契約の森 精霊の瞳を持つ者
17
陽が昇る前の、まだうっすらと暗いなか、グリフ達は出発の準備を始めていた。出発が早すぎて、ほとんどの村人はまだ眠りの中だ。
「もう出発するのか」
気配に気が付いて、トッシュが見送りに来ていた。レノとユミルはそれより少し前から起きていて、準備をはじめていた。
「ああ、もう出るところだ。世話になった」
コダはそう言って、馬を引いていく。ジェフは大きな長いあくびをしながら、コダのあとに続く。グリフとイズナはすでに村の入り口にいた。
トッシュは「本当に行くんだな」と、まるで自分に言い聞かせるように呟いていた。
コダが村の入り口についた時には、ライルやレノ、シアとシアンも見送りにきていた。そこには、タカオの姿はない。
「シアとシアンも見送りにきてくれたんだ!」
ジェフは眠たいながらに嬉しそうに言った。そしてタカオがいないことに気が付く。
「タカオは、まだ寝てるのかな」そう悲しそうに笑った。
その横で、レノはグリフ達に朝食や昼食、保存食やお茶など、沢山の食べ物を渡している。イズナには包帯や薬など、必要そうなものを揃えていた。
トッシュはこれからのことを心配して、コートはきちんとボタンを閉めないと風邪をひくとか、埃が付いてるなど、変なやつにはついていくなとか、子供に言い聞かせるようなことを延々と話して聞かせた。
そんな中、コダの馬にウェンディーネが近づいていたことは誰も気が付いていなかった。ウェンディーネは馬のひたいを静かに撫でる。それからコダの荷物に近づくと、コダの荷物から黒いトカゲのようなものが顔をだした。
「どこにもいないと思ったら、こんなところにいたの。一緒に行くのね」
黒いトカゲは何も言わなかった。かわりに、青い炎を小さくぼうっと吐き出した。
「シルフを抑えようとしたとき、手伝わせようとしたことをまだ怒ってるの?」
黒いトカゲはすました顔で、どこか別のほうに視線を向けた。どうやら怒っているようだった。
「悪かったって思ってる。もしあの時、ちからをかりてたら、シルフは傷ついてた。アルがいてくれてよかった。アルはシルフのために、まだそばを離れられない」
黒いトカゲはまだウェンディーネと視線を合わせようとしなかった。
「王都から向こうは、私のちからは届きにくい。これから先は、あなただけが頼りだわ」
黒いトカゲはちらっとウェンディーネをみて、微かにうなずいた。
「あの子たちの、ちからになってあげて」
黒いトカゲは、当たり前だと言わんばかりに、先ほどよりも力強く青い炎を吐き出した。それからウェンディーネの瞳をきちんとみて、小さな前足を上げる。そして、さっと荷物の中にまぎれてしまった。
「あれ?ウェンディーネ?」
ジェフがそう言った時には、馬の近くにいたウェンディーネはすっかりと姿を消していた。
「もう出発するのか」
気配に気が付いて、トッシュが見送りに来ていた。レノとユミルはそれより少し前から起きていて、準備をはじめていた。
「ああ、もう出るところだ。世話になった」
コダはそう言って、馬を引いていく。ジェフは大きな長いあくびをしながら、コダのあとに続く。グリフとイズナはすでに村の入り口にいた。
トッシュは「本当に行くんだな」と、まるで自分に言い聞かせるように呟いていた。
コダが村の入り口についた時には、ライルやレノ、シアとシアンも見送りにきていた。そこには、タカオの姿はない。
「シアとシアンも見送りにきてくれたんだ!」
ジェフは眠たいながらに嬉しそうに言った。そしてタカオがいないことに気が付く。
「タカオは、まだ寝てるのかな」そう悲しそうに笑った。
その横で、レノはグリフ達に朝食や昼食、保存食やお茶など、沢山の食べ物を渡している。イズナには包帯や薬など、必要そうなものを揃えていた。
トッシュはこれからのことを心配して、コートはきちんとボタンを閉めないと風邪をひくとか、埃が付いてるなど、変なやつにはついていくなとか、子供に言い聞かせるようなことを延々と話して聞かせた。
そんな中、コダの馬にウェンディーネが近づいていたことは誰も気が付いていなかった。ウェンディーネは馬のひたいを静かに撫でる。それからコダの荷物に近づくと、コダの荷物から黒いトカゲのようなものが顔をだした。
「どこにもいないと思ったら、こんなところにいたの。一緒に行くのね」
黒いトカゲは何も言わなかった。かわりに、青い炎を小さくぼうっと吐き出した。
「シルフを抑えようとしたとき、手伝わせようとしたことをまだ怒ってるの?」
黒いトカゲはすました顔で、どこか別のほうに視線を向けた。どうやら怒っているようだった。
「悪かったって思ってる。もしあの時、ちからをかりてたら、シルフは傷ついてた。アルがいてくれてよかった。アルはシルフのために、まだそばを離れられない」
黒いトカゲはまだウェンディーネと視線を合わせようとしなかった。
「王都から向こうは、私のちからは届きにくい。これから先は、あなただけが頼りだわ」
黒いトカゲはちらっとウェンディーネをみて、微かにうなずいた。
「あの子たちの、ちからになってあげて」
黒いトカゲは、当たり前だと言わんばかりに、先ほどよりも力強く青い炎を吐き出した。それからウェンディーネの瞳をきちんとみて、小さな前足を上げる。そして、さっと荷物の中にまぎれてしまった。
「あれ?ウェンディーネ?」
ジェフがそう言った時には、馬の近くにいたウェンディーネはすっかりと姿を消していた。
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