神様にツカれています。

こうやまみか

第二章 13

 神様はアテにならないことが身に沁みて分かったので、泣きながら伸也に相談した。
 鼻水と涙でぐしゃぐしゃの顔が「ついきゃす」の動画に流れている。
 伸也は会話の感じから大学ではなくて自室にいるらしかった。
 神様が頼りにならないのなら伸也に頼るしかない。
 やばい。オレの人生がこれで終了。もともと、Fラン大学しか入れなかったのに、これでその大学も退学になる。名前と顔もバレている。就活の時に顔と名前でアウト。お先真っ暗。
 そんな思いがぐるぐると頭の中を回って(どうしよう、どうしよう)という大きな文字が頭の中と、涙、そして鼻水からも零れてくるような感じだった。
「取り敢えず、そこを離れろ。警察が来たらガチでやばいから」
 伸也のアドバイスに、死ぬ気で走った。
 でも、名前と顔、そして大学名までネットで晒されているので、逃げても無駄なような気がしたけれども、オレよか伸也の方が頭も良いし、頼りになることは知っていた。
 だから、とにかくこの忌々しい空き地から必死で逃げた。
「どこに行けば?」
 ハアハアという息と共に伸也に聞いた。もうこの世からバックれたい。
「取り敢えず、屋上かな。人居ないとか言っていたよな」
 屋上……。もしかしてそこから飛び降りろとか言うのだろうか?
「この鍵、開けることって出来るのか?」
 死んでも良い覚悟で必死に走ったせいか、面白がって追ってきた大学の人達を楽々と引き離して屋上まで必死に辿り着いたものの、ドアに鍵がかかっていた。
「そんなのお安い御用だぞ」
 神様は手に持った単なる針金を鍵穴に入れて回すとカチャリという音と共に扉が開いた。
『警察に通報したw』
『ド底辺大学の校内で大麻とかw』
『今北wウケるwwww』
『通報したw警察も見てるってさw』
 やばい!やばい!!やばい!!!どうすればいいのか全く分からずに、スマホの画面を絶望的な気分で見ていた。「ついきゃす」は画面にユーザーからのコメントも同時に流れていて、しかも参加人数は三万人を超えている。どんどんコメントが流れていて、目まぐるしく画面が切り替わっている。こんなにたくさんの人が見ているわけだから、警察に電話する人も多数居るだろうし、オレの名前とか住所、そして大学名なんてバレバレだ。しかも大麻を持って映っている画像だってあちこちに拡散されるのは目に見えている。

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