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Azurelytone 【1】~アズレリイトオン~

羽兼

018 maitrya

これは、僕が思い出せる
一番古い記憶…………。 




町外れの店は、昼時のにぎわいをみせていた。

僕は、父と手を繋ぎ外に並べられた椅子で順番待ちをしている。 


「パパ……ぼく、ママにうた」

「おしえてもらったよ」 


「え〜っと」

「m♪a♪i♪t♪〜」 

「r♪y♪………a?」 

「おおっ」

「上手じゃないか」

「でも、それじゃあ
    アルファベットが
    バラバラなんじゃないか?」 

「なあ?  リリィ」 

「フフッ」

「いいのよ」

「 まだ言葉を覚えはじめた
     ばかりなんだから……」

「ここまで育ってくれるのに
    15年……」 

「この子の
    ゆっくりとした刻の流れ…」

「…この街に辿り着けてよかった」 

「ああ……
   とても我々だけの一生では」

「この街は、この子の存在を
   認めてくれた……」

「街の主様は、この子に名前まで
   授けてくださった」 

「♪♪……♪…………?」

「ほんとうによかったな……フ」 


「あれ? それって
    a♪b♪c♪d♪〜のうたじゃない?」 


少年が、身体には大きすぎるトレーに危ういバランスを保ちながら、水を配ってまわっている。


奥から店主の厳つい声が響く。

「こらっ   ミヅキ 」

「お客様に失礼な事をするなよ」

少年は、舌をだしながら、おちゃらけてみせた。

「え〜なんにもしてないもん」



今日に家族によく冷えた水を差し出していく。
ワイワイと賑わう店頭に、氷が涼しげによく響く。



「すみませんね」


「さっ お席が空きましたので」 

「いやいや かまいませんよ」

「そちらのお子さまが
    しっかりなさっているようだ」

「そうだ」

「少年  
   この子にアルファベットの歌を
   歌ってあげてもらえないかな? 」

しかられると思ってた少年の瞳がキラキラと光る。

「あ………うん……いいよ」

「じゃあ 一緒に歌おうか!」

「いくよ……せ〜の」 

「M(m)♪A(a)♪I(i)♪T(t)♪
     R(r)♪Y(y)♪A(a)♪」

「うん 歌いやすいね」

「アハッ」

「フフフ」

「アハハハハハ」 


きっと、僕が傷つかないように
合わせてくれたんだ……優しい少年。

僕の初めての友達だった。

……なんで?今思い出したんだろう 



………………………………「おい f 」


「………大丈夫か?」

「……はっ 」

「フラッシュバックか?」

「うん………」

目の前の鍋から黒煙がゆらめく。

ミヅキは、f の隣で、水をもって構えている。

「料理をつくる時はやめとけ」

「焦がした分は、
   自分で食べるように」  

「…………」

「……………マジですか」 


ミヅキはニヤリとした。


「……フッ」

「冗談だよ」

「新しいのをつくるから」

「レヴィンに声をかけてきてくれ……」 


「まぁ………」

「身に付けば、考え事をしながらでも
    できるようになる……」

「記憶が混乱してても
    問題なくなるさ……」

「要は、慣れだ」

「すぐできるから、
    皿を片付けてくれるか?」


「うん」 


f は、年季のはいったテーブルを磨いていたレビィンに声をかける。


「レヴィンごはんだよ」

「ああ……ん?」

「今日は f の当番じゃなかったか?」

「……あはは」

「ちょっとね」 


カウンターの奥のミヅキ、はクスリと笑う。

鍋の焦げ付きを、手際よく剥がしながら、なつかしそうに呟く。


「m♪……a♪…i♪t♪r♪y♪………a♪」


「…………慣れ……か」 






Azurelytone【2】へ続く

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