契約の森 精霊の瞳を持つ者
18.
「とにかく、ここから脱出しよう」
タカオはそう言うと立ち上がる。ルースは涙を拭ってタカオを見上げた。
「ここには水路しかないから、上に行かないとダメだよ。グレイス・コダが上で暴れてるおかげで、地下にはレッドキャップがいなくなってよかったけど、上のレッドキャップを片付けないと……」
ルースの声は鼻声で、時々鼻をすするタイミングで言葉はとぎれとぎれになる。心配そうなルースの声とは反対に、タカオは安心した声を出した。
「それなら大丈夫だ。あの2人のことだから、すぐに片付けるよ。様子を見てくるから、みんなここにいるんだ」
もしかしたらレッドキャップとはち合わせになるかもしれない。そんな不安はすっかりと消えていた。タカオは廊下へ出て、真っ暗な通路を進んでいく。
すると、ルースが慌ててタカオの後を追う。
「俺もいく!シア、あっちの部屋にも連れて来られた仲間がいるだ!頼んだ!」
「えっ?!ちょっと!……もうっ」
ため息と共に、まだ魔法を信じている幼い子供達と目が合う。シアは小さく肩をすくめた。
「さぁ、他の子達にも、魔法をかけなきゃね」
子供達は目をキラキラとさせて、こっくりとうなづいた。
通路は暗く狭く、天井は異様に高い。湿気を帯びた石の壁が圧迫するように続いていた。通路には、タカオ達が閉じ込められていた所と同じような扉がつけられ、そのほとんどが開いていた。中はどこも同じだ。この地下全体が、何かを閉じ込める場所だったのだ。
「ずっと昔、ここはサーカスで使われてたんだって」
聞いてもいないのに、タカオが部屋を通り過ぎる時に覗き込むように見る様子をみて、ルースはそんな話した。
「上の階にはまだステージとか客席が残ってたよ。連れて来られた時に見たんだ」
ーーサーカスっていうより……。
タカオは相づちを打ちながら、その言葉を飲み込んだ。通路が終わると小さな広場のようなところに出る。そこには今にも壊れそうな階段があり、円形に作られた鉄にそうように、目の回るような小さな階段が上まで続いている。
その隣には大きなものを上げるリフトがあるけれど、それには格子があり、まるで猛獣でも閉じ込めるような大きな檻だった。今やリフトの鎖はちぎれ、動く気配はない。
階段を上がりながら、タカオはルースに話しかける。
「サーカスって、いったいどんなことをしてたんだろう。この地下はなんていうか。サーカスっていうよりかは、独房みたいだ」
飲み込んだはずの言葉は、やはり我慢できずに吐き出された。
タカオはそう言うと立ち上がる。ルースは涙を拭ってタカオを見上げた。
「ここには水路しかないから、上に行かないとダメだよ。グレイス・コダが上で暴れてるおかげで、地下にはレッドキャップがいなくなってよかったけど、上のレッドキャップを片付けないと……」
ルースの声は鼻声で、時々鼻をすするタイミングで言葉はとぎれとぎれになる。心配そうなルースの声とは反対に、タカオは安心した声を出した。
「それなら大丈夫だ。あの2人のことだから、すぐに片付けるよ。様子を見てくるから、みんなここにいるんだ」
もしかしたらレッドキャップとはち合わせになるかもしれない。そんな不安はすっかりと消えていた。タカオは廊下へ出て、真っ暗な通路を進んでいく。
すると、ルースが慌ててタカオの後を追う。
「俺もいく!シア、あっちの部屋にも連れて来られた仲間がいるだ!頼んだ!」
「えっ?!ちょっと!……もうっ」
ため息と共に、まだ魔法を信じている幼い子供達と目が合う。シアは小さく肩をすくめた。
「さぁ、他の子達にも、魔法をかけなきゃね」
子供達は目をキラキラとさせて、こっくりとうなづいた。
通路は暗く狭く、天井は異様に高い。湿気を帯びた石の壁が圧迫するように続いていた。通路には、タカオ達が閉じ込められていた所と同じような扉がつけられ、そのほとんどが開いていた。中はどこも同じだ。この地下全体が、何かを閉じ込める場所だったのだ。
「ずっと昔、ここはサーカスで使われてたんだって」
聞いてもいないのに、タカオが部屋を通り過ぎる時に覗き込むように見る様子をみて、ルースはそんな話した。
「上の階にはまだステージとか客席が残ってたよ。連れて来られた時に見たんだ」
ーーサーカスっていうより……。
タカオは相づちを打ちながら、その言葉を飲み込んだ。通路が終わると小さな広場のようなところに出る。そこには今にも壊れそうな階段があり、円形に作られた鉄にそうように、目の回るような小さな階段が上まで続いている。
その隣には大きなものを上げるリフトがあるけれど、それには格子があり、まるで猛獣でも閉じ込めるような大きな檻だった。今やリフトの鎖はちぎれ、動く気配はない。
階段を上がりながら、タカオはルースに話しかける。
「サーカスって、いったいどんなことをしてたんだろう。この地下はなんていうか。サーカスっていうよりかは、独房みたいだ」
飲み込んだはずの言葉は、やはり我慢できずに吐き出された。
コメント