追憶

さくら

2人きりになれる所


テンション上がりっぱなしで迎えた週末。
バスガイドの同期や先輩達は私の恋かどうか分からないこの状況を応援してくれていた。

バスガイドって女社会だからイジメとかありそうって思うかもしれないけどそんな事ない。基本的には一匹オオカミな気がする。人の悪口を言ってる暇はない。

人にも恵まれていた。悲しい事や嬉しい事があると同じ様に共感してくれて、仕事で困った時は助けてくれる。実は仲間意識はとても強かった。
すごく良い職場環境だった。






金曜日

平塚さんと会う日だ。前回と同じ店で食事予定であったが平塚さんの気遣いで私の町と店との中間地点のコンビニで待ち合わせた。
そこから平塚さんの車に乗り合わせで店に向かったのだ。
彼の乗る車は社用車である事が判明した。どおりで、背が高いのに軽自動車だったから不思議だった。
社用車で通勤していると言っていた。

社用車をプライベートに使っていいのか?笑


車内で私はさほど緊張することもなく、他愛のない会話で店に着いた。


2回目も同じ店だが何だかんだでメニューも多いし、綺麗な個室は居心地がよかった。

前より打ち解け、北川先輩の事をネタにした話題もあった。
料理も美味しく、唐揚げを頬張っていると

ジッと私をみて
『早川さん、美味しそうに食べるね』
と微笑んだ

「食べるの好きなんです。毎日ダイエットはしてるんですけどね」と苦笑いした

私の体重は48キロ。あぁ、理想は45キロだけれど揚げ物の誘惑には勝てない。

バスガイドは立ち寄りのお土産物屋さんで名物のお土産を貰ったり試食を貰ったりする。
時間に追われていつも早食い。痩せないわけだ。

『それくらいがちょうどいいよ。女性らしいし。早川さん可愛いからね』

ボッと、顔が赤くなった
唐揚げを頬張る顔を両手で隠してみたけど無理そうだ。

この大人は何言ってんねん!ドキドキさせんといてよ!
心の中で叫んでいた。


今日は改めて西暦で平塚さんの年齢を知ることになった。笑
「おいくつでしたっけ?」と聞くと

『え?!んーとねぇ、1976年生まれだよ。桜ちゃんは19歳でしょ?。。14歳離れてるね。笑』

「え?平塚さんが14歳の時にウチ産まれたんですね。笑」

『はっはっはっ!そういうこと。今33歳デス。。』

「あ、でも男は30からって言いません?笑」

『あぁ〜まぁねー。ありがとう。笑』




あっという間に時間は過ぎて、今回も平塚さんはレジの前で会計の金額を見せない様サッと支払いを済ませてくれた。


店を出た後私は平塚さんの車に乗り込んだ。

『さ、行きましょうか』
「お願いします」

車を出した彼は来た道を戻る。
私は急に寂しくなってきて、会話が続かなくなっていた。


平塚さんは運転しながら私をチラチラと何度も見てくる。

「な、なんですか?!」と聞くと

『君の横顔がキレイやな〜って見惚れてるんです』

「は?!」

間抜けな声だった

「そんなの初めて言われましたけど。あんまり褒めんといて下さい」ハハハと笑いながら答えた。

『ホントに思ってるよ』
とまだ平塚さんはジロジロ見てくる。

『見惚れて事故してしまうかもね。』

「その手には乗らないですよ〜。」

それにしても、ウチ返し下手くそ~!涙
てかさ、ウチの事口説いてる?!
内心喜ぶ単純娘の私は平塚さんとまだ居たいと思っていて。。
黙り込んでしまった。


無言になる私に気づいた平塚さんは
『どうしたの?』と不思議そうに聞いた。

しばらく私は黙って
何て言おうかな、、って考えていたハズなのに

「いや〜、、帰らなあかんのかぁと思って」

つい本音を口走りそのまま外を眺めた。


『ブハッ!それって、どういう意味?』
平塚さんはとても驚いた様に言った

「んーと、んーと、まだ帰りたくないんです」

『僕は良いけど。どこか行きたい所あるの〜?』
平塚さんは私に質問した

口ごもって私は漫画の様に頭を抱えた。、
けど、ついに決心した

「2人きりになれる所に行きたい、、」
私は意味ありげに答えてしまった。

平塚さんは『え?!』と驚いていた。

「あ~。言ってしまったー!すみません!」

また頭を抱えて平塚さんに謝った。
平塚さんは驚いた表情だけど、なんだか嬉しそうに

『それって、誘ってる?』

ニヤリと口角を上げると真っ直ぐ向かうハズの信号を左へ曲がった。



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