追憶

さくら

その日はおとなしく、、


平塚さんとは19時半からお店に居たけれど腕時計を見ると21時半だった。

『もうこんな時間だね。そろそろ行こっか』

「そうですね。行きましょう」

携帯を鞄へ片付け帰る支度を始めた。


2時間ほど話をした。彼の仕事は前にも聞いたように車の営業マンだった。身なりもしっかりしていて、着けている時計はロレックスだった。

19歳の私は"大人はやはりロレックスなのか。。"と食事中ふむふむ偵察していた。

お会計の時に平塚さんが鞄から出したのはルイヴィトンのラウンドファスナーのグラフィットだった。

それも密かに偵察する私は男を金でしか見ていない馬鹿な小娘だった。


しかし、そんながめつい性格でもない私は少しでもいいから会計にお金を出したくて
半分ほどのお札を渡そうとしたが

『いいからいいから、しまっておいて』
と、軽い感じであしらわれた。

「え、でも嫌です」

『僕の方が大人だからね』

と会計を続けた。


たしかに、この2時間の会話の中で平塚さんに年齢を尋ねると
33歳であった。私が19歳である事を伝えると彼はビックリしていた。
北川先輩からは私の歳まで教えていなかったらしい。

ほんと、私よりはるかに大人だ。
当たり前か。そう思いお金を財布へ引っ込めた。


「2回もご馳走になってしまってありがとうございました」

『いいよ!また次、お茶でも奢ってくれる?』

「ぜひ!」

私は嬉しくて自分でも驚くくらいニッコリ笑顔で即答した。

店を出る頃には22時前だ。

『じゃあまたね、気をつけて帰って』


「はい、ありがとうございました」

平塚さんに頭を下げ、自分の車へ戻った。
平塚さんは私の車を見送ってから自分の車を走らせた。

珍しく、ばっちりお出かけメイクの私が
夜中に帰らず帰宅。夜遊びせずにおとなしく帰ってきた私を見て母親は少し驚いていた。






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