転生学園~転生する前に学園に通いましょう~
第12話 女の子から名前で呼ばれると嬉しいよね
しばらくの沈黙が続く。
俺は何も喋らずに氷さんの返事を待った。
さらに少しの沈黙が続いた後に氷さんはメモ帳を開いて文字を書き始める。
『なりたい』
たった四文字の言葉。
それだけでも氷さんの想いが伝わってきた。ならばここからは前に進むだけ。ゆっくりとでも氷さんの殻を壊していけばいい。
「あー、そうだ! 今日は水琴先生に頼まれてるものがあったのでした。なので今日は戸締まりを任せてもいいですか?」
分かりやすい棒読みで、会長さんはわざとらしく部屋を出ようとする。
会長なりの気づかいなのかもしれないが、もう少しうまくできないのだろうか?
「鍵は職員室に戻してくださいね。帯刀さんは場所とかよく分からないでしょうから、氷さんはついていってあげてくださいね。それではお先に失礼します」
会長さんは最後に俺にウインクすると本当に出ていってしまう。
部室に残されたのは俺と氷さんの二人だけ。つまり、二人っきり。
またもや沈黙が続いてしまっているが、それを破ったのは氷さんだった。
『黒子君は超能力持ってるの?』
普段なら自分から話しかけることはめったにない氷さんが話しかけてくれる。
これは氷さんにとっては、小さくても大きな意味を持つことだ。
だからなのだろうか。俺の呼び方が黒子君に変わっている。
「俺には多分ないかな。彩美······さんはどんなのだったりするの?」
名前の呼び捨てはさすがにできなくて、さん付けになってしまう。
俺には会長さんみたいな未来が見えたりすることなんかなくて、普通の平凡な学生だ。
『私はね、本当は声が出せると思うんだ』
「え? そうなの?」
氷······彩美さんの突然の告白に驚きを覚える。では何故、今までは声を出していなかったのか。
当然の俺の疑問は声に出さずとも伝わったようで再びメモ帳を見せてくる。
『私が口にしたことはみんな全部従っちゃうの。何気ないことでも冗談だとしてもね』
このことを話すのに果たしてどれ程の勇気が必要なのか俺には分からない。ただ一つ言えることは、俺には想像できないほどの苦労をしているということ。
実際今では彩美さんは一言も喋らずに生活することを強制されている。
『子供のころは能力の強制力も弱くて全然気付かなかったの。でも、成長するに従ってどんどん強くなって、そのせいで大切な友達を傷つけちゃった』
俺は彼女の言葉にどう答えればいいのかが分からなかった。
一般人として平凡に暮らしてきた俺には彩美さんの苦労は想像するしかなくて、口を挟む何て許されないような気さえしてくる。
『私は怖いの。また私のせいで他人を傷つけちゃうんじゃないかって。だから私は喋るのをやめた』
喋るのをやめる。
それがどれ程の意味を持つものなのか。他者とコミュニケーションを取る上で、会話というのはとても重要なものとなってくる。
彩美さんのためを思うなら、まずは声を出してコミュニケーションを取ることをできるようにしないといけない。
「今はここには誰もいないし、俺のことは気にしなくていいから、とりあえず何か喋ってみようか」
声を出すことを恐れている彩美さんにはまずは実際に声を出すことから始めないといけない。
ついでに超能力というものも知っておきたいと思う。
『ごめんなさい。今日はもう帰ってもいいかな?』
「あ、そうだよね。ごめん。彩美さんの気持ちを考えていなかった」
今までやっていなかったことを急にやるのはとても大変なことだ。
今日は彩美さんについて知れたし、十分な収穫だと言えよう。
「じゃあ、鍵を戻しに行こうか。先生に怒られちゃうしね」
『案内は任せてね』
「うん。お願い」
そして俺たちは職員室に鍵を戻し、学校を出た。
俺は何も喋らずに氷さんの返事を待った。
さらに少しの沈黙が続いた後に氷さんはメモ帳を開いて文字を書き始める。
『なりたい』
たった四文字の言葉。
それだけでも氷さんの想いが伝わってきた。ならばここからは前に進むだけ。ゆっくりとでも氷さんの殻を壊していけばいい。
「あー、そうだ! 今日は水琴先生に頼まれてるものがあったのでした。なので今日は戸締まりを任せてもいいですか?」
分かりやすい棒読みで、会長さんはわざとらしく部屋を出ようとする。
会長なりの気づかいなのかもしれないが、もう少しうまくできないのだろうか?
「鍵は職員室に戻してくださいね。帯刀さんは場所とかよく分からないでしょうから、氷さんはついていってあげてくださいね。それではお先に失礼します」
会長さんは最後に俺にウインクすると本当に出ていってしまう。
部室に残されたのは俺と氷さんの二人だけ。つまり、二人っきり。
またもや沈黙が続いてしまっているが、それを破ったのは氷さんだった。
『黒子君は超能力持ってるの?』
普段なら自分から話しかけることはめったにない氷さんが話しかけてくれる。
これは氷さんにとっては、小さくても大きな意味を持つことだ。
だからなのだろうか。俺の呼び方が黒子君に変わっている。
「俺には多分ないかな。彩美······さんはどんなのだったりするの?」
名前の呼び捨てはさすがにできなくて、さん付けになってしまう。
俺には会長さんみたいな未来が見えたりすることなんかなくて、普通の平凡な学生だ。
『私はね、本当は声が出せると思うんだ』
「え? そうなの?」
氷······彩美さんの突然の告白に驚きを覚える。では何故、今までは声を出していなかったのか。
当然の俺の疑問は声に出さずとも伝わったようで再びメモ帳を見せてくる。
『私が口にしたことはみんな全部従っちゃうの。何気ないことでも冗談だとしてもね』
このことを話すのに果たしてどれ程の勇気が必要なのか俺には分からない。ただ一つ言えることは、俺には想像できないほどの苦労をしているということ。
実際今では彩美さんは一言も喋らずに生活することを強制されている。
『子供のころは能力の強制力も弱くて全然気付かなかったの。でも、成長するに従ってどんどん強くなって、そのせいで大切な友達を傷つけちゃった』
俺は彼女の言葉にどう答えればいいのかが分からなかった。
一般人として平凡に暮らしてきた俺には彩美さんの苦労は想像するしかなくて、口を挟む何て許されないような気さえしてくる。
『私は怖いの。また私のせいで他人を傷つけちゃうんじゃないかって。だから私は喋るのをやめた』
喋るのをやめる。
それがどれ程の意味を持つものなのか。他者とコミュニケーションを取る上で、会話というのはとても重要なものとなってくる。
彩美さんのためを思うなら、まずは声を出してコミュニケーションを取ることをできるようにしないといけない。
「今はここには誰もいないし、俺のことは気にしなくていいから、とりあえず何か喋ってみようか」
声を出すことを恐れている彩美さんにはまずは実際に声を出すことから始めないといけない。
ついでに超能力というものも知っておきたいと思う。
『ごめんなさい。今日はもう帰ってもいいかな?』
「あ、そうだよね。ごめん。彩美さんの気持ちを考えていなかった」
今までやっていなかったことを急にやるのはとても大変なことだ。
今日は彩美さんについて知れたし、十分な収穫だと言えよう。
「じゃあ、鍵を戻しに行こうか。先生に怒られちゃうしね」
『案内は任せてね』
「うん。お願い」
そして俺たちは職員室に鍵を戻し、学校を出た。
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