やはり、創造神の加護はチートでした
39話 査定で…
  今、レオンの周りにいる全ての人が固まっている。
「こ、これはもしや黒龍ではありませんか?」
  査定員の1人が恐る恐る聞いてきた。
「はい。おっしゃる通り黒龍で間違いありません。」
  そう言うと査定員の人が慌て出し次々に指示を飛ばす。
「……っ!おい!ギルドマスターにすぐさま連絡しろ!それとここに誰も入れさせるな!こんなの広まったら混乱してしまうぞ!」
  そう言ってその人は向き直る。
「すみません。これは私の権限で査定することは出来ません。申し訳ないですがギルドマスターが来るまで少々お待ちしていただけませんか?」
  そう腰を低くしてレオンに言った。これまたレオンは自覚していないが黒龍を倒すには最低でもSランクが5人以上SSランクが3人以上は欲しいところだ。それを1人で狩ったとなると国で最強の戦力を持つ人物となるのだ。
閑話休題
「おい!黒龍が討伐されたってのは本当か?!」
  さっきの雰囲気とは打って変わって慌ただしく叫ぶギルドマスターが入ってきた。
「えぇ……。これを見てください……。」
  査定員が言った方向を見ると確かに黒龍の死体の一部があった。
「……誰がやったか分かるか?」
  ギルドマスターがやや疲れ気味に査定員に聞いた。
 
「そこにいる少年です……。」
  そしてレオンの存在にやっと気づいた。
「レオンお前がやったのか?」
  そう言っている表情はとても真剣だ。
「…はい。」 
「……そうか。レオンちょっとついてこい。」
  そう言われついて行くとさっきと同じ部屋に通された。
  そしてギルドマスターは1つの魔道具を取り出した。
「レオンもう一度聞く。あの黒龍を倒したのか?」
「はい。倒しました。」
  そしてギルドマスターは魔道具の方へ視線を向ける。
「もう1つ聞く。1人で倒したのか?」
「………1人で倒しました。」
  ギルドマスターはもう一度魔道具の方へ視線を向けた。
「……嘘は言っていないようだな。疑って悪かったな。たが黒龍の報酬は少し待ってくれあれだけの物の報酬はそう簡単に出費出来ないんだ。改めて1週間後に来てくれ。」
  黒龍の素材はどれも最高の素材となる。鱗や骨はとても丈武だが、肉はとろけるほど美味いらしい。そしてそれを買うとなると国家予算が動くこともある。
「分かりました。けれどその間にも冒険者活動はしても大丈夫ですよね?」
「あぁ問題ない。それとだ。お前のランクをCからSに変えようと思う。黒龍の討伐はそれほど大きい功績だと思ってくれ。」
  いきなりSだとは思ってなかったが、確かに黒龍はなかなか強かったと思う。まぁ一方的な攻撃だったが……。
「分かりました。」
  そうしてさっきと同じように今度はSランクのギルドカードを作ってくれた。Cランクは銅だったが、Sランクはミスリルらしい。
「あ、ギルドマスター。このことは広めないようにしてくれませんか?変に目立つのは好きじゃないんで。」
  このことで変に絡まれたりして活動に支障が出るのはどうしても避けたかった。
「黒龍を討伐しといてそれを言うか?まぁ構わないがな。」
「ありがとうございます。」
  そうしてこの話も終わり退室した。
  ホールに戻ると入ってきた時よりも多くの冒険者がいた。レオンがそこに行くと何人かから視線を感じたが、そのどれも試すような視線や嘲笑すような眼差しなどだったのでどれも無視してギルドボードを見に行った。
  広がらないようにしたおかげか目線は向けられるも必要以上に声をかけられなかった。
  ギルドボードの前に着くと多くの以来が目に付いた。
(……どうやらSランク向けの以来はないみたいだね。)
  ふと1つの依頼が目に付いた。面白そうだったのでそれをやろうと依頼を剥がし受付へ持っていた。
「すみません。この依頼をやろうと思うのですが。」
「あらレオンさん。帰られたのでは?」
「いえ、査定してもらった時に少々手間取ってしまいまして。」
「そういうことでしたが。あ、それでこの依頼ですね。分かりました。ギルドカードを出して貰えますか?」
「どうぞ。」
  そう言ってギルドカードを渡す。ミスリルの。
「っ!レオンさんCランクじゃありませんでしたっけ?!」
  レオンは急いで自分の口元に人差し指を当て静かにするように促す。
「す、すみません。…それでなぜSランクなのですか?」
  そう小声で話しかけてきた。
「仕方が無いので話しますけど他言無用でお願いしますね。」
  そう言って査定の時のことを話す。すると今日1番の驚いていた顔をしていた。
「……なるほど。分かりました。他言は致しません。」
「ありがとうございます。それで依頼の方は……。」
「あっ!今やりますね。」
  そう言って受付の隣にある魔道具を操作する。
「はい。これで依頼は受理されました。お気をつけて。」
「はい。ありがとうございます。」
  そう言ってレオンはゴールドスライムを探しに出かけた。
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