Azurelytone 【1】~アズレリイトオン~
015 選びなさい
バギ!………………
ブチブチブチ…………
<う……俺は何をしてるんだ?…>
<なんのために、こんな事を……… >
<身体が引き裂かれている……なぜ?>
<俺は、なんで、こんな悪魔と闘っているんだ? >
薄れゆく意識のなかで、あの時の選択がよみがえる…………。
「女房は事故で………死んだ」
「医者の診断では、俺の命も2ヶ月もまない……」
「このままでは、娘を育てる事ができないんだ……助けてくれ………助けてください」
男がひざま付いて懇願するのは、ひとりの女性。
あどけなさの残る顔はどこか浮世離れしていて、男の声が聴こえているのかも判断がつかない。
なによりその「白さ」。
髪や肌だけに及ばず、内臓に至るまで脱色したかのように、脱け殻のように「白い」。
その傍らには、彼女の色を全て吸収したかのような、漆黒の犬がねそべっている。
「ダーザインは生者の刻を止める技術」
真紅に艶めく唇が語りだす。
「あなたがいくら願っても、
    亡くなった奥さまを甦らせる事は
    できないの…… 」
「でも……私を訪ねてきたのも
    何かの巡り合わせ」
「不死にしてあげる」
「病に苦しむあなたか……」
「その幼い少女のどちらかを…… 」
「選びなさい………… 」
そして、男はダーザインになった……。 
男は死に際の病に犯されながら、
娘を育てた……。 
しかし、死に近い苦しみを味わい続ける事に、精神は耐えられはしない…… 。
崩壊していく精神をひきずり必死にもがいたが、安定した仕事ができるはずもなく。
男は不死の身体にたより、人を襲い金品を得るようになった……。
 娘は成長するにつれて、男の異常な行動に気がつきはじめる……。 
そして…… 
男が自分の事を、娘なのか、妻なのか、母なのか認識できなくなったとき……
彼女の心も限界に達した………。 
老婆となった娘は、男を連れ、レヴィンの店「ブラックボックス」に通うようになった。
しかし、男のダストを完全に祓う術はなかった……)。
そして、アズレリイトオンを選曲したのだ。
ミヅキは、血液に宿る人間の願望を感知できる。そして、それを叶える。 
『自由が欲しい』
たとえそれが、残酷な結末をむかえる事になるとしても……。 
「ふ~っ」
「あんたと俺の血管を繋いだ」
「身動きひとつできないはずだ」
「このまま眠るように死なせてやる」 
……娘を…た…の…む。 
「……………」
ミヅキの硝子玉のように変化した眼球に、僅かな感情が波打つ。
「心配ない……あなたは娘を
    立派に育て上げた……」
「じゃあな………」
「待って!!!!」
「その人を殺めてはだめだ!!!」
f は、その幼い外見からは想像もできない響きを放った。
ブチブチブチ…………
<う……俺は何をしてるんだ?…>
<なんのために、こんな事を……… >
<身体が引き裂かれている……なぜ?>
<俺は、なんで、こんな悪魔と闘っているんだ? >
薄れゆく意識のなかで、あの時の選択がよみがえる…………。
「女房は事故で………死んだ」
「医者の診断では、俺の命も2ヶ月もまない……」
「このままでは、娘を育てる事ができないんだ……助けてくれ………助けてください」
男がひざま付いて懇願するのは、ひとりの女性。
あどけなさの残る顔はどこか浮世離れしていて、男の声が聴こえているのかも判断がつかない。
なによりその「白さ」。
髪や肌だけに及ばず、内臓に至るまで脱色したかのように、脱け殻のように「白い」。
その傍らには、彼女の色を全て吸収したかのような、漆黒の犬がねそべっている。
「ダーザインは生者の刻を止める技術」
真紅に艶めく唇が語りだす。
「あなたがいくら願っても、
    亡くなった奥さまを甦らせる事は
    できないの…… 」
「でも……私を訪ねてきたのも
    何かの巡り合わせ」
「不死にしてあげる」
「病に苦しむあなたか……」
「その幼い少女のどちらかを…… 」
「選びなさい………… 」
そして、男はダーザインになった……。 
男は死に際の病に犯されながら、
娘を育てた……。 
しかし、死に近い苦しみを味わい続ける事に、精神は耐えられはしない…… 。
崩壊していく精神をひきずり必死にもがいたが、安定した仕事ができるはずもなく。
男は不死の身体にたより、人を襲い金品を得るようになった……。
 娘は成長するにつれて、男の異常な行動に気がつきはじめる……。 
そして…… 
男が自分の事を、娘なのか、妻なのか、母なのか認識できなくなったとき……
彼女の心も限界に達した………。 
老婆となった娘は、男を連れ、レヴィンの店「ブラックボックス」に通うようになった。
しかし、男のダストを完全に祓う術はなかった……)。
そして、アズレリイトオンを選曲したのだ。
ミヅキは、血液に宿る人間の願望を感知できる。そして、それを叶える。 
『自由が欲しい』
たとえそれが、残酷な結末をむかえる事になるとしても……。 
「ふ~っ」
「あんたと俺の血管を繋いだ」
「身動きひとつできないはずだ」
「このまま眠るように死なせてやる」 
……娘を…た…の…む。 
「……………」
ミヅキの硝子玉のように変化した眼球に、僅かな感情が波打つ。
「心配ない……あなたは娘を
    立派に育て上げた……」
「じゃあな………」
「待って!!!!」
「その人を殺めてはだめだ!!!」
f は、その幼い外見からは想像もできない響きを放った。
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