契約の森 精霊の瞳を持つ者
3.
説得するはずが、気が付けば説得されている事に気が付くと、タカオの心は揺らいだ。ジェフは目的をもってここへ来た。その目的は、この森を救う事。つまり、森に生きる者達を救う事だ。
けれど、それは無謀な事だった。タカオと共に行動すれば、いつ呪いを受けて命を落とすかも分からない。
「気持ちはよく分かった。でも、君を巻き込みたくない。一緒にいれば……危険な事は分かるだろう?呪いを受けんたんだ。このまま森で、1人でその時を待つよ」
そう言うと、ジェフはタカオの腕から手を放してうつむいた。
「待つって、死ぬってこと?」
そう言うと、ジェフは涙をこらえながら叫んだ。
「タカオは呪いをうけて、そんなことを考えているのかもしれないけど、分かってる?精霊に一番近いのはタカオなんだ!今、精霊との繋がりを持つのはタカオだけなんだよ!」
 
ジェフの頬に大粒の涙が流れた。鼻をすする音が大きく響く。
「もう誰かがいなくなるのは嫌だよ。どうして僕達はいつも狙われるの?いつまで閉じ込もってれば安全になるの?悪くなるばっかりだ!こんなのおかしいよ!このままじゃ、いつ襲撃にあうかも分からない!精霊達さえ戻れば……悪い奴らを倒してくれるんだ!母ちゃんを、みんなを守りたいんだ。父ちゃんの時みたいなこと、もう起きたらダメなんだよ」
そう言うと、ジェフはタカオを叩いた。全然痛くも痒くもないジェフのパンチに、タカオは自分で思っている以上にダメージを受けていた。
精霊に呪われ、仕方がなく森に来たけれど、そこから何をしようと思う事はタカオにはなかった。けれど、目の前にいる小さな男の子は違う。
大切な人を守りたくて、何をすべきなのかちゃんと考えて、それを実行しようとしている。危険だと分かっていながら。そして、守るためにはタカオが必要なのだ。けれどタカオは子供扱いをして追い返そうとしている。
その事に気が付いた時、自分なんかよりジェフのほうがよっぽど、たくましく思えた。タカオはジェフの思うようにしてやりたかった。けれど、どうする事が正しい事なのか分からなくなってしまった。
そんな時、タカオの背後で声がした。
「連れていってあげて」
振り返ると、ジェフの母親が立っていた。手には2つの袋を持って。
「母ちゃん!」
ジェフはそう言ってタカオから離れて母に抱きついた。母はジェフを受け止めると、タカオを見る。
「お願いします」
そう言って深く頭を下げた。タカオは驚いていた。てっきり、ジェフの母は反対すると思っていたのだ。普通の親なら、こんな幼い子供を見ず知らずの奴に預けたりはしないはずだと。
けれど、それは無謀な事だった。タカオと共に行動すれば、いつ呪いを受けて命を落とすかも分からない。
「気持ちはよく分かった。でも、君を巻き込みたくない。一緒にいれば……危険な事は分かるだろう?呪いを受けんたんだ。このまま森で、1人でその時を待つよ」
そう言うと、ジェフはタカオの腕から手を放してうつむいた。
「待つって、死ぬってこと?」
そう言うと、ジェフは涙をこらえながら叫んだ。
「タカオは呪いをうけて、そんなことを考えているのかもしれないけど、分かってる?精霊に一番近いのはタカオなんだ!今、精霊との繋がりを持つのはタカオだけなんだよ!」
 
ジェフの頬に大粒の涙が流れた。鼻をすする音が大きく響く。
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そう言うと、ジェフはタカオを叩いた。全然痛くも痒くもないジェフのパンチに、タカオは自分で思っている以上にダメージを受けていた。
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