしていませんが、それでも私にとってはレオンと出会う前の日常よりも遥かに幸福でした!だから……」

  フィリアの言葉を聞いてレオンはとても良い友達を持ったなと心から思った。前世を含めてもここまでしっかり感謝できる人はいないと思う。だからそれに答えてあげたい。

「フィリア。ありがとう。ただ今日までじゃないよ。これからも楽しくやっていくんだ。そして前も言ったけどフィリアを救った報酬はこうやってフィリアという友達と一緒に楽しく会話したり、共に戦ったり、そして喜び合ったりすることだ。だから感謝の気持ちは十分受け取ってるよ。」

「……友達じゃ…………ダメ……すか……」

  頬を赤く染めたフィリアの声は少し聞き取りづらかった。

「フィリア?」

  そう言うと勢いよく、

「友達じゃなくて恋人じゃダメですか?」

「…えっ?」

「あっ!」

  唐突のことで状況が把握出来ていない。

(え、今恋人って言ったよね。平民の僕と王女様が?え?)

  しかし赤く染まった頬が顔全体に広がっていったフィリアを見ると確信する。

  フィリアは恥ずかしかったのか

「忘れてください!」

  と言ってうずくまってしまった。

(フィリアがここまで勇気出して言ってくれたんだ。だから僕は……)

「フィリア。」

  そう言ってフィリアの前に回り手を取る。

「はいっ!」

  そして顔をあげたフィリアの目を真っ直ぐ見つめて

「こんな僕で良かったら……恋人になりませんか。」

「やはり、創造神の加護はチートでした」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • ヒロク

    え、普通に身分差で無理なんじゃ…

    0
  • ノベルバユーザー295269

    8歳でねぇ…。

    1
  • ノベルバユーザー322514

    無双はやっぱりいい‼️

    1
  • 船枻 蔑

    え、付き合うの?

    3
  • 弥音 雪

    皆さんコメントありがとうございます。まさかここまで伸びるとは思ってもみませんでした。これからもご期待に応えれるよう頑張りたいと思います!
    これからもよろしくお願いします!

    7
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