追憶
お誕生日おめでとう
成人式という最初で最後のビッグイベントを終えてから涼太さんと会う日がやってきた。今日は洋食のお店に夕飯を食べに来ていた。
『成人式どうだった?』
「え?なんかヤンキーとかいたで。笑
涼太さん、懐かしいやろ?笑」
『あぁ、僕らの頃もいたよ。派手なやつね』
「ウチは苦手やから付き合いは無いけど。あ、そうそう振袖こんなんやってん」
彼にスマホを差し出した。
『へぇ〜。桜たん、かわいいねっ』
「ぶはっ!ちょ。なになに?!桜たんて!笑笑」
そういうところがラブ。。涙
そんな風に話をしていたら店内が暗くなった。
「え?どうしはったん?停電?」
と言うと店員さんがハッピーバースデーを歌いながら、ロウソクの灯りが私に近づいてくる。
えーーーー?!
ほっぺに両手を当てて涼太さんを見る。
ロウソク越しに恥ずかしそうに私を見つめる彼。
パフェの上にロウソクが立っていて
パフェが乗る大きめのプレートには
桜ちゃんhappy birthdayと書かれていた。
灯りがつくと店員さんはお写真お撮りしましょうか?と尋ねてくれた。
しかし、涼太さんは写真が苦手だからと思い断ってしまった。
もうそんな事より、サプライズしようと思ってくれた彼に嬉しかった。
「え?え?え?ありがとうございますー!」
『お誕生日、遅くなってごめんね。11日が誕生日だったでしょ?20歳おめでとう』
嬉しくて嬉しくて
最高のサプライズで一年が始まった。
彼はサプライズなんてした事なかったから緊張したし恥ずかしかったと話してくれた。
『何か欲しいものある?』
パフェをモリモリ食べる私に尋ねた。
けれど、最近物欲が無かった。
「ん~。。特別欲しいものって無いけど。。」
『キーケースとかどうかな?』
「あ、そういえば。。」
私が使っていたキーケースはmiumiuのキーケース。それも、従兄弟にもらったお下がりで、お嫁さんが使っていた物。
使わないなら勿体ないからと、私が貰ったのだった。けど、端は所々痛んできていた。
『今度、僕も手帳買おうと思ってて。一緒にキーケース見に行こうか?』
「じゃあ、お言葉に甘えて!」
幸せいっぱいでその日は食事を終えてから帰った。
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