三尊

ハッシャー

Cold blood

体は生き残ったが、心は死んだ俺はロボットになった。
信じられるのは自分だけだ。
もっと言えば、金だけだ。
行き着いた結論に揺らぎはなかった。
金が欲しい。
その為ならなんでもどんなことでもできた。

あらゆる人間や機会を利用し尽くし金を儲け、

そして、今、俺は本当に死んだ。

昨日寝た女の婚約者とかいう奴が待ち伏せして俺を刺したらしい。
ぼんやりしてよく思い出せない。
暗く、荒廃した道をひたすら歩いていく。勝手に足が動き止まることが出来ない。
周りには生気をなくして、肩を落とし顔をうつむかせている多数の人影がゆらゆらと歩いている。
俺も他から見たらあんな感じなんだろう。
どこまで行けばいいんだ?

終わりは唐突に訪れた。

周囲に人影がなくなったと思いきや、辺りが光に包まれる。
もやもやした影のようなものから話しかけられた。

「こんにちは、どうだった?この世」

ていうか誰?何?

「あ、僕?神かな、いわゆる、ちょっと違うけど、まあそんな感じ」

神とか本当に勘弁してくれ、何一ついいことなんかなかった
何一つ望みも叶わなかった

「いや、いいことたくさんあったし、望みも叶ったじゃん、お金、儲かったしさ、君、割とラッキーボーイよ」

ふざけんな

「ん?不満そうだね〜…難しいお人だ。まあいいや、ほんとは君、この世の行いでこれから行く場所、天国とか?地獄?みたいな?が決まるはずだったんだ。でもイマイチ判断がつきかねててね、割と人生ハードモードの中頑張ったのは認めるけど、生き方がね、なんかちぐはぐなんだよ」

ちぐはぐ?

「もうちょい不便な時代とかの方がよく見れるのかな、よし、もう一回、人生、別の場所と時間でやり直してもらいまーす」
そうして視界が再び暗転した。





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