魔勇王者~魔王は勇者であり、勇者は魔王である~

私氏

国の為が悪

とりあえずあの洞窟からは出てきたが、あれはあまりにも酷い。人間を人間と見ていないのだろう。キメラは動物と人間を合わせて作っていたらしい。
「胸糞悪いな」
俺がそう呟くとメナトも一瞬暗い顔をした。
「そうですね。しかしなんの為にあんな実験をしていたのでしょうか?」
「さあな。一応資料は持って来たから後で読み直してみるか」
俺とメナトはみんなのいる拠点までの帰り道、一言も話さず無言だった。

みんなのいる拠点に帰るとみんな起きて飯を食べていた。
「おークロムどこに行ってたんだ?お前の分の飯無くなっちまうぜ」
カイムは笑いながら話しかけて来た。
「飯はいい。みんな今日洞窟に行く予定だったが中止だ。国に帰還するぞ」
それを聞いたカイムは驚いた顔をしていた
「なんでなんだよ!」
カイムは息を荒らげた
「落ち着きなカイム!クロムどうしてだい?妾達に理由は話せないかい?」
ミレイはカイムを制し、俺にそう聞いてきた
俺は少し話すべきか考えたが、みんなを巻き込みたくなかった。
「……理由は話せない」
「そうかいなら仕方ないね。カイム!カグラ!国に帰るよ」
カイムは納得はしていなかったがミレイの言うことには逆らえないので、素直を従った。
カグラは無言で首を振り、拠点の撤収を始めた。
しばらくするとカグラとカイムが荷物を馬車に詰め声を掛けてきた
「クロム詰め終わったぞ」
「そうか」
俺は馬車に乗り、国に帰るのだった

俺たちは国に到着し、とりあえず仲間とは別れ宿に向かった。
資料をもう少し読み情報が欲しい。国に報告する時も話しやすくなるだろう。
宿に着き、自分の部屋に入ると直ぐに資料を読み始めた。
内容は簡単にまとめると
・人体実験の内容と結果
・キメラ作製の内容と結果
・施設が作られた訳
・謎の紋章
こんな感じのことが綴られていた
(明日にも報告に行こう)
俺はそう思って横になった。

次の日の朝。俺は早めに起きて城に向かうことにした。城に行く途中にメナトの宿に向かった。
メナトの部屋の前でノックをしたが出てこなかったので扉を叩いた
するとゆっくりと扉をがあき中から部屋着姿のメナトが目を擦りながら出てきた
「もぉ〜誰ですかこんな朝に」
「俺だが」
メナトは俺の姿を見た瞬間に、電気が走ったかのようにビクンと震えた。
「な、なんで!クロム様がここに!今日休みですよね!てか私部屋着だし!」
などとあわわとしているメナトを尻目に俺は部屋に無理やり入った
「ちょっと!勝手に入らないで下さいよ!」
「気にすんな。すぐに出ていく」
涙目になっているメナトだったが、俺の前に座った
「もぉー!なんですか一体。こんな朝に」
「まあ落ち着け。俺は今日洞窟のことを王に話してくる」
「なるほど。私に着いてこいと」
「いや違う」
自分の回答を速攻否定されてメナトはいじけた。顔をふくらませながら聞いてきた
「じゃあ何ですか?」
俺はメナトを見て答えた
「俺が1人で見つけたことにする。あまりいい報告でもないし、何かと巻き込まれれば面倒だろ?」
「そうですねー面倒事は嫌いですけどクロム様に押し付けるのも悪いような」
「いいって俺が行ってくるからよ」
これ以上話しているとメナトが面倒くさくなるので、俺はメナトの部屋を速やかに出ていくことにした

メナトの家から少し歩いた所に城の門がある。そこには数人の見張り兵がいた
「勇者様お疲れ様です。何のご要件でしょうか?」
「国王に報告があって来た。連絡を取ってくれ」
1人の兵が魔法を使って連絡を取っていたので少し待っていると
「すいません国王がいま急用で会えないとのことなので、王子でもよろしいでしょうか?」
俺はこれを聞いて、正直王でも王子でも報告さえ出来れば良いと思ったので、
「ああ構わない」
そう言うと連絡をしていた兵が案内してくれるらしいので着いていった
俺は城に入り、少し歩いたところで
「勇者様ここでございます」
「ありがとな」
俺は扉を開けて中に入ると、そこには第1王子のアレスと第2王子カロスがいた
「おお勇者!何かしらの情報を得たと聞いたが本当か?」
アレス様がかなり食い気味に聞いてきた
「落ち着いてくださいアレス。勇者様良ければお話頂けませんか?後々父上にも報告致しますので」
カロスは興奮気味のアレスをなだめて情報の開示を求めて来た
「ああ。洞窟の奥でこんなものを見つけた」
そう言って俺は1冊の資料を見せた
「なんですかこれは?」
カロスが聞いてきたので、
「洞窟の奥で行ってた実験の資料だ」
「ほう。勇者よ感謝するぞ」
そう言ってアレスは資料を受け取り、兵士に渡した
「おいこの内容をまとめさせろ」
「はっ!」
兵士が部屋をg出ていった
「勇者様お疲れでしょう。今日は城にお泊まりください」
そう言われたのでお言葉に甘えることにした。
カロスは兵士をひとり呼び、小声で伝えた
「勇者様を案内してやってくださいな」
「了解です。勇者様こちらへ」
俺は兵士に促されて部屋を後にした

「おいカロスどうするよ」
「アレス落ち着きなさい」
「しかしよ!このままだと俺たちがこの実験に関わってることが父上にバレちまう」
「困ったものですね。父上にもバレずに事実を歪ませられる手はないでしょうか?」
「カロス。父上を殺っちまって、勇者に罪を着せて処刑しちまえばいいんじゃないか?」
「そうですねそれがいいでしょう。ちょうど勇者もここにいますし、罪を着せるのは簡単でしょう」
「なら今日の夜に決行だな」




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