転生学園~転生する前に学園に通いましょう~

美浜

第3話  ノックは3回以上やりましょう

 ジリジリジリジリッ!!


朝の起きる時間を知らせる無駄にうるさい目覚まし時計を黙らせて起き上がる。
今日からは新しい学校に通うこととなる。
転校するなんて初めてのことで緊張はあるけれど普通に無難な挨拶をして少しずつ慣れていけばいいだろう。
 
顔を洗い新しい制服に袖を通して朝食を食べる。
初めは職員室に挨拶にいき、担任の人に会ってから教室にいく手筈だ。

教科書は遅れて送られて来るそうなので今日の持ち物は筆記用具とノートのみ。後は適当に財布と······生徒手帳。
昨日拾った氷さんの落とし物だ。
これはできるだけ早めに渡すのがベストだろう。
 
忘れ物がないか確認し、しっかりと戸締まりをして部屋を出る。
毎度のようにギシギシとなる階段を下り、昨日のうちに復習しておいた学校までの道を思い出しながら学校に向かった。


予定通りの時間に着き、先生らしき人から職員室の場所を聞いて今、その扉の前にいる。
どこかで聞いた話だが、ノックは3回するのがいいらしい。2回だとトイレのノックになってしまうらしい。


コンコンコンッ


ちゃんと3回ノックをしてから扉を開ける。


「失礼します。今日から転校することになりました帯刀たてわき黒子くろこです」


名前を名乗ると俺の担任になる人なのか、一人の男性が手を上げて手招きしてくる。


「おー、お前が帯刀か。なかなかいい顔してるじゃねぇか」


わははっ、と大声で笑いながら背中を叩かれる。
ちょっと痛い。


「どうも、えっと、それで俺はこれからどうすればいいですか?」

「ん? そうだな特にないんだが······あ、そうだ。教室に入れば分かると思うけど一番後ろの窓側の席がお前の席だ。それと······あー、えっとな」


なぜだか言いにくそうに言葉を詰まらせる先生。そういえば名前を聞いていない。
すぐに覚えられるような自信はないけれどこれからお世話になる人の名前は知っていたい。


「隣の席のやつなんだがな、氷彩美って言うんだが」

「え? 氷さん?」

「おぉ、なんだ知ってるのか。それなら話が早い。できればあいつと仲良くしてくれないか? 色々大変なこともあるけどやっぱり友達は必要だと思うんだ」


先生は俺が氷さんの知り合いだと誤解しているらしい。知り合いなんかじゃなくて、ただちょっとぶつかっただけなんどけど。


「先生、その俺は氷さんの知り合いというわけじゃなくて······」

「おお、そっかそういえば名前を名乗ってなかったな」 

「はい?」


いや、確かに名前は聞いていないのだけど。今はそれじゃなくてだな。


「俺は2年4組の担任の中嶋なかじまだ。これからよろしくな帯刀」

「あ、はい。よろしくお願いします。それで、さっきの話なんですけど」

「あぁ、すまん。そろそろホームルームの時間だから後でいいか?」


なんとも間が悪いことに確かに教室に向かわないと間に合わなそうだ。

コメント

  • 美浜

    わぁ!
    ありがとう!

    3
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