ケミカルロード〜薬学はRPGで最強だと思うんです〜

彩月

5:俺はなんなんだ?(1章:事の始まり)

ん、今爆発音がしたような…

俺はその瞬間、何かを感じ取ったのか急いで外へ出た。

外へ出るとそこはもうさっきまでの楽園のような場所ではなくて、地獄へと変わっていた。人が今まで見たことのない怪物とも言える存在に襲われている。心拍数が上がっているのがわかる。

[これは…まさか、もう居場所が勘付かれたのですか!…まずいですね。]

どういうことだ?この怪物たちは女神が言っていた、魔王的なやつの配下ってことか?

俺は今の状況に恐怖を感じたのと同時にこの先の未来のことに恐怖や心配を感じた。

[そうですね、いずれ居場所がバレるのではないかと思っていましたがこんなにも早くバレてしまうなんて…私のミスですね。幸い、正確な場所まではわかっていなさそうなので、あなたに言わないといけないことを言って、あなただけでも安全な場所へと転送させてもらいます。]

ここに住んでいる住民はどうするんだよ?

[残念ながら見捨てることになります…]

なんで…俺のせいで…

[今はそんなことを言っている場合ではありません。なんとかあなただけでも、ここから脱出しないといけないんです。そもそも、今のあなたではあいつらには勝てないです。]

そんな…

[今から言うことをよく聞いて下さい。今からあなたをここから遠いある王国へと転送させていただきます。そこでなんですが、これ以上私があなたに語りかけるということは出来そうにないんです。]

ん?どうしてだ?

俺は少し暗い顔で尋ねる。

[なぜかというと、いくつか理由があるんですが、私達が喋っているということが魔物たちにバレてしまって、まず、このまま話続ければあなたが何処にいても居場所が嗅ぎつけられて、すぐに魔物たちが襲ってきてしまう、そして私という存在もばれてしまい、そうなれば私のこの管理人の仕事?を乗っ取られてしまう可能性があるからです。]

乗っ取られる?どういうことだ?

[相当な力を持っていれば、乗っ取ることも容易いのではないかと思います。相手はそれくらい強いということです。]

そんなに強いのに、俺に任せて大丈夫なのか?もっと適任がいたんじゃないのか?

[実はそうなんですが、やはり強い者をこちらに連れてくるのにはそれ相応のコストが必要で準備がその分、多く必要なのです。私達にはあまり時間がなかったので、こんな話をあなたに今話すのもあれなんですが、あなたにはあいつらを倒せるか、と言われると正直、わからないところもあります。あなたは勇者の代理人のような者なので…不安にしてすみません。でも、きっとあなたがこの世界を救ってくれることを信じています。]

そんな…

俺はその話を聞き、とても胸が痛むのを感じた。実はあなたに頼みたいわけじゃなかった、なんて言われたら普通ショックで立ち直れないと思う。

[おっと、話をしている間にいよいよ敵が近づいてきましたね。急いで荷物などを準備して下さい。]

わ、わかった…

[では、またいつか…無事を祈ります!]

そうして俺は地獄から出ることに成功したのだった…

………俺はなんなんだ?

俺は気づけば自分にそう問いかけていた。

俺は毎日、遅刻ばかりして嫌なことからは逃げてばかりいて…今回だって、逃げた…みんなは犠牲となり俺だけが異世界からきたという理由だけで逃げることができた。いっそ、ここで死んでいたほうがマシだったんじゃないか?だって、俺はこの世界を助けられるのかと言われたら、わからないのだろう?

そんな時俺は、あるお父さんの言葉を思い出した。

『お前はお前が思っているよりも色々なことができる。だから、周りの奴らがいくらお前のことをダメだと言っても、死のうとするんじゃないよ。過去のことを悔やむより、未来に向かって突き進むんだ。そうすればいつか、道が開けるはずだ。大事なのはいかに諦めない心を持っているかってことだ。』

たしかにそうだね、お父さん…

この言葉は俺が小学生の頃、いじめにあった時に言われた言葉だった。その頃の俺はどんなことも人より全然できなくて、いつも笑い者にされた。そして、靴を隠されたり、教科書を破られて捨てられたりしたこともあった。でも、そのお父さんの言葉を聞いて、俺は自信を持っていじめっ子には自分の意見を言ったり、勉強も諦めずに頑張ったことで人並みにできるようになった。

たしかに逃げたことは悪いこと。でもそれをいつまでも悔やむだけでいるのはいけない。未来に向けて、どうやってよい方向へ変えるかを諦めないで考えて、実行しなければいけない。

なんとかしてこの世界を救わないと。そして、勇者の代わりと言われたからといって諦めず、事態をよい方向へと変えるんだ。
この俺の道ケミカルロードを走り切ってやるんだ。

そして俺は王国、ジャバダ王国に着いたのだった。

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