通りすがりの殺し屋

Leiren Storathijs

自分を狙う刃は目の前にある

俺のアジトはアジトと呼べる様な物では無いが、とあるホテルの一室。と言っても、常にホテルにいる訳では無い。依頼を受けたら移動を開始し、ターゲットの最も近い建物か、又はホームレスとなって近づく。

そして俺はいつも何処から依頼を受けているのか?それは一言では言えない。俺の存在は警察に追われている以上に、既にネットにも知れ渡っている。だからそこから探す。

毎回直接的な依頼では無いが、俺に頼みたいと言う投稿を見つければ、それに直接メールを送り、依頼人と交渉する。

俺と交渉するにあたってルールは特に無い。代金はタダとはいかないが、依頼した事を周りにバラしても良し、いつでも殺す前なら中止も良し。

代金は、ホームレス経由で受け取る事にしている。


今日の仕事を終え、アジトに戻ると、ポストに一通の手紙が入っていた。

もう場所がバレたか……流石最近のネットは違うな。

手紙の内容は、やっぱり殺しの依頼だった。

暗殺対象は、下っ端ギャングのボス。殺し屋が自分の元に来ると警告済みの様だ。

依頼人はなかなかの挑戦者だな……そんな奴に殺しの通告をした後、俺のアジトに手紙を送ってくるとは……。また手紙には、一つの電話番号が書かれていた。依頼人の携帯番号らしい。

俺は、自分の携帯を使い、その番号にかける。

すると、携帯から聞こえる声は苦しそうな声だった。

「やっと電話に出たようだな……俺は今、ギャングに捕まってボコボコにされてる所だよ……もし、俺を助ける事ができたなら、多大な報酬を与えよう……もしその前に俺が死んだら、既にギャング達にお前の素性を教えている……意味は分かるな?」
「馬鹿な依頼人だな……そんな脅しで俺が受けると思うか?」
「俺はお前を知っている。それだけ言っておこう……」
「だからどうした?俺との交渉にルールは無い。それは知っているな?」
「ははっ、お前は変わらねえな……お前の携帯にGPS情報を送っておいた……俺は待ってるぜ」

そこで電話は切れた。済まないが、俺を知る者は沢山いる。だから相手が誰なのか見当が付かん。

まぁ良い、GPSまで丁寧に貰っているんだ。彼奴の期待を裏切るとしよう。


俺は、GPSを頼りにギャングの拠点に着く。さぁ、どうしようか……。

今も拷問されているであろう依頼人はいつ殺されるか時間の問題だ。長く作戦を考えている暇は無い。

ギャングの拠点は、らしく、しっかり見張りまで付いている。こんな警戒状態では、ギャングの仲間入りなど以ての外、門前払いを食らうだけだ。

また、外から窓の中を見る限り警備も厳しいと見える。つまり侵入も難しいと来た。ならば方法は簡単。

建物ごと吹っ飛ばそう。

爆破と言っても、そこまで派手にやるつもりはない。直接ボスだけを爆散させて仕舞えば良いのだから。

ギャングと言ったら、映画で良く見る限り、麻薬の取引を良くしていると思う。まぁ、麻薬の取引じゃくてもだ。何かしら裏で取引しているのは、確実だろう。

爆薬の受け渡しは簡単。それっぽい服装で近づき、如何にもな包み荷を部下に渡すだけ。

裏の取引で、部下まで情報が言っているとは、考え難い。ならば騙すのは簡単。


俺はなるべく黒い服装に変装し、ギャングに近づく。

「おい待て、お前は誰だ?」
「例の物だ」

そう言って俺は包み荷を部下に渡す。

「またボスか……合言葉は?」
「合言葉?そんなものは聞いていない」
「おっとすまねぇな。ボスは万が一の為に合言葉無しでは荷物を受け取らない主義なんだ」
「ならボスに連絡してくれ」
「ったくしょうがねえな」

部下はボスに携帯で電話を掛けると俺に携帯を渡す。

「誰だお前は……荷物を頼んだ記憶は無い……」
「これは貴様のボスからのプレゼントだ。貴様の合言葉なんて知らん。まさかそれでも受け取れないなんて言わないよな?」
「ま、嘘だろ!?俺はまだ何もしてねぇ!」
「何をビビってんだ?なんかボスに対してやばい事でも隠してんのか?」
「は、はは……分かったよ。持ってこい」

効果テキメンだ。何かは知らないが、やはり下っ端のボスに更に大きな存在からのプレゼントと言えば、その影響力は大きい。

俺は部下に荷物を渡し、時を待つ。

対向の建物の屋上から、ギャング達の様子を眺める。

しばらくすると、先程の見張りが携帯を取り出し、辺りを見回す様に誰かと会話する。

恐らくボスが異変に気付き、部下に荷物を渡した男を探しているだろう。今がチャンスだ。

俺はポケットから起爆スイッチを出し、ボタンを静かに押す。

その瞬間、建物上階の窓が爆発と炎によって吹き飛び、轟音が建物周辺まで響く。

俺は携帯を出し、依頼人に電話をする。

「おい!?今とんでもねぇ音がしたが何事だ!?お前何をした?」
「自力で脱出しろ。依頼はこれで完了だ」
「ちょ、ま!」

俺は電話切るとその場を後にした。

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