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Azurelytone 【1】~アズレリイトオン~

羽兼

016 インディアヴェルトザイン( 汝、我と共に在れ)

「………邪魔するな」

「依頼されたのは俺だ…」

「こいつを殺さなければ、
    彼女は自由になれない…」 

ミヅキは冷たく答える。


しかし、f は、彼の少し躊躇いを感じた。


「彼を殺せば、今度は
   罪の意識が『枷』になる」

「『自由』は手に入らないよ」

「彼女の精神は崩壊してしまう…」 

「ミヅキには、ダーザインを
    滅ぼす力があり、レヴィンには
   ダストを祓う術がある…」

それが、この店のもう一つの仕事…。 

「彼女の血のねがい『自由』
    を実践する」 

レヴィンの術では、
ダストを吸収させる物質が必要だ。

あの結晶では、容量がたりない…



「こうするしか…」 





「器なら………僕がなる」

「僕は、産まれながらの
    ダーザイン(不死者)」

「僕の身体がダストの結晶なんだ」 


レヴィンが、ミヅキを諭す。


「この子……fとなら…」

「ミヅキ、もう一度だけ俺…」

「俺達に任せてくれないか?」

「今度こそ、完全に祓ってみせる」 

「ダーザインだった時の記憶は
   無くなる……今の彼女を見ても
   娘とは解らないよ」


「彼女は『自由』になれる」

「それぞれが生きなおせばいい」



ミヅキは、しばらくの沈黙のあと
静かに確かめる。


 「……お前は」

「…………ダストを吸収できるのか?」 






シュウウ……





ミヅキを取り囲む紅いハガネが蒸発をはじめる……。 


ミヅキのカタチが人に戻りはじめた。


「確かに………
    試す価値はありそうだな」




三人は、男を囲んだ。



「俺が、人間部分を
    体内から保護する」

「レヴィンがダストを引き出し」

「 f が吸収する」

「二人とも無理はするなよ」 


レヴィンの結晶が光を灯す。


「集え! 碧の世界へ」 


「………f」 


…60年前
<……事故で助かったのは>
<貴方と娘さんだけ……>
<奥さんは……>
<そして……精密検査の結果>
<貴方の命も……もって2ヶ月…>
<なにを選ぶかは貴方の自由…> 

彼女に巡りあったのは、
事故から一ヶ月後だった……。 

これは……彼の記憶?
大丈夫だよ……彼女はもう大丈夫。
だから………全部 



「インディアヴェルトザイン
    (In-der-Welt-sein)」


 
               ここに存在は世界する 

                  汝、我と共に在れ。 













……………………
……………………
……ここは?



ひんやりとした石畳の感触は、
男の意識をゆっくりと
鮮明にしていった。


「そうだ……俺達は事故に…」

「妻と娘は……」 


その傍らには、老婆が寄り添っている。


「あなたは……」

「とてもつらい思いをした…」


「でも……もういい」


「もう大丈夫だから……」


「ゆっくり、やすみましょう」



背中から伝わる優しい温もりは、
お互いが選んだ答えだった…。 


三人に小さく会釈をすると、
老婆と男は、寄り添いながら
闇にとけていった。 


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