通りすがりの殺し屋

Leiren Storathijs

死の瞬間は誰にも分からない

さて、今日の依頼は、社畜で頑張っているサラリーマンからの依頼だ。

ただ金を稼ぐ為とは言え、そんな必死になって上司の命令を聞く必要があるだろうか?俺ならそんな上司はプライベートで眠らせるさ。

依頼内容はそんな社畜君の社長を殺して欲しいらしい。何故止める以前に殺して欲しいか?どうやら、社畜君は、その会社の給料が毎回違ってその理由を遂に見つけてしまったようだ。自分を散々こき使ってまさかの理由で自分の働く時間と給料が合っていないと。

これは殺さないと気が済まないらしい。まぁ、殺したい理由はプライバシーに関わるから聞かないさ。

社長は、社畜君が行き着けのバーに居るようだ。なら仕事は簡単。さっさと終わらせよう。


行き着けのバーに着いた。社長の入店時間は調査済みだ。社長はいつも通りの時間にしっかりと入店してきた。

誰も死の瞬間なんて分からない。明日かも知れないし、今日かも知れない。況してやこれから1時間後かも知れない。

人の未来なんてものは、誰にも分からない。

社長は席に着くと、常連なのかすぐに酒を持ってくる。良し、これだ。

俺は社長の隣の席に座ると話を始める。

「あんた、ここの常連なのか?」
「あぁ?クソ共は俺の下で黙って働いてりゃいいんだよ!」
「まぁまぁ、今日は自分が一杯奢りますよ!」
「お!てめぇ、『俺の金』だってのに気がきくじゃねぇか」

こいつは、職員の顔すら覚えていないようだ。俺の金と言っているが、もしかしたらだが、社畜達の給料は全て社畜の自腹だったという事か……。

「ははは……まぁ、一番安いのしか奢れませんが、許して下さい……」

俺は、このバーで一番安い酒を頼むと、社畜のグラスに酒を注ぐ瞬間に、袖の中から瓶伝いに下剤を入れる。

「はっはっは!全く意味のねぇ使い方すんな!」

社長は、俺の注いだ酒を勢いよく一気飲みした。

すると暫くしてから、社長はトイレと言って腹を抑えながら、席を立つ。

「何やってんすか社長!大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ……うっぷ……吐きそうだ……」

極限まで酔っている状態から下剤による腹痛は、尋常じゃない吐き気を催すだろう。俺なら絶対味わいたく無い状況だ。

俺は、社長を介抱するつもりで一緒にトイレへ行き、社長は便器に着くとその中に盛大に嘔吐する。

「おおおえぇっ!」
「飲み過ぎですよ社長」
「い、いつもはこんなに酷く無いんだが……うっ!」

そんな吐く中、俺は背後から徐ろにナイフを出し、社長の額を軽く後ろに引いた後、心臓に到達しない程度まで、胸にナイフを垂直に刺し、致命傷を与える。

「うがっ!?っが!!」

社長は吐きながらも苦しそうに踠くが、俺は立て続けに、社長の頭を壁にぶつけ、意識を朦朧とさせる。

「う、ううぅ……」

後は、片付けだけだ。社長の腕を首に掛け、引き摺る様にバーを後にしようとする。

「社長、盛大に吐いていましたね。何かあったんですか?」

マスターの質問に俺は愛想笑いで返すが、勿論社長の答えは無い。

バーの外に出ると俺は、バーの後ろの路地裏に入り、その場に社長を捨てる。

此処に置けば誰か気付く事もあるだろう。しかし、既に出血多量で死んでいる筈だ。胸の刺し傷、下剤の盛り込みという証拠を残したが、例えバーのマスターが俺の事を警察に報告しようが、俺を捕まえる事は、不可能だ。

俺はもう近くに居ないんだからな。

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コメント

  • さすらいの骨折男

    『殺し屋』で『サクサク』の時点でヤバイなとは思ってましたが、これはどこぞの探偵漫画並に死にそうですねw

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