異世界転移して無双できるほどこの世は甘くなかったようだ…
第2日目(2)〜作戦会議〜
朝食を終え、俺たちはすることがなくなったのでテレビを観ていた。テレビは相変わらず死を運ぶ者(デス・ブリンガー)のことを報道している。
だが、討伐に俺たち学生が使われているという事実は伏せられているようだ。悔しい現状だ。
「なぁ、今俺らは何すればいいんだ?何も連絡ないし…」
「多分今日は何もしなくていいんじゃないかな。確か、40人の生徒を20人のグループ2つに分けてなかった?多分その2つのグループを毎日交代で戦わせるつもりなんだよ、坂田(あっち)は」
「そういうことか。んじゃ今日は暇だな」
「まぁ端的に言うとそうなるね…」
「なぁ麗馨、お前、もしかして眠たい?」
「うん…今思ったら寝たの結構遅かったのに普通の時間に起きたもんね私…ごめん、ちょっと寝るよ」
「俺が膝枕しようか?」
冗談半分で聞いてみた。
「あ、してくれるの?んじゃしてしてー」
麗馨はあどけない笑顔を見せながら本当に俺の膝に、横になった。正直、冗談半分だったのでかなりビビったが、するといった手前、やらない訳にもいかない。
「ふぅ…」
俺は諦めたように小さな溜息をついた。
そのまま数分。麗馨が寝息を立て始めた。麗馨は寝顔も本当に可愛い。
俺は麗馨の髪を撫でた。さらさらだ。仄(ほの)かにリンスの匂いもする。言い方は変だが、こうやって麗馨を見ていると、優越感のようなものが感じられる。と、その時。
「…み…な…と…」
麗馨が声を発した。
「麗馨?まだ寝てなかったのか?」
麗馨が寝ていなかったとしたら、髪を撫でたとか諸々を見られてというか、気付かれてしまったことになる。しかし、麗馨は
「…んぅ~ん…」
どうやら先ほどの言葉は寝言のようだ。まったく、紛らわしい。
と、その時。俺と麗馨の携帯が同時に鳴った。俺はズボンのポケットの中から携帯を取り出し、画面を確認した。どうやら敦がLIMEを送ってきたようだ。
しかし、どうして麗馨の携帯と俺の携帯が同時に鳴ったんだ…?そんな疑問を抱きつつ、送られてきた内容を確認する。
"これからやりたいことがあるから2人とも俺たちの部屋に来てくれ"
そんな内容だった。やりたいこと…?まぁ、敦のことだから何か考えがあるのだろう。となると、幸せそうに熟睡している麗馨を、俺は起こさなくてはならないのか…起こしたくはないが致し方ない。
「麗馨、起きてくれ」
「…ん~…」
「起こしてすまん…なんか敦がLIMEで、あいつの部屋に来いって言うから起こした」
「2人で来いって?」
「多分そういうことだろ。携帯見てみろよ」
麗馨は携帯を確認した。
「ほんとだ…てか、敦、LIMEのグループトーク作ったんだね」
「あいつそんなことしてたのか…」
俺もLIMEを確認した。確かにグループが作ってある。グループ名は…
"一致団結~怪物討伐を目指して~"
あいつのネーミングセンスのなさがうかがえる。あいつ中二病かよ…しっかりサブタイトルまでつけてるじゃねぇか…
「湊、行こっか?」
そんな考え事をしているうちに、麗馨が声をかけてくれた。
「おう、行くか」
俺たちが敦と薫の部屋に着くと、
「まぁ取り敢えず座れよ」
と、敦が椅子を用意してくれ、俺たちは座った。
「やりたいことってなんだ?」
俺が聞くなり、敦はこう言った。
「お前ら2人付き合ってるだろ」
「っ…」
俺は言葉に詰まった。麗馨もこの時ばかりは顔を赤くして俯いている。
「ビンゴだな」
「ま、まぁな…」
俺はようやく言葉を発した。
「お似合いだと思うよー」
あっけらかんとして、薫がそう言ってくれた。
「いやぁ、初々しいね~。お二人さん、顔が真っ赤ですぜ?」
