十の学院と略奪者
episode8
その日は放課後まで特に何かあることは無かった。
尤もこれから悠人はやらなければならないことがあるのだが。
悠人が帰りの支度をしていると、後ろから勝斗が声をかけてくる。
「なぁ、悠人。マジで行くのか?」
「行くしかないだろ?お前も退学かかってるんだし」
「そりゃあそうだけどよ……」
勝斗にもいつもの様な元気がない。彼なりに心配しているのだろう。
そしてそれは沙耶と香織も同様だった。
どこか落ち着かない雰囲気で悠人を伺っている。
「まぁ、やるだけやってみるさ」
悠人はそう言って競技場へと足を運んだ。
四皇帝学院には七つの競技場が一つの施設に集約されて存在している。
その建物は六角形に造られており、"明星館"と称されている。
明星館の中央が第一競技場となっており、第一競技場を囲む様に第二から七までの競技場がある。
悠人は現在、明星館の第三競技場に足をつけていた。
そこには既に先客がいる。
Aクラスの厚木だ。
「逃げずに来たことだけは褒めてやる」
「もともと逃げる選択肢なんてなかっただろ」
「ククク、それもそうだな」
競技場はかなり広い作りになっている。
悠人と厚木でさえ、早退しているとはいえ二十メートルは離れていた。
また、観客席も設けられており、そこには厚木の取り巻きや姫百合、それにCクラスからは勝斗、沙耶、香織が顔を覗かせていた。
「ルールはどうなっているんだ?」
「簡単だ。相手を気絶させるか戦意を喪失……つまり降参を宣言すれば勝敗は決まる」
「分かった」
「ふん。余裕そうだな?Cクラス風情で……神装魔機那は使わないのか?」
「使ってもいいのか。でも生憎今は持ち合わせていない」
「平民だから持っていないですと素直には言えないか、まぁいい。おしゃべりはここまでだ」
厚木がブレスレットに手を掛ける。
何かを操作したのか、それによって競技場に備え付けられているスピーカーから無機質な声が鳴り響いた。
『決闘の受諾を確認。これより学院の名の下に生徒の異能の使用を許可します。カウントダウンが終了次第、戦闘を開始してください』
10……9……8……と単調にスピーカーから音が流れてくる。
厚木は既に戦闘態勢に入っている様だった。
よく見ると右手の甲には機械じみた何かを装着していた。
恐らくあれが厚木の持つ神装魔機那なのだろう。
4……3……
カウントはどんどん進んで行く。
観客席では固唾を呑んで勝負の行方を見守っている。
悠人はと言うと、特に焦っているような様子は見られない。
むしろ落ち着きすぎている。
緊張感がないのかはたまた……
厚木は悠人の様子に僅かながら疑問を持っていた。
(AクラスとCクラスだぞ?勝敗など明らかだ……だが何故あそこまで奴は落ち着いている……いや、単に勝負を諦めたか)
しかし、直ぐにその疑問も霧散する。
厚木には絶対に自分が勝つという強い自信があったのだ。
だが…………
―――それは厚木だけでは無かった。
2……1……
(ちょうどいい機会ではあった……Aクラスがどの程度の実力を持つのかを確認するには)
悠人が内心で独白をする。
(もし生徒会長ほどの実力があるのならば……その時は……)
……0
カウントが終わる。
『それでは戦闘を開始して下さい』
(―――異能を使うとしよう)
今、闘いの火蓋は切られた。
尤もこれから悠人はやらなければならないことがあるのだが。
悠人が帰りの支度をしていると、後ろから勝斗が声をかけてくる。
「なぁ、悠人。マジで行くのか?」
「行くしかないだろ?お前も退学かかってるんだし」
「そりゃあそうだけどよ……」
勝斗にもいつもの様な元気がない。彼なりに心配しているのだろう。
そしてそれは沙耶と香織も同様だった。
どこか落ち着かない雰囲気で悠人を伺っている。
「まぁ、やるだけやってみるさ」
悠人はそう言って競技場へと足を運んだ。
四皇帝学院には七つの競技場が一つの施設に集約されて存在している。
その建物は六角形に造られており、"明星館"と称されている。
明星館の中央が第一競技場となっており、第一競技場を囲む様に第二から七までの競技場がある。
悠人は現在、明星館の第三競技場に足をつけていた。
そこには既に先客がいる。
Aクラスの厚木だ。
「逃げずに来たことだけは褒めてやる」
「もともと逃げる選択肢なんてなかっただろ」
「ククク、それもそうだな」
競技場はかなり広い作りになっている。
悠人と厚木でさえ、早退しているとはいえ二十メートルは離れていた。
また、観客席も設けられており、そこには厚木の取り巻きや姫百合、それにCクラスからは勝斗、沙耶、香織が顔を覗かせていた。
「ルールはどうなっているんだ?」
「簡単だ。相手を気絶させるか戦意を喪失……つまり降参を宣言すれば勝敗は決まる」
「分かった」
「ふん。余裕そうだな?Cクラス風情で……神装魔機那は使わないのか?」
「使ってもいいのか。でも生憎今は持ち合わせていない」
「平民だから持っていないですと素直には言えないか、まぁいい。おしゃべりはここまでだ」
厚木がブレスレットに手を掛ける。
何かを操作したのか、それによって競技場に備え付けられているスピーカーから無機質な声が鳴り響いた。
『決闘の受諾を確認。これより学院の名の下に生徒の異能の使用を許可します。カウントダウンが終了次第、戦闘を開始してください』
10……9……8……と単調にスピーカーから音が流れてくる。
厚木は既に戦闘態勢に入っている様だった。
よく見ると右手の甲には機械じみた何かを装着していた。
恐らくあれが厚木の持つ神装魔機那なのだろう。
4……3……
カウントはどんどん進んで行く。
観客席では固唾を呑んで勝負の行方を見守っている。
悠人はと言うと、特に焦っているような様子は見られない。
むしろ落ち着きすぎている。
緊張感がないのかはたまた……
厚木は悠人の様子に僅かながら疑問を持っていた。
(AクラスとCクラスだぞ?勝敗など明らかだ……だが何故あそこまで奴は落ち着いている……いや、単に勝負を諦めたか)
しかし、直ぐにその疑問も霧散する。
厚木には絶対に自分が勝つという強い自信があったのだ。
だが…………
―――それは厚木だけでは無かった。
2……1……
(ちょうどいい機会ではあった……Aクラスがどの程度の実力を持つのかを確認するには)
悠人が内心で独白をする。
(もし生徒会長ほどの実力があるのならば……その時は……)
……0
カウントが終わる。
『それでは戦闘を開始して下さい』
(―――異能を使うとしよう)
今、闘いの火蓋は切られた。
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