SNS仲間で異世界転移

浪村

第7章 11話 終焉

龍剣は手を開閉しながら、感覚を確かめる

龍剣「(別に腕自体が鎧になったわけじゃないみたいだな)」

ドルゼ「どこを見ている!くるぞ!」

龍剣は自分の腕に気を取られていて、バッドローグがこちら側に手を向けていた事に気付かなかった

ドルゼ「さっきのやつだ!」

今度は美泉が重力で引き寄せられた

美泉「(ドルゼさんと同じやり方で…!!)」

美泉は氷槍アイススピアを放ち、重力バリアを展開させようとした。だがバッドローグはしゃがんで躱し、そのまま美泉を引き寄せる

美泉「うそ……!」

バッドローグ「ウオオォォ!!!」

バッドローグの拳が美泉に向かっていく

龍剣「美泉ーー!!!!」

もう間に合わないと思ったその時。龍剣が無意識に右手を伸ばすと、美泉は引き寄せられずに空中で停止した

美泉「え……?」

香奈「な、何。これ?」

壮助「な…空中で…」

汏稀「どうなってる?」

バッドローグ「ウウウ……!」

龍剣以外が全員呆気にとられている

龍剣「美泉を…返しやがれ!」

龍剣の右腕が光ると同時に、美泉は龍剣の方に引き寄せられた。そして地面に落ちぬよう、美泉を抱きかかえるように受け止める

龍剣「大丈夫か?」

美泉「うん…ありがと」

美泉を離してから先頭に出る龍剣。そして猛スピードで走ってくるバッドローグに拳を振るった

龍剣「おらぁ!」

龍剣の拳はバッドローグに当たっていない。だが、なぜかバッドローグは後ろに吹っ飛んでいった

美泉「どうなってるの…?」


龍剣「やっぱりな」

香奈「何をしたの?」

龍剣「どうやらこの鎧は、バッドローグと同じように重力を操れるらしい」

美泉「それって凄い力じゃない!?」

龍剣「ああ。これでヤツの重力に対抗できる」


ドルゼ「森、火山、砂漠、氷山、このどれにも当てはまらない新しい力か。重力を使うってことで大地の力………いや、もっと広い。"星の力″とでも言うべきか」

龍剣「星の力…気に入ったっす」

バンギック「その星の力とやらでヤツの重力を阻止しろ。あれさえ防げばなんとかいける」

龍剣「了解です!」

龍剣を先頭に7人は走り出す

バッドローグ「ウオオオォォン!!!」

バッドローグは上から高圧力の重力をかけて7人を地面に押し潰そうとするが、龍剣が逆方向に重力を展開してそれを阻止した

バンギック「ふん!」

ドルゼ「はぁ!」

バンギックとドルゼがそれぞれバッドローグの両腕を切り落とした

美泉「フルパワー、氷槍アイススピア!!」

続く美泉は力を込めて一つだけ氷の槍を放った

壮助「こっちも!」

汏稀「俺だって!」

と、美泉に続いて壮助と汏稀が「ビッグバンブパンチ」と「ギークソードX」を放った

バッドローグ「グオ……!」

それをくらったバッドローグは胴体部分を消し飛ばされ、頭と脚、腕だけが地面に転がり落ちた


美泉「はぁ…はぁ…やった…」

龍剣「今度こそ…勝ったぞ……!」

ドルゼとバンギックも勝利を確信し、普段あまり見せない笑みを浮かべた

ドルゼ「(団長…見ていますか?我々騎士団は勝利しました)」

空を見上げると、曇り空の隙間から差し込む太陽の光がドルゼの顔を照らした


バンギック「よし、手分けして皆の遺体を回収するぞ」

龍剣「は、はい…」

香奈「そうだった…」

壮助「遺体の…」

汏稀「回収、ね…」

美泉「了解です…」

勝利を手にしたのだが、あまりにも兵が死にすぎた。この現実からはどうしても逃れられない

7人は手分けして遺体を探そうとした










だがその時!!!

バッドローグの首がゆっくりと宙に浮いた

カラカラカラカラカラ…!!!

何度も歯と歯がぶつかり合い、奇妙な音をあげている。この音で全員、背筋をビクッとさせ、振り向いた

龍剣「嘘だろおい…!!」

壮助「死んでないってのか!」

汏稀「こんの化け物…!」

バンギックは即座に剣を抜いてバッドローグの首を斬ろうとしたが、すでに人間のジャンプ力では届かない高さにバッドローグは上昇していた

そしてバッドローグの頭は四方八方に光を放ち始めた。誰が見てもわかる、これは爆発の前兆という事が

龍剣「させねぇ!!」

鎧に形態変化させた龍剣が重力を操り、猛スピードで空に飛んだ。そのままバッドローグの頭を担いでとにかく上へ上へと飛んで行った

美泉「龍剣!!」

龍剣のスピードは速く、すでに地上にいる6人からは姿が見えなくなっていた




龍剣「(間に合うか…!!)」

龍剣は雲よりも上までやってきたが、世界を破壊する力があるバッドローグの事を考えると、宇宙まで行かなければ危険だと思っていた

龍剣「(そもそもこの世界に宇宙なんて概念はあるのか?)」


キュイイイィィィン!!!

バッドローグの首が最大限に光り輝く。もうすぐ爆発するという事を示していた

龍剣「くそったれがあぁ!!」








ピカッ………
ゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!!!!













流れ星のような光が1つ点滅した瞬間、ロケットが発射されたかのような地響きが地上にまで聞こえ、一時的に空間が歪んだ


美泉「嘘…龍剣……」

膝から崩れ落ち、泣きじゃくる美泉。それを香奈が支える

汏稀「龍剣……」

壮助「あのバカ…」


地響きは鳴り終わり、現場は沈黙した


ドルゼ「遺体を回収するぞ…」

バンギック「ああ…」

香奈が美泉の肩にポンっと手を置いた。美泉は何も言わずに、泣きながら遺体の回収作業に取り掛かった

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