追憶

さくら

女の子の日常


翌日、寝るだけ寝て起きた。

すっかり時計は10時半を回ったところ。
天気もいい。

土曜日という事もあり、我が家の鉄工所も休みだ。

携帯をパジャマのポケットに入れて
皆が集う居間に下りていくと母しか居なかった。

「あれ?オトンは?」

『バイクでどっか行ったで』

「あー、そうなんや。ウチも行ったら良かったかなー。」

早川家はバイク一家だ。
父、兄、私は大型免許を持っている。
いとこのお兄ちゃん達も大型二輪を持つバイカーだ。

中学生の頃、父の大型バイクに乗せてもらってからすっかり魅力に取り憑かれた。


それまで家にバイクがある事も知らなかったのに。 
北海道ツーリングにタンデムで連れて行ってもらった事もあった。世界が広がった。

“16になったら二輪とるわ!自分で運転したい!”

意気込む私に父は大賛成。高校には内緒で二輪免許を取り、しばらくは250ccのバイクを乗っていた。

18歳を前に大型二輪にも興味を持った。
母は娘がバイクで事故をしたら嫌だから、と反対していた。大型免許となると速いバイクを想像して気が気じゃなかったそうだ。
そんな母を押し切って私は教習所へ通った。


父は娘がバイクに乗る事がとても嬉しかった様である。

私は今1200ccのハーレーダビッドソンを乗っている。ゴリゴリのアメリカンでは無く、スポーツスターという種類だ。


『昨日夜中に戻ったやろ?さくらが帰ってくんの遅かったからブーブー怒ってたで。お父さん。夜遊びし過ぎやって。ほんでたまにはツーリング付き合ったって』

「いやー。乗りたい気持ちはあるんやけどな〜。ちょい遊びに忙しかったんよ」


ボサボサ頭をかきながらキッチンへ向かった。

水をコップに注ぎ、携帯のホームボタンを押した。

受信一件

ドクっと心臓が鳴った気がした。


平塚さんからだった。


>昨日はありがとう。無事帰れたかな?

ふふっ。ニヤけてしまう。

>おはようございます。お仕事間に合いましたか?夜中まですみませんでした。眠たいと思いますが頑張って下さいね。

送信してから冷蔵庫の食べ物を漁った。


こんな嬉しい事は誰かにこの話を聞いてもらいたかった。

私はエリに電話をかけた。






『、、もしもし』

「エリ〜?もしかして寝てた?笑」

『、、うん。寝てた。』




エリはスナックで働いてる。本業にはしていない。簡単に言えばニート?フリーター? けれど、適当な性格じゃない。しっかり者で昔から頼れる存在だ。
保育所から中学までずっとクラスも一緒で親友だ。




『で、どした?』

「いや、今日空いてないよなー?」

『20時から仕事やしそれまでなら良いで』

「あ、ほなそれで。笑 」

『なに?昨日の事?笑笑』

「ぴんぽーん!!」

『うざー!!笑』

「うざーってどうよ?!  また都合いい時間教えて〜」

『惚気はかなんよ〜。ふっふっ。ほな、分かったで。とりあえず、もうちょい寝させてくれっ』

「おけ!ほなまた!」


電話を切った。


エリから連絡が来るまで少しダラダラ過ごし、ゆっくり化粧をし出す。


ファンデのノリがいい。
たった一晩でこんなに良くなるものなのか? 私の女性ホルモン頑張ってるわ。。


メイクの仕上がりに満足しながら昨日の余韻に浸っていた。


エリからメールが来たのは13時前だった。

エリの家まで車で数分。迎えに行く事にした。


「おつかれ!」

『おつかれっす!』

いつものノリで言葉を交わし、エリが助手席へ乗り込む。私は車を発進させた。


『で?平山さん?塚本さん?石塚さん?誰やっけ?』

「平塚さん。笑」

『やったん?』

「。。。ほーよ」

ニヤつくエリ。


今日は土曜日だから少し車が多い。スタバまでは15分くらいかかるだろう。その間昨日起こった出来事を全部話した。

エリは相槌をうちながら時々クスクス笑いながら聞いていた。

『大人の魅力ってやつやね。惚れてるやん』

「惚れてしまったわ。。」

話し終わると同時に到着した。
なかなか混んでいる。そんなに駐車場は広くないけれど、運良く停めることができた。

中のカウンターでオーダーを通してからホットメニューを受け取った。
私達は外の喫煙席へ。エリは煙草を吸う。
私はニワカ煙草だったが、近頃平塚さんと会うようになってからは煙草は吸わなくなっていた。


『そっか〜。そんな事があったんやー!』

「まさか、こんな風にお付き合いが始まるとは思ってなかったけど。エリは?」

『あたしはぼちぼちやでっ!男紹介してほしいわ』

そう言って煙草に火をつけた。

『まぁ今は夜の仕事楽しいからいいやけど、やぱ寂しいやん?笑』

「だれか紹介出来る人いたら良いんやけどなぁー。。あ、とりあえず夏は海行くやろ?!」

『ちょ!まだ3月3月!!笑笑    気ぃ早ない?』

2人でゲラゲラ笑っていつもの女子トーク


いつも気の早い私達はまだ3月だというのにスケジュール帳を取り出して7月、8月のページを開けた。


エリは日曜日が休みでそれ以外は働いている。いつも私がそれに合わせて希望休をとり調節していた。

遊びの段取りはあっという間に決まる。


女の子って何でこんなに話しがポンポン決まるんだろう。楽しくてしょうがない。


2人で1時間程話し込み、寒さがこたえてきた為場所を移動する事にした。

2人でゲーセンに行き
ノリで始めたゾンビを撃つゲーム。
案外面白くて思う存分楽しんだ。





「追憶」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く