契約の森 精霊の瞳を持つ者
4
「コダがそんなことするはずない。きっとなにか誤解が」
タカオはそう言いかけた時、コズエは背負っていたバックから、何かを取り出す。
「これが証拠だ」
コズエの手にあったものに、タカオは衝撃を隠せなかった。
「それは!あの時の……!」
そう言ってうなだれるように地面を見つめた。コズエが持っていたものは、屋根の一部だった。トッシュに屋根の修理を頼まれたとき、コダが壊したあの屋根の一部。あれはコダによって森に投げられたことを、タカオは思い出していた。
「どうやら、この件に関わりがあるらしいな」
ウェンディーネはコズエの傷が治ったのを確認すると、冷たくそう言い放って水の中に消えてしまった。
タカオがコズエをみると、怒った顔でこちらを見つめ返していた。
「それを渡したのは、俺なんだ。でもまさか、誰かにぶつかるだなんて」
言えば言うほど、言い訳にしかならなかった。実際にコズエは怪我をしてしまって、さっきウェンディーネが傷を治さなければ、どうなっていたか分からない。
「本当に申し訳ない……」
自分が投げたわけではないけれど、タカオは責任を感じていた。そして小さな妖精に深々と頭を下げる。コズエは少し考えた様子で、思い出したように言う。
「たしかお前は、オーガにとどめを刺したやつ」
タカオは勢いよく顔を上げた。オーガにとどめを刺したことは、ウェンディーネ以外誰も知らないことだった。
コズエはふふんと得意げな顔をすると、タカオの周りをぐるぐる回りながら話した。
「コズエはこの森の記録をとっているんだ。知らなかったみたいだな」
コズエはバックから小さなメモ帳を取り出すと、ぱらぱらとめくる。
「森中にいる僕たちが、お前のしたことを知っているし、酷いことをしたグレイスのことも、鳥の少年のグリフのことも知っているんだ」
コズエの言うことを聞きながら、タカオは気になることを口にする。
「鳥の少年て?」
するとコズエは急にタカオの頭に飛び乗る。そして髪の毛を引っ張りだした。それから怒ったように言うのだ。
「喋っている途中に邪魔したら、こんなことじゃすまないぞ!」
コズエはとても怒って、まだタカオの髪の毛を引っ張っている。全然痛くはないけれど、何かリアクションをしないと終わりそうにない雰囲気だった。
「……いたたたたた!」
タカオがそう痛がる振りをすると、コズエは髪の毛を引っ張るのをやめた。コズエは満足そうにうなずく。
「なんの話だっけ……あ!そうだ、だから、僕たちが知らないことはないって話だ。まぁ、行けないところは無理だけど。分かった?」
タカオは声を出さずに、うなずいた。コズエはまだ頭の上だ。
「たとえお前がオーガを倒そうが、精霊を味方につけようが、関係ない。悪いと思っているなら、そうだな……お前にも協力してもらおう」
コズエは、思いついたように、声をはずませてそう言った。
「協力?」
思わずそう聞いてしまって、タカオは口を両手で抑えた。今は喋っていいのかよく分からなかった。
コズエはタカオの頭の上に座りながら「そうだそうだ」と嬉しそうに言う。
「今、僕たちは森中から集まっているところだ」
タカオが頭のほうを見上げる。コズエは体をのりだすと、見下ろして笑顔で言った。
「グレイスに復讐するために」
タカオはそう言いかけた時、コズエは背負っていたバックから、何かを取り出す。
「これが証拠だ」
コズエの手にあったものに、タカオは衝撃を隠せなかった。
「それは!あの時の……!」
そう言ってうなだれるように地面を見つめた。コズエが持っていたものは、屋根の一部だった。トッシュに屋根の修理を頼まれたとき、コダが壊したあの屋根の一部。あれはコダによって森に投げられたことを、タカオは思い出していた。
「どうやら、この件に関わりがあるらしいな」
ウェンディーネはコズエの傷が治ったのを確認すると、冷たくそう言い放って水の中に消えてしまった。
タカオがコズエをみると、怒った顔でこちらを見つめ返していた。
「それを渡したのは、俺なんだ。でもまさか、誰かにぶつかるだなんて」
言えば言うほど、言い訳にしかならなかった。実際にコズエは怪我をしてしまって、さっきウェンディーネが傷を治さなければ、どうなっていたか分からない。
「本当に申し訳ない……」
自分が投げたわけではないけれど、タカオは責任を感じていた。そして小さな妖精に深々と頭を下げる。コズエは少し考えた様子で、思い出したように言う。
「たしかお前は、オーガにとどめを刺したやつ」
タカオは勢いよく顔を上げた。オーガにとどめを刺したことは、ウェンディーネ以外誰も知らないことだった。
コズエはふふんと得意げな顔をすると、タカオの周りをぐるぐる回りながら話した。
「コズエはこの森の記録をとっているんだ。知らなかったみたいだな」
コズエはバックから小さなメモ帳を取り出すと、ぱらぱらとめくる。
「森中にいる僕たちが、お前のしたことを知っているし、酷いことをしたグレイスのことも、鳥の少年のグリフのことも知っているんだ」
コズエの言うことを聞きながら、タカオは気になることを口にする。
「鳥の少年て?」
するとコズエは急にタカオの頭に飛び乗る。そして髪の毛を引っ張りだした。それから怒ったように言うのだ。
「喋っている途中に邪魔したら、こんなことじゃすまないぞ!」
コズエはとても怒って、まだタカオの髪の毛を引っ張っている。全然痛くはないけれど、何かリアクションをしないと終わりそうにない雰囲気だった。
「……いたたたたた!」
タカオがそう痛がる振りをすると、コズエは髪の毛を引っ張るのをやめた。コズエは満足そうにうなずく。
「なんの話だっけ……あ!そうだ、だから、僕たちが知らないことはないって話だ。まぁ、行けないところは無理だけど。分かった?」
タカオは声を出さずに、うなずいた。コズエはまだ頭の上だ。
「たとえお前がオーガを倒そうが、精霊を味方につけようが、関係ない。悪いと思っているなら、そうだな……お前にも協力してもらおう」
コズエは、思いついたように、声をはずませてそう言った。
「協力?」
思わずそう聞いてしまって、タカオは口を両手で抑えた。今は喋っていいのかよく分からなかった。
コズエはタカオの頭の上に座りながら「そうだそうだ」と嬉しそうに言う。
「今、僕たちは森中から集まっているところだ」
タカオが頭のほうを見上げる。コズエは体をのりだすと、見下ろして笑顔で言った。
「グレイスに復讐するために」
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