追憶

さくら

やっぱり気になる事


平塚さんとお付き合いを初めて2ヶ月ほど経っていた。



これまでは彼氏が出来てもあまり一途に走ることはなかったけど今回は違う。

心も身体もすっかり大人の魅力にハマっていた。


彼のつけている香水も大好き。
彼の男性らしい手も。
太らない様に気をつけてる可愛い姿も。
スリーピースのスーツを着こなすところも。
時々変態なところも。笑


ただのノロケ。でも事実だった。



が、そんな順調にいくはずはない。
私は北川先輩から聞いていた

“バツイチ”

これが気になって仕方がなかった。

自分の恋には前妻は関係ないし、バツイチでも今があるなら問題ないやん。そう思ってたから。そら、あんだけ容姿も良いんやから独身よりもバツイチの方があり得るって思ってた。

それよりも
モヤモヤする気持ちよりも
若い私は今、目の前に起きている“大好き”という現実だけで胸がいっぱいだった。



ある日、乗務を終えてから平塚さんとデートの約束をしていた。その頃にはお互いに
“涼太さん” “桜” と基本的には呼び合っていた。

4月も終わりを迎えそう。
涼太さんと合流したのは20時過ぎ。少し遅くなってしまった。
バスに乗る日は何時に帰れるのか分からないのが基本だ。


バスガイド2年目の私はここ数日、
県外からのお客様に県内を案内する。という仕事を受けていた。これがなかなか難しい。

心身共に疲れていた。
車を走らせる車中、仕事の愚痴をこぼしていた。


「今日は◯◯行ってたんやけど、途中で何説明してるのか分からへんくなってしまったわ。涙」

『はっはっは。ガイドさん大変だね。けど、頑張ってる姿はちゃんと見ててくれてると思うよ』

「ほうなんですかね〜。別に何か失敗したわけじゃないけど納得いかへんくって。ほんま、何でガイドになったんやろ?勉強も大変やし。良い事ないわ。。はぁ。。」

『大丈夫大丈夫。影ながらの努力があるからそうして案内も出来てるんやろ?』

ため息をつく私を彼はそう言って慰めてくれていた。


少し気持ちが楽になって気がつく

「あれ?てかどこ行くんですか?」

『え?あぁ、言ってなかったね。夜桜でも見に行こっか?もうシーズン終わってしまうんだけど、、前プライベートで見たいって言ってたでしょ?』

「うそ〜!行きたいっす!!わーい」

『そんなに嬉しい?なら良かった』

和やかな空気のまま目的地に到着した。


ライトアップされた桜。とても綺麗。
少し蒼い芽も出てたけど、それでもキレイ。

『お客さんも少ないし、ゆっくり一度桜ちゃんと来ようかなって』

「ホンマですね。てかヤバーい!綺麗過ぎる!ねぇねぇ!涼太さん写真撮ろう?!」

『ぐふっ。僕は写真嫌いやからいいわ。』

「何でよー!!」

『ピンで撮ってあげようか?笑』

「2人で撮りたいのにー、、」


ブーブー言いながらインカメで撮影し出す私。涼太さんは少し遠目でなら仕方がないと写真を撮らせてくれた。



ゆっくり桜を眺めて、手を繋いでみたり、桜を触ったり。恋人とこんな風に過ごすのは初めてだから新鮮だった。

30分ほど見てから車に戻った。


エンジンをかける彼。するといきなり

『桜ちゃん。俺、今日君の事抱きたいんやけど』

たまーに、そういう事言う涼太さん。
ビックリしたけど嬉しすぎた!

「え?!。。もうしょうがないな〜涼太さんったらー!このオヤジ!!」

『オヤジはないでしょ!』

2人でケラケラ笑いながら、今夜もホテルへ向かっていた。


大きなお風呂にお湯を張って、ゆっくり浸かることにした。私はあらためて全身裸を見られるのは嫌なので私が先に入って彼が後から入ってきた。しっかり照明も暗くして。

涼太さんの膝の間に私が座って、後ろから優しく抱きとめていた。


『ムラムラする』

「何言ってるんですか!笑」

『そら、好きな女性が目の前に裸で居たらムラムラするでしょ!』

そういうと涼太さんは私の胸を触ってくる。いきなりこしょばくって身をよじって抵抗する。

「ひゃはは!やめてくださいよー!」

そう言うのを無視して涼太さんはキスを落としてくる。

「んっ、、」

さっきまでこしょばくて不快だったのが快楽へ転がるのに一瞬の出来事だ。

『こんなに固くなってる』

と胸の先を転がす彼は意地悪な顔で私を見つめた。

『抱いていい?』

そう訊く涼太さんに迷うことなく「抱いてください」そう返事をした。


2人で手を繋ぎながら湯船を出た。私はドボドボの身体にバスタオルを巻いた。
バスタオルを巻いた私を抱きしめて洗面台の鏡の前で濃厚なキスをした。

そのまま、抱き合ってキスをしながら涼太さんは私を抱っこしてベッドへもつれ込んだ。


彼は私の耳を優しく噛んだ。そのあと、首筋からゆっくり下の方へ向かって舌を這わせた。

「涼太さん、恥ずかしい、、」

そう言うのを無視して身体に巻いていたバスタオルを彼にあっという間に外されてしまった。

『なにが恥ずかしいの?』

「ひゃっ。。」

胸に軽く口付けてからお腹、太もも、足。
順番に彼の舌が這って、足の指まで舐めあげた。色っぽい視線を私に注ぎながら。


『もう我慢できないわ。桜ちゃん。入れさせて』
ゴムを装着して、私の中に押し入る彼。


『君の中は何でこんなに気持ちいいの?』


イヤラシイ音が広がって余計に燃え上がる2人。お互いにしっかりと“好き”という気持ちは繋がっていた。

愛のあるセックスってこういうことだ。
彼は心も身体もいつも私を満足させてくれた。







2人でホテルを出たのは日付の変わりそうな頃だった。


帰りの車中で私は尋ねるべきか悩んだ末に思いきって切り出した。


「涼太さん。バツイチなんですか?」

『イキナリ何言い出すの?!』苦笑いしながら答えた。

「いや、何でこんなに男前やのに結婚してないんかなって」

『あー、、男前は違うけど、、。それ北川先輩でしょー?』

「そうです、、、」

『うん。正直、結婚してた時期あったよ』

「、、、あぁ、、えっと。。何で別れちゃったんですか?」

『んー。。。』

少し沈黙があった。彼は説明するために言葉を選んでいる様子だった。


『よくテレビで芸能人が離婚に至った原因はお互いの気持ちが離れたとか、すれ違いがとかって言うやん?』

「うん、、」

『けど、実際それだけやったら良いと思うねんか。けど、離婚する理由はあれだけが全ての理由じゃないと思うねん。結婚生活って難しいと思う。そんな単純なものじゃないから離婚してしまったんよな。』

「んー。。なるほど。。」


涼太さんの話しに胸が締め付けられたが現実を受け止めるしかない。

「子供さんはいるんですか?」

『うん。いるよ。向こうが引き取ったけど』

「寂しくないんですか?」

『聞くね〜!笑    大丈夫だよ。寂しいけどしょうがない。今は桜が居るしね』

サラリと話しが終わる方向へ向けられたと感じ取った。
もうそれ以上、何も訊くことは出来なかった。。根掘り葉掘り質問出来る内容じゃない。


「変なこと聞いてしまってすみませんでした」

『いいよいいよ。遅かれ早かれ、いつか訊かれると思ってたから。そんなんで嫌いになったりもしないし』

「はい。」



勇気を出してきいてよかった。。


一つ、進歩したと思ったから。




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