転生学園~転生する前に学園に通いましょう~

美浜

第4話  このクラス、なんかおかしい!

中嶋先生と一緒に職員室を出て教室に向かう。
教室の前に着くと、一旦外にいるように言われた。中嶋先生が呼んだら入ることになっている。


「おーい、入っていいぞ」


中嶋先生が教室に入ってからあまり時間がかからずに呼ばれる。

最初の挨拶は大事だ。
クラスのみんなに変なやつだとは思われないようにしたい。
ここで何か面白いことができれば人気者になれるのかもしれないが、俺にはそんな器用な真似はできない。
無難に普通な挨拶が一番いいだろう。


「えっと、帯刀黒子です。この辺りに来るのは初めてなので学校のこととか、この辺りのこととか教えてくれると嬉しいです。これからよろしくお願いします」


盛大な歓迎とまではいかないもののそこそこの拍手で受け入れられる。
このまま終わりだと思ったが、滅多にいない転校生が来てこのままスルーされるなんてことはなかった。
ここから転校生の洗礼を受けることになる。
 

「なー帯刀、彼女っているのか?」

「え?」


何事もなく終わるはずもなく、クラスの男子から質問を受ける。


「いや、いないけど」


その瞬間にさっきの拍手とは比べ物にならないくらいの歓声が上がった。


「おぉ、まじか」
「きゃー!」
「付き合ってー(男)」
「これは我らが同盟を拡大するチャンス」「ぽっ(男)」


おい、なんだこのクラスは、最初の方に聞こえたのはいいけど途中から暴走してないか?
冗談なのだろうが男に付き合ってと言われても嬉しくないし、変な同盟には関わりたくないし、ぽっ、って口に出さないし、てか、男はお断りだし。

俺に対する質問はもう少し続いたが中嶋先生に制されて一旦席に着くことができた。

教室の一番後ろの窓側の席。
そこが俺の新しい席である。なかなかの好立地ではあるが端っこの席のため周りに人が少ないのが唯一の欠点だろうか。
真ん中辺りであれば前後左右に八人の生徒がいるけど、端っこの席では三人だけ。その内の一人である隣の席の氷さんに話しかける。


「えっと、これからよろしくね」


この俺の言葉に、氷さんはおもむろに手帳を取り出すと何やら文字を書いてこっちに見せてくる。


『こちらこそよろしくね、帯刀君』


氷さんは声を出さずに無表情のまま手帳の文字を見せてくるのだった。

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く