敦が茶化してくる。
「かっ、からかうなよ…てか、そんなこと聞くためだけに俺らを呼んだのか?」
あ、そうだった、といった風に敦が咳払いした。
「今日俺がお前らを呼んだ理由は、あの怪物についてのことで話があるからだ」
「んで、話って何だよ」
「まぁまぁ、そう急かすな。…一つ質問したいんだが、俺たちはこのままずっと戦って魔物に勝てると思うか?」
「勝てると思うも何も…やるしかねぇんじゃねぇのか?」
「麗馨はどうだ?」
「私は…勝てるとは思えないかな…」
「お、麗馨はよく分かってるな。その通り、俺たちはこのままじゃあの怪物には勝てない」
「どうして断言できるんだ?」
「魔物に勝つ鍵となるのは、超能力だってのは知ってるよな?」
「おう」
「でも、見た感じ、誰か一人がすごい能力を持ってるとかそういうわけじゃない」
「すごい能力って?」
敦の横にいる薫が口を挟む。
「例えば…うーん、俺はそんなに喩えが上手くないから伝わるかどうか分からんが…例えば、無敵になる能力とかさ」
「んー…ちょっとわかんないかも」
薫は苦笑した。
「まぁそのうち分かるさ。結論から言うと、俺たちは協力して、全員で魔物に立ち向かわないといけないんだ。誰かに頼りたくてもそんな能力のあるやつなんていねえし」
「…」
四人全員が沈黙した。それぞれで考えを巡らせているのだろう。俺は素直に、こう聞いた。
「でも、全員で協力ってどうしたらできるんだ?」
「そこなんだよ問題は。俺が全部指図できるんだったら話は別だが、現実はそうはいかねぇ」
「え、できるんじゃね?敦くらいイケメンなら」
「お前、褒めてないだろ…」
「はいその通りです」
敦は呆れてしまった。
「んで、倒す方法を考えるために私と湊を呼んだってこと?」
「まぁそういうことだ。麗馨は何かと物分かりがいいな」
「けっ、俺は頑固で悪うござんした」
「まぁまぁ卑屈になるな。んで、何かいい方法ないか?みんなをまとめられるような」
全員が沈黙する。
だが、討伐に俺たち学生が使われているという事実は伏せられているようだ。悔しい現状だ。
「なぁ、今俺らは何すればいいんだ?何も連絡ないし…」
「多分今日は何もしなくていいんじゃないかな。確か、40人の生徒を20人のグループ2つに分けてなかった?多分その2つのグループを毎日交代で戦わせるつもりなんだよ、坂田(あっち)は」
「そういうことか。んじゃ今日は暇だな」
「まぁ端的に言うとそうなるね…」
「なぁ麗馨、お前、もしかして眠たい?」
「うん…今思ったら寝たの結構遅かったのに普通の時間に起きたもんね私…ごめん、ちょっと寝るよ」
「俺が膝枕しようか?」
冗談半分で聞いてみた。
「あ、してくれるの?んじゃしてしてー」
麗馨はあどけない笑顔を見せながら本当に俺の膝に、横になった。正直、冗談半分だったのでかなりビビったが、するといった手前、やらない訳にもいかない。
「ふぅ…」
俺は諦めたように小さな溜息をついた。
そのまま数分。麗馨が寝息を立て始めた。麗馨は寝顔も本当に可愛い。
俺は麗馨の髪を撫でた。さらさらだ。仄(ほの)かにリンスの匂いもする。言い方は変だが、こうやって麗馨を見ていると、優越感のようなものが感じられる。と、その時。
「…み…な…と…」
麗馨が声を発した。
「麗馨?まだ寝てなかったのか?」
麗馨が寝ていなかったとしたら、髪を撫でたとか諸々を見られてというか、気付かれてしまったことになる。しかし、麗馨は
「…んぅ~ん…」
どうやら先ほどの言葉は寝言のようだ。まったく、紛らわしい。
と、その時。俺と麗馨の携帯が同時に鳴った。俺はズボンのポケットの中から携帯を取り出し、画面を確認した。どうやら敦がLIMEを送ってきたようだ。
