Azurelytone 【1】~アズレリイトオン~

羽兼

002 鬼ごっこ 続

「ぐはっ」

「……終わり……だって? 」

青年の瞳が深紅に光る。

……ギン   

「わかってんのか?鬼ごっこだぜ?」

叫ぶと同時に、青年は自ら傷口を
絞り出した。

「鬼はひとりだ!! 」
「追い詰めてたのは、こっちだ!」

吹き出した血液は深紅の刄となり、
男達に襲いかかる。

バシンっ   


「あっ  かはっ  なんだ!?」

次の瞬間、男達の半数が首から下に永遠の別れを告げることになった。

「血液が刃物のように!?」

「こいつダーザイン(Dasein)だ 」

「しかも我々より……にげ…… 」

碧く艶めく石畳に、紅い色が広がる……


「逃げるのか?」

「ひとり……いや、ふたり…… 」

青年が触れると、その血液は硬質化をはじめ新たな刃物となった。

「逃がさない…… 」

「ダーザイン(Dasein)なら
    死ぬことはない……だから
    やりたい放題? 」

青年が口許は冷たい笑みをうかべると、
その奥に、不自然に尖る犬歯が光る。

「残念だったな……」

「お前らが追いかけていた人間…」


「俺は…ダストブレイカー
    (不死者を殺せる者)だ」 

「さあ……続けようか」
「……鬼ごっこを 」

鬼は、馴れた足取りで路地を曲がった。

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