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Azurelytone 【1】~アズレリイトオン~

羽兼

007 スープ

カフェ「ブラックボックス」は、
少し暗いけど、落ち着いた印象の店だった。


「じゃあ 座ってまってようか?」


レヴィンは、なれた様子で
僕を奥のテーブルに案内し
向かいに座った。 

「すこし、これを視ててくれるかい?」

レヴィンは、碧い玉をかざした。 

「この水晶球には高濃度の
   ダスト(Dast)が詰まっている」

「色が碧(あお)から紅(あか)に
    変わりはじめた…」

「……君は ダーザイン(Dasein)だね」


店には他にお客さんもいないからか、レヴィンの静かな声もひびきわたる。

「はい」

黒く染められた艶のよいテーブルを見つめながら少年は答えた。

「僕のブレンド(能力)は洗脳にちかい」

「あなた達に仲間と思わせる
    ブレンド(能力)をつかいました」

レヴィンは少年の瞳をまっすぐに見つめる。

「素直だね」


「なにかあると……予想はしていたけど」

「まさかそんな能力があるのか?」

レヴィンは怒るどころか、少年が能力を使わなければならなかった事態にしてしまったことを反省している。
レヴィンはそういう性格であった。

レヴィンは少年に優しく語りかけた。

「ダーザイン(不死者)になると
    いう事は、自身の刻(とき)を
    止めるという事……」


「少年の状態で刻(とき)を
   止めたいと願うだろうか…?」 


「もしかして……君は何者かに…」


レヴィンは少年の心に寄り添うように質問を加えた。

「すみません…なにも思い出せない…」

「なぜさまよっていたのか…」

「自分は誰なのか……」

「名前も…f……fu…?」 

彼は少年をこの場に連れてきた本題を語りはじめた。


「俺はダーザインではないから
    ブレンド(能力)はないが」

「スタイル(術)を持っている」

「記憶を戻すことはできないが
    君のダストを祓う事が
    出来るかもしれない……」 



「おい 待て!」

「今、ダスト(Dast)を祓ったら
   ダーザインの記憶も跳ぶぜ」

「記憶のない状態で無理すると
    意識すらなくなるかもな…」

「……それより」 

「できたぜ……スープ」

「……あぁ すまない」

「話を急ぎすぎたかな?」

「え…? 」

「スープをご馳走する約束だったな」

レヴィンはいたずらっぽく
ニヤリと笑った…。 

「とりあえず食えよ」

「なにをどうするかは
    その後だ」

「え…?なぜ……? あなたが?」

「それに…」

「僕……お金もってないんです」

「あぁ 気にしないでいいよ」

「ここは俺たちの店だから」

少年fは、二人の顔を代わる代わる見た。

そして、震える手でスプーンを手にとった。


「……おいしい」 

スープは温かく、
僕の体に染み渡っていく…。


無心になって食べる間、
レヴィンはなにも言わず、
優しい目で見つめていた。


ミヅキは、静かに席をはなれた。


 


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