Red FIELD - 武装召喚 -
プロローグ
■松明が数本たかれた仄暗い部屋で、豪勢な口髭を蓄えた男が何やら分厚い紙の束を豪快に投げ捨て高笑いをする。
『ハハハハ、 実に愉快だな、今回の宴は!』
■部屋にバラ撒かれた紙を見下ろし更に言葉を続ける。
『真逆とも思うたが、ヤツの息子が選ばれていようとは! 運命を知らずに巻き起こる殺戮の始まりに何を思うだろうかと考えると片腹痛いわ!!』
■その男の言葉には喜びと共に怨みさえこもっているようだった。
■その時、仄暗い部屋にノック音と一筋の光と共に人影が差し込んできた。
■その人物はマスクでも付けているのかくぐもった声で部屋の中にいる人物に話しかける。
『旦那様、選定者のリストは如何だったでしょうか?』
『あぁ、頼もしい宴になりそうだと思うておったところだ』
■しかし、と更に言葉を続ける。
『お主もさぞ歓喜したのではないか? このリストを見た時に一目で分かったぞ、運命とでは片付けられぬ憎悪の鬼が笑う姿を見よう事になるという確信がな』
■男の言葉にその人物は、声色を少し下げ言葉を返す。
『滅相もありません。 選定は至極公平であり、かの者が選ばれているのは偶然だと、、、』
『偶然だと?!!』
■マスクを付けたようなくぐもった声の人物の偶然と言う言葉に男は激高した。
『では何故、子奴にはペッドゥがすでに明記されておる!』
■男はもたれ掛かっていた椅子から勢いよく立ったかと思えば、床にばら撒かれた紙の中の一枚をドンっと足で踏みつける。
■ペッドゥとは従者を意味する。
■本来ならば、選定時の時点では選ばれている事はない存在。
■ペッドゥが付くという事は、その者の力を抑制、制御すると共に、ある意志がその者の死をある程度緩和させる事を意味している。
■死を緩和させる意味は、それを定義した者の一存で決定されるものだとされている。
『ペッドゥの決定は天零蔡団の思し召しなので、私目のような下等な者には計れません』
■くぐもった声の人物は頭を下げ、男のご機嫌を取り繕うように謝罪する。
■しかし、男はフンっと鼻で笑い言葉を返す。
『戯れ言を抜かすようになったなぁ、貴様も。 天零蔡団など子守りを放棄した者の溜まり場に成り下がった集団。 今にこのような選定など出来まい』
■そう言い放ち、くぐもった声の人物のもとへと足を運ぶ男。
■そして、男はその人物との間に拳一つの隙間を残すばかりの距離で言葉を投げる。
『ペッドゥが付こうとも、今はただの子どもに過ぎん。 手段は問わん、目覚めと共に沈めて参れ』
■男の言葉にその人物は下げていた顔を上げ「承知しました」と言った後、瞬き程の一瞬でその姿を消した。
■くぐもった声の人物が消えた後、男は自身も冷静さを取りもどすかのように静かにドアを閉める。
■そして、一人モノ想いに言葉を紡ぐ。
『影縫いも今や伝説。 さて、どう足掻く事になろうかのう、、、。 あやつの意志など無い、あるのは唯一の赤の世界のみぞ』
■男は誰に言うまでもなく言葉を吐き出し、仄暗い部屋で一人、高笑いを響かせるのだった。
― プロローグ / 完 ―
『ハハハハ、 実に愉快だな、今回の宴は!』
■部屋にバラ撒かれた紙を見下ろし更に言葉を続ける。
『真逆とも思うたが、ヤツの息子が選ばれていようとは! 運命を知らずに巻き起こる殺戮の始まりに何を思うだろうかと考えると片腹痛いわ!!』
■その男の言葉には喜びと共に怨みさえこもっているようだった。
■その時、仄暗い部屋にノック音と一筋の光と共に人影が差し込んできた。
■その人物はマスクでも付けているのかくぐもった声で部屋の中にいる人物に話しかける。
『旦那様、選定者のリストは如何だったでしょうか?』
『あぁ、頼もしい宴になりそうだと思うておったところだ』
■しかし、と更に言葉を続ける。
『お主もさぞ歓喜したのではないか? このリストを見た時に一目で分かったぞ、運命とでは片付けられぬ憎悪の鬼が笑う姿を見よう事になるという確信がな』
■男の言葉にその人物は、声色を少し下げ言葉を返す。
『滅相もありません。 選定は至極公平であり、かの者が選ばれているのは偶然だと、、、』
『偶然だと?!!』
■マスクを付けたようなくぐもった声の人物の偶然と言う言葉に男は激高した。
『では何故、子奴にはペッドゥがすでに明記されておる!』
■男はもたれ掛かっていた椅子から勢いよく立ったかと思えば、床にばら撒かれた紙の中の一枚をドンっと足で踏みつける。
■ペッドゥとは従者を意味する。
■本来ならば、選定時の時点では選ばれている事はない存在。
■ペッドゥが付くという事は、その者の力を抑制、制御すると共に、ある意志がその者の死をある程度緩和させる事を意味している。
■死を緩和させる意味は、それを定義した者の一存で決定されるものだとされている。
『ペッドゥの決定は天零蔡団の思し召しなので、私目のような下等な者には計れません』
■くぐもった声の人物は頭を下げ、男のご機嫌を取り繕うように謝罪する。
■しかし、男はフンっと鼻で笑い言葉を返す。
『戯れ言を抜かすようになったなぁ、貴様も。 天零蔡団など子守りを放棄した者の溜まり場に成り下がった集団。 今にこのような選定など出来まい』
■そう言い放ち、くぐもった声の人物のもとへと足を運ぶ男。
■そして、男はその人物との間に拳一つの隙間を残すばかりの距離で言葉を投げる。
『ペッドゥが付こうとも、今はただの子どもに過ぎん。 手段は問わん、目覚めと共に沈めて参れ』
■男の言葉にその人物は下げていた顔を上げ「承知しました」と言った後、瞬き程の一瞬でその姿を消した。
■くぐもった声の人物が消えた後、男は自身も冷静さを取りもどすかのように静かにドアを閉める。
■そして、一人モノ想いに言葉を紡ぐ。
『影縫いも今や伝説。 さて、どう足掻く事になろうかのう、、、。 あやつの意志など無い、あるのは唯一の赤の世界のみぞ』
■男は誰に言うまでもなく言葉を吐き出し、仄暗い部屋で一人、高笑いを響かせるのだった。
― プロローグ / 完 ―
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