契約の森 精霊の瞳を持つ者
12.
トッシュはボートを進めた。それには、村の者達も続く。最後のボートはタカオ達が乗るボートで、道にはでれず、遠くで彼らの声を聞いていることしかできなかった。その中でトッシュがライル達に向かって、大声を響かせる。
「ライル!ここは、エルフが守る水の精霊の土地だ!」
その言葉にライル達は振り返る。トッシュの姿をみると、シアンは表情を曇らせた。「大丈夫よ」レノは小さくシアンに囁く。
トッシュはボートを進めながら続けた。
「ウッドエルフは風の精霊を守る民だ。そうだろう?この村のほとんどはエルフだが、みんな同じ気持ちだ」
シアンはレノに抱きついたまま離れなかった。シアもまた、心配そうにレノに抱きつく。ライルは立ち上がり水際まで行く。話を続けるトッシュと向き合った。
「いつか王子が言ってたな。精霊の瞳を、エルフは呪いだと言い、ウッドエルフは加護だと言うと。今までは加護だなんて半信半疑だった。だが……俺たちエルフも、ウッドエルフのように、それが加護であると心から信じる!」
トッシュの言っていることをシアンとシアが理解するのには、時間が必要だった。あのトッシュが、そんなことを言うなんて想像もしていなかったのだ。
確かにこの村が以前の村とは違うということを、シアンもようやく気がつき始めていた。誰の瞳の中にも、輝きがあった。そこには、意志が見える。
トッシュはボートを進め、ライルのいる場所に降り立った。
「覚悟はあるか?」
ライルとレノには聞き慣れた言葉だった。2人はそれに頷くと、力強い瞳でトッシュを見つめ返した。シアンとシアは2人で肩をすくませて、「覚悟」について、わけが分からない様子だった。
トッシュは村の者達に振り返ると、森じゅうに聞こえるような大声を響かせた。
「水の精霊は復活した!風の精霊が新しい風を与えた!」
そう言ってシアンの肩を掴む。暗い森の中で、シアンの瞳は月の光よりも美しかった。
「これ以上、何も奪わせはしない!今こそ、立ち上がろう!」
トッシュの力強い声に、村の者達は歓声をあげた。暗く沈んだような唸りから、腹に力を入れた大声に変わる。エルフも、ウッドエルフも、同じ大きな目的のために動きだしたのだ。
「ライル!ここは、エルフが守る水の精霊の土地だ!」
その言葉にライル達は振り返る。トッシュの姿をみると、シアンは表情を曇らせた。「大丈夫よ」レノは小さくシアンに囁く。
トッシュはボートを進めながら続けた。
「ウッドエルフは風の精霊を守る民だ。そうだろう?この村のほとんどはエルフだが、みんな同じ気持ちだ」
シアンはレノに抱きついたまま離れなかった。シアもまた、心配そうにレノに抱きつく。ライルは立ち上がり水際まで行く。話を続けるトッシュと向き合った。
「いつか王子が言ってたな。精霊の瞳を、エルフは呪いだと言い、ウッドエルフは加護だと言うと。今までは加護だなんて半信半疑だった。だが……俺たちエルフも、ウッドエルフのように、それが加護であると心から信じる!」
トッシュの言っていることをシアンとシアが理解するのには、時間が必要だった。あのトッシュが、そんなことを言うなんて想像もしていなかったのだ。
確かにこの村が以前の村とは違うということを、シアンもようやく気がつき始めていた。誰の瞳の中にも、輝きがあった。そこには、意志が見える。
トッシュはボートを進め、ライルのいる場所に降り立った。
「覚悟はあるか?」
ライルとレノには聞き慣れた言葉だった。2人はそれに頷くと、力強い瞳でトッシュを見つめ返した。シアンとシアは2人で肩をすくませて、「覚悟」について、わけが分からない様子だった。
トッシュは村の者達に振り返ると、森じゅうに聞こえるような大声を響かせた。
「水の精霊は復活した!風の精霊が新しい風を与えた!」
そう言ってシアンの肩を掴む。暗い森の中で、シアンの瞳は月の光よりも美しかった。
「これ以上、何も奪わせはしない!今こそ、立ち上がろう!」
トッシュの力強い声に、村の者達は歓声をあげた。暗く沈んだような唸りから、腹に力を入れた大声に変わる。エルフも、ウッドエルフも、同じ大きな目的のために動きだしたのだ。
コメント