追憶
恋人
私の車を停めてあるコンビニに着いた。
自分の腕時計を確認すると夜中の2時半を過ぎたところだった。
深夜ということもあり道は空いていたから早く戻ってこれた。
『お疲れ様。遅くまでごめんね。ありがとう』
優しく私を見つめて平塚さんが言う
「こちらこそすみませんでした。また、、」
私は手を離して車を降りようとした。
けれど、すでに心は平塚さんにすっかり奪われていてどうしてもキスしたかった。
ドアに手をかけたけど、もう一度平塚さんの方に向き直すと
どうしたの?と言わんばかりの彼の顔を
私は両手で包んでからキスした。
平塚さんから離れたくなかった。
『ふふっ』
と平塚さんの笑みが聞こえたと思うと
彼は私の後頭部に手を添えて
ホテルでしたような、濃厚なキスをしてくれた。
しばらくキスの音が車に広がって。
私は顔をうつむきながら離れた。
恥ずかしくて無言でいると
『桜ちゃん、案外積極的だね』
「...帰りたくなかったから。すみません」
『僕も。また連絡するね』
「はい。じゃあ、バイバイ」
笑顔が止まらない。
ほころぶ顔で車を降りてドアを閉めた。
閉めてからも手を振る彼は私の恋人だ。
満たされた心で車へ戻り家へ帰った。
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