追憶

さくら

視線


店の入り口で北川先輩と落ち合った。

相手の名前で予約されていたその個室へ案内された。

そこには先ほど入り口で見かけた男性2人の姿があった。

スーツを着ている人はスラリと背の高いイケメンだ。もう1人は少しガタイの良い、イケメンでは無いけれどクマさんみたいに丸っこい、優しそうなイメージの人だ。

先輩はイケメンの正面に、私はクマさんの前に座った。店内は掘りごたつだった。

北川先輩が私を紹介してくれた。

『この子は早川桜。私の後輩です』

「あ、早川です。はじめまして」
と軽く2人に頭を下げた。

相手側も紹介してくれた。

クマさんは土井学さん
イケメンは平塚涼太さん

土井さんは工場に勤めている。
平塚さんは車の営業マンだという。


北川先輩はバスガイド以外にスナックでバイトもしており、手際よく運ばれた料理の取り分け役をしてくれた。話しも上手く回してくれたおかげで皆が沈黙することは無かった。

平塚さんと北川先輩は以前の飲み会で知り合ったらしく“涼ちゃん”と度々口にしていた。仲はまぁまぁ良いようだ。



私はイケメンにあまり耐性が無い。
大抵のイケメンには遊んでポイされる。だから私は少し壁を作っていたのか、平塚さんと話をすることはあまり無かった気がする。

目の前に居るクマさんみたいな土井さんと話しをする方が気楽だった。笑

基本、目上の人は苗字で呼ぶことが当たり前だったから2人の名前まですっかり忘れていた。
てか、下の名前何やったっけ?とか時々考えながら会話していた。


食事が始まってから時間も経ち、皆もリラックスしている雰囲気だった。そんな時

『さくら〜、土井さんクマさんみたいじゃない?!』と私に話しかけた。



「そうそう!癒し系って感じですよね!思ってました〜。笑」

私は土井さんとばかり喋っていた気がする。時々4人で話題を共有するのだが、私はついつい土井さんにばかり話しかけてしまう。イケメンは苦手だから。

土井さんと会話が弾み、隣の平塚さんが視界に入った時ジッと視線を感じる事が数回あった。

ドキっとする男性の視線。今まで見たことの無い色気を感じた。

けれど私は自分の化粧が濃いのか?もしや青のりとか歯についてる?!と内心焦っていた。




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