しかし、どうして麗馨の携帯と俺の携帯が同時に鳴ったんだ…?そんな疑問を抱きつつ、送られてきた内容を確認する。
"これからやりたいことがあるから2人とも俺たちの部屋に来てくれ"
そんな内容だった。やりたいこと…?まぁ、敦のことだから何か考えがあるのだろう。となると、幸せそうに熟睡している麗馨を、俺は起こさなくてはならないのか…起こしたくはないが致し方ない。
「麗馨、起きてくれ」
「…ん~…」
「起こしてすまん…なんか敦がLIMEで、あいつの部屋に来いって言うから起こした」
「2人で来いって?」
「多分そういうことだろ。携帯見てみろよ」
麗馨は携帯を確認した。
「ほんとだ…てか、敦、LIMEのグループトーク作ったんだね」
「あいつそんなことしてたのか…」
俺もLIMEを確認した。確かにグループが作ってある。グループ名は…
"一致団結~怪物討伐を目指して~"
あいつのネーミングセンスのなさがうかがえる。あいつ中二病かよ…しっかりサブタイトルまでつけてるじゃねぇか…
「湊、行こっか?」
そんな考え事をしているうちに、麗馨が声をかけてくれた。
「おう、行くか」
俺たちが敦と薫の部屋に着くと、
「まぁ取り敢えず座れよ」
と、敦が椅子を用意してくれ、俺たちは座った。
「やりたいことってなんだ?」
俺が聞くなり、敦はこう言った。
「お前ら2人付き合ってるだろ」
「っ…」
俺は言葉に詰まった。麗馨もこの時ばかりは顔を赤くして俯いている。
「ビンゴだな」
「ま、まぁな…」
俺はようやく言葉を発した。
「お似合いだと思うよー」
あっけらかんとして、薫がそう言ってくれた。
「いやぁ、初々しいね~。お二人さん、顔が真っ赤ですぜ?」
敦が茶化してくる。
「かっ、からかうなよ…てか、そんなこと聞くためだけに俺らを呼んだのか?」
あ、そうだった、といった風に敦が咳払いした。
「今日俺がお前らを呼んだ理由は、あの怪物についてのことで話があるからだ」
「んで、話って何だよ」
「まぁまぁ、そう急かすな。…一つ質問したいんだが、俺たちはこのままずっと戦って魔物に勝てると思うか?」
「勝てると思うも何も…やるしかねぇんじゃねぇのか?」
「麗馨はどうだ?」
「私は…勝てるとは思えないかな…」
「お、麗馨はよく分かってるな。その通り、俺たちはこのままじゃあの怪物には勝てない」
「どうして断言できるんだ?」
「魔物に勝つ鍵となるのは、超能力だってのは知ってるよな?」
「おう」
「でも、見た感じ、誰か一人がすごい能力を持ってるとかそういうわけじゃない」
「すごい能力って?」
敦の横にいる薫が口を挟む。
「例えば…うーん、俺はそんなに喩えが上手くないから伝わるかどうか分からんが…例えば、無敵になる能力とかさ」
「んー…ちょっとわかんないかも」
薫は苦笑した。
「まぁそのうち分かるさ。結論から言うと、俺たちは協力して、全員で魔物に立ち向かわないといけないんだ。誰かに頼りたくてもそんな能力のあるやつなんていねえし」
「…」
四人全員が沈黙した。それぞれで考えを巡らせているのだろう。俺は素直に、こう聞いた。
「でも、全員で協力ってどうしたらできるんだ?」
「そこなんだよ問題は。俺が全部指図できるんだったら話は別だが、現実はそうはいかねぇ」
「え、できるんじゃね?敦くらいイケメンなら」
「お前、褒めてないだろ…」
「はいその通りです」
敦は呆れてしまった。
「んで、倒す方法を考えるために私と湊を呼んだってこと?」
「まぁそういうことだ。麗馨は何かと物分かりがいいな」
「けっ、俺は頑固で悪うござんした」
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