追憶
色違いのキーケース
お誕生日を祝ってくれた翌月
2人で買い物デートする事になった。
彼は仕事をある程度終わらせたら行けるようにする
と言ってくれていた。
付き合ってしばらくの間はコンビニに私の車を停めて彼の車に乗っていたが
事務所、に足を踏み入れてからはそこで待ち合わせる様になっていた。
その頃からだろうか、彼は待ち合わせの時間に遅れて来るようになっていた。
30分遅れて来ることなんてザラにあった。
けど彼は車の営業マンで、他府県に出向いて車庫証明を持って走り、お客さんの対応に追われ、車の点検迄してあげていたそう。
30そこそこなら働き盛りであって、そうなるのも当たり前だから気にしないようにしていた。
この日に待ち合わせたのは15時。
けれど彼が到着したのは15時半過ぎ。
これくらいで怒っていてはいけない。
そんな事より大好きな人に会えた事が何よりの幸せだった。
彼の車に乗って少し遠出。私の住む街は田舎だからHERMESやLVなどのハイブランド店は存在しない。他府県まで出ないと行けないのだ。けれど車を走らせ40分くらいで到着できる。
デパードのパーキングへ停めて店内へ入る。
たまに買い物には来るけれどわざわざハイブランドの店に入ることは無かった。
買い物するなら若い子向けの店がメインだ。
さっそくキーケースを見に店舗へ入った。
ショーウィンドウに並ぶ小物たち。
ブランド物に興味が無かった私は
アズールのキーケースに目が止まった。
アズールとは市松模様の白の柄。
可愛い〜と一目惚れした。
『これがいいの?じゃあ、決まりだね』
「ホンマにいいんですか?!んー。。涙!ありがとうございます!」
店員さんに声をかけキーケースを購入しようとする。店員さんは“イニシャルの刻印が出来ますがいかがですか?”と尋ねた。
『どうする?せっかくだし入れといたら?』
「じゃあ、お願いします」
彼は他にも見たいものがあったらしく、刻印が終わるまで店内を見回していた。
『この手帳もいいけどな〜』
「へぇ〜。。」
6万。高っ!!
その隣に置いてあったショルダーやハンドバックを眺めて
「涼太さん、キーケースやめて私これでもいいよ!」
『こらこら〜。自分で買いなさい』
と冗談まじりで怒られた。
「ケチ!」
『当たり前でしょ。何怒ってるの。笑』
そんな風にやり取りして、初めての店に興奮しながらいろんな商品を見て回った。そうしているうちに刻印が出来上がった。
出口まで見送られ店員さんは私に紙袋を手渡した。
軽く頭を下げて店を出た。
『他に行きたい店ある?』
「ううん。これだけで満足なんで、何もないです」
『じゃあ帰ろっか』
そんなに長くない買い物デート。
自分たちの街へ向けて出発した。
その日は珍しく色んなものをつまみたいという私の要望でファミレスで晩御飯を食べた。
普段涼太さんと居てファミレスにはあまり行かなかったから親近感を抱いた。
そのあとは事務所でゆっくりする事にした。ソファは二脚あるけれど、私は涼太さんの隣に座ってギュッと抱きついた。
『甘えん坊さんだね』
ヨシヨシと私の頭を撫でた。
「もう涼太さん!たまにはウチもヨシヨシしてあげようか?!」
私は頭を撫でてもらった後、彼の顔を自分の腕の中に抱きしめた。
「涼太くんヨシヨシ」
『な、何してるの?笑』
彼の頭を撫でている時
「、、あ!!涼太さん。。ちょっとオデコ広くなった?!笑    はげたの?!笑」
『はっはっはっ!笑』
彼のおデコをマジマジと見た事は無かったけれどヨシヨシ撫でてる間におデコが少し広い事に気がついた。ハゲてるとかじゃないんだけど。。こう、おデコの両サイドが少し広い。笑
『ちょっとー!ハゲてるとか失礼!笑』
『いやこれはね、昔流行ったのー。』
「え?!」
『スラムダンクって知ってる?』
「スラムダンクって、バスケの?」
『そうそう。昔流行ってね、それを真似して剃り込みしたら生えてこなくなったの。笑』
「何それ!笑    むちゃオモローい!ジェネレーションギャップやん!」
『まぁそういうこと』
ケラケラ笑う私。
『そういう事言うてたらお仕置きせなあかんね!』
「えー!?お仕置きして〜!」
私をヒョイとお姫様抱っこして、隣の部屋へ連れて行った。
そのまま愛し合うことになった。
こうしていつも熱いキスしてくれる。
背中から素肌に触れると素早くブラを外す。それから服をたくし上げて脇の下から胸の膨らみにかけて舐めて、先にはまだ到達しない。焦らしてくる。
「、、あぁっ、、」
ゾクっとする。
身をよじると胸の先に吸い付く彼。もう堪らなく欲情して、下着がドボドボになるのに時間はかからない。
下着の上からなぞってくる指。
『もうドボドボやんか。やらしい子』
優しく服を剥ぎ取られて、彼は私の蜜が溢れる所へ顔を埋めてしまった。
敏感になっている所を舐めながら彼の指が挿入されて、粘っこい水音が聞こえる。
あいている方の彼の手を握ったら、握り返してくれる。
それから
彼は私の上体を起こすように促し、抱きしめながら激しく手を動かして、、
感じ過ぎてすっかり疲れる自分。
仰向けのまま動けないでいる私。
私を意地悪な視線で見下ろしたけれど
その表情は大人のイヤラシイ視線。
私を気持ちよくしてくれた彼に次は私が奉仕してあげる番。
ちょっと強引にベッドへ肩を押した。
「早く!しゃぶってあげる!」
ニコニコ笑う私。
『何それ。。笑。なんの真似?笑』
「可愛いおじさん。。」
最近セックスする時は彼をおじさん呼ばわりするのが楽しかった。
フェラは苦手だったけど、この人の為ならむしろフェラは私なりの愛情表現になっていた。彼が満足するまで舐めてあげたいと常に思っていた。
『あんまりすると逝ってしまうわ』
「え?もう?!」
『桜ちゃんのフェラ上手くなってるし。誰かに練習したでしょ』
「あ、バレた?笑 」
『だとしたらまぁまぁショックやけどね』
そう言いながらベッドに端座位なってゴムを装着する彼。
私は彼がゴムを装着する間うつ伏せでジッと眺めた。
ムクッとこちらに身体をむけると
『そのままでいいよ』
「え?!このまま?!尻はやめて!笑」
『ははは。お尻でもいいけど?』
うつ伏せの私の膣めがけてゆっくり入ってきた彼の一部。
とても気持ちが良かった。
反応が良かったのか満足していたような彼はいつもの優しさじゃなくて、男の本能で腰を振っていたように思えた。
気持ちよさに浸って小一時間ほど寝てしまった。
すっかり日付が変わる頃帰る支度をしていた。
『たばこ一本だけ吸わせて』
「どーぞどーぞ」
彼が煙草をふかしている間買ってくれたキーケースの入った紙袋を眺めた。
嬉しくってついついにやけた。
ふと玄関の所のカウンター。
そこに置いてあった彼のカバンの横にあるキーケース。
ダミエのキーケース。
色違いだった。
偶然選んだのが色違いだっただけなのに
こんなに気持ちが舞い上がるとは。。
また一つ、胸がキュンとなっていた。
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