君への想い

case

出会い

それは中学2年の春。心地いい風の吹く、夕方の頃。

「お、俺と付き合って下さい!」

俺はきっとこの瞬間のことを一生後悔すると思う。何故なら

「ごめんなさい。あなたとは付き合えません」

俺はきっぱりと断られたからだ。
それ以来、俺は好きになった女子に告白が出来なくなった。また断られると思うと腰が引けて何も出来なくなるからだ。自分でも情けないと思うがこればっかりは何とも…。




時が過ぎ3年後





「なぁ、誠也ー」

「ん?どうした?」

「本当に運命の出会いってあると思うか?ちなみに俺はないと思うがな。なんてったってこの世界はろくなことがないんだからよー。お前も知ってるだろ?俺が中学の時に振られてそのショックからか、女子に告白するのがトラウマになったことくらいよー」

「誰もお前の意見なんて聞いてないけどな。あと、その振られてトラウマになったって話何度目だ?もうさすがに聞き飽きたぞ。まぁそれはそれとして、運命の出会いってのが本当にあったならロマンチックだとは思うがな」

この、らやたら俺に冷たいやつは田中誠也。
俺の小学校からの幼なじみで何やかんやここまで一緒に来てしまった。まぁ腐れ縁ってやつだ。

「そう言うなよ。未だに克服できずに、好きになった女子にすら思いを伝えられずにほかの男に取られて挙句の果てにさらに、トラウマを植え付けられて…。もういっその事運命の出会いとか何とかで女の子の方から告白してくんねーかなー」

そして俺達はいつもの見なれた通学路を歩く。ここは田舎でもなければ都会でもない。徒歩10分でコンビニには着くけど周りには田んぼもある。そんな町だ。

「そんな都合のいい話あるわけないだろ」

誠也は怪訝そうに言う。

「ちょっとくらい夢見てもいいじゃねぇーかよ」

そんな話をしているうちに分かれ道に立った。

「じゃあな誠也」

「おう。また明日な」

そんないつも通りの会話を終えて俺は再び帰路に戻る。
そこで俺はいつもとは違う”何か”が目に入った。

「あれはなんだ?人か?」

行ってみると電柱のすぐ側に人が倒れていた。

「あ、あのー。大丈夫ですか?」

俺はそう尋ねると彼女は重い腰をあげ、こちらを向いてきた。帽子で隠れていたせいか、倒れている時は顔まではみえなかったが、まるで、天使が舞い降りたかのような感覚に陥った。肌は透き通るように白く、一際目立つ大きな瞳にはさぞ驚かされた。それに加え、黒髪は綺麗なストレートで、より、肌の白さを際立たせているようだった。

「あ、あ、あのー。あなたは?」

俺はこんな可愛いこと話したことはなかったので少し声が上ずってしまったが、引かれてはないだろうか?そんな心配をしながら再び彼女の方を見る。

「私ですか?私は堀江真紀奈です」

思った通り、透き通るような綺麗な声だった。

「堀江さんはなんでこんな場所に倒れていたいたんですか?こんな何も無い場所に」

「私は一体何をしていたんでしょうか__」

彼女は少し考えるような素振りを見せ、思い出したかのように次のように口を開いた。

「そ、そうです!私、ここに越してきたばかりで散歩に出たのはいいのですが、自分の家への帰り方が分からず、迷っていたんです。そしたら急に目眩がして。何か心配かけてすみません…」

彼女はそう口にすると、おもむろに顔の表情が歪んでゆく。

「お、俺でよければ家の住所とか教えてもらえれば送れますけど、見ず知らずの男に住所を教えるなんてやっぱり___」


「い、いえ!ぜひお願いします!」

俺は唖然とした。ま、まじで?さらに、こんな簡単に住所を教えるなんて思ってもいなかったからだ。
冗談で言ったつもりが、本当に送っていく羽目になるとは…。

「ほ、本当に住所なんて教えていいんですか?」

俺は疑問そうにそう問うと彼女はこう切り出した。

「ええ。知られても別に構いませんよ。だってあなたは…。いいえ。失言でした。気にしないでください」

失言?何がだ?さっぱり分からん。俺は彼女に更にこう尋ねる

「なんでこんな所に引っ越してい来たんですか?親の仕事の関係とか?」

「一身上の都合で…」

彼女は言葉につまらせながらそう答えた。

「そ、そうなんですね」

二人の間にしばし沈黙が訪れる。
先に口を開いたのは堀江真紀奈のほうだった。

「そう言えばあなたの名前は?まだ聞いていませんでしたよね」

そう言えばまだ言っていなかったな。

「俺の名前は小田真。小田は小さいに田んぼの田。真は真実の真と書くんです」








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長くなりましたがここまで読んでいただき、ありがとうございます!感想や誤字・脱字などあれば是非コメントで教えてください!

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