竜神に転生失敗されて女体化して不死身にされた件
門出
クラガに如月と不知火を仕上げて貰った翌日。クラガとエリシアは冒険者になったばかりの俺を思い出すような生活を送っていた。
クラガはグロームにつき基礎トレーニングと拳主体の戦闘訓練、エリシアはセリアにつき補助魔法の習得と後衛での立ち回りを学んでいた。クラガは喧嘩程度しか経験が無かったし、エリシアは元々攻撃魔法は使えたしラウド直伝の剣術もあったが実戦経験は皆無だったから、まずは実戦に出ても問題ないように訓練、ということだ。
俺もタイミングが合えば二人の訓練に参加していたが、ほとんどは完成した如月の使用感を確かめるために模擬戦を行っていた。
「取った!」
低い体勢で前方から飛来する火球や風の刃を避けながら這うように駆け正面の男の首元に狙いを定め如月を振り抜くが、男はバックステップで下がり横から身の丈ほどの大盾を携えた大柄な男が割り込み如月を弾く。
「貰ったぁ!」
盾の後ろから飛び出してきた剣を構えた男が、盾に弾かれ体勢を崩している俺の脇を狙って突きを繰り出すが、素早く如月を逆手に持ち替え地面に突き刺し相手の突きを受け止める。そのまま盾を足場に蹴って後方へ下がる。
「……ちぇっ、今のは行けたと思ったんだけどなー」
「実際危なかったですよ」
緊張を解き肩を落とす男――ロイに俺は苦笑いを浮かべながら返事を返す。
「ダイモを壁にして左右どっちかから出てくるか分からないってしたのに、簡単に対応されちまうんだもんな」
「だってあんな大声出しながら出てきたら嫌でも分かりますって」
大盾を背負ってこちらへ歩いてくるダイモの背に回って左右からひょこひょこと顔を出すロイに呆れながら答える。
「全く。貴方そういうところは昔から全然よね」
溜息をつきながら合流したケーデにロイがむっとした表情を浮かべる。
オーガに襲われたあの日。ロイとダイモはケーデの回復魔法で致命傷こそ免れたもののそれなりの大怪我だったことには変わりなく、完全に治るまでかなりの時間を要した。
強敵と出会って命からがら生き延びた冒険者の殆どは引退という道を選ぶ。恐怖心、無力感、理由は様々だろうが分からないではない。ロイとダイモ、ケーデもそうなると皆思っていたが、彼らは残る選択肢を選んだ。強敵との戦闘は例え負けても生き残ったという自負は、さらに強くなると言う選択肢をした者には大きな経験値として得られる。実際彼らはメキメキと実力をつけ、パーティとしてのランクはB、ロイにいたってはまもなくAランクに届こうかと言われている程だ。
「もうすぐアリアと同じ土俵に立てるとは言っても、三対一、しかもアリアは刀だけで魔法禁止ってハンデでようやく良い勝負だもんな」
「とは言っても実践でものを言うのはパーティ間の連携ですから」
「そういえば、アリアちゃんのお友達も最近冒険者になったのよね。どの人達とパーティ組むんだっけ?」
「そうなのか? どんな奴らなんだ?」
「木の剣を使う魔法使いエルフと、大きい籠手の鍛冶師ハイ・ドワーフです」
「……全員前衛脳筋パか?」
「……違うはずです」
クラガはともかくエリシアは違うはず。後衛の訓練してたし。うん。
「じゃあ編成は私たちと同じかしら。ダイモは防御専門の前衛だけれど、その鍛冶師の人が攻撃の前衛に変わる感じ?」
「どうでしょう。機動力はあるから中衛でって感じですかね。私も身体強化魔法である程度自由に動けますけど、クラガさん一人に前衛っていうのはちょっと危ないですし」
「そうだよなー。俺らもそうだけど、やっぱ三人だとどっかが手薄になるもんな。隙を突かれてケーデに集中されると結構やばい」
やっぱロイ達もそうなのか。ドラグニールも前衛があと一人って言ってたけど、前衛に限らずあと一人はいた方が良いんだな。
「その二人の訓練の具合はどうなんだ? 三対三で模擬戦とかやってみようぜ」
「良いですね。結構順調に進んでて、この間グローム教官と模擬戦して結構良い感じでした」
「ああ……あのゴリラ教官……」
グロームの名前を口にした途端、ロイとダイモが暗い表情をした。
「信じらんねぇよ……俺はともかくダイモを軽々殴り飛ばしたんだぜ……身体強化魔法無しで……腕力だけで……」
最早それゴリラどころじゃねぇよ。
「アリアちゃん、今日はこの後どうするの? もしよかったらお茶でもどうかしら。この間美味しいケーキ屋さん見つけたのよ」
「是非……って言いたいんですけど、今日はこの後その二人と初任務なんですよ。簡単な採取任務なんですけど、ちょっと遠くて帰るのも遅くなるのでまたの機会に誘って下さい」
「残念。初任務、頑張ってね」
「まっ、アリアがいりゃ大抵は余裕だろ」
そう言うケーデとロイ、頷くダイモに別れを告げ、俺は一度ギルドの受付フロアへ移動した。
「まだ来ては無いかな……」
既に任務は受注済み。後は二人と合流してギルドに出発の受付をするだけだ。
「おーい!」
「お待たせしました」
手持ち無沙汰に待っていると、やがて奥からクラガとエリシアが駆け寄ってきた。
「私も今来たところです。じゃあ早速!」
「行くか!」
「ええ!」
俺たちは意気揚々と初めての任務へと繰り出した。
クラガはグロームにつき基礎トレーニングと拳主体の戦闘訓練、エリシアはセリアにつき補助魔法の習得と後衛での立ち回りを学んでいた。クラガは喧嘩程度しか経験が無かったし、エリシアは元々攻撃魔法は使えたしラウド直伝の剣術もあったが実戦経験は皆無だったから、まずは実戦に出ても問題ないように訓練、ということだ。
俺もタイミングが合えば二人の訓練に参加していたが、ほとんどは完成した如月の使用感を確かめるために模擬戦を行っていた。
「取った!」
低い体勢で前方から飛来する火球や風の刃を避けながら這うように駆け正面の男の首元に狙いを定め如月を振り抜くが、男はバックステップで下がり横から身の丈ほどの大盾を携えた大柄な男が割り込み如月を弾く。
「貰ったぁ!」
盾の後ろから飛び出してきた剣を構えた男が、盾に弾かれ体勢を崩している俺の脇を狙って突きを繰り出すが、素早く如月を逆手に持ち替え地面に突き刺し相手の突きを受け止める。そのまま盾を足場に蹴って後方へ下がる。
「……ちぇっ、今のは行けたと思ったんだけどなー」
「実際危なかったですよ」
緊張を解き肩を落とす男――ロイに俺は苦笑いを浮かべながら返事を返す。
「ダイモを壁にして左右どっちかから出てくるか分からないってしたのに、簡単に対応されちまうんだもんな」
「だってあんな大声出しながら出てきたら嫌でも分かりますって」
大盾を背負ってこちらへ歩いてくるダイモの背に回って左右からひょこひょこと顔を出すロイに呆れながら答える。
「全く。貴方そういうところは昔から全然よね」
溜息をつきながら合流したケーデにロイがむっとした表情を浮かべる。
オーガに襲われたあの日。ロイとダイモはケーデの回復魔法で致命傷こそ免れたもののそれなりの大怪我だったことには変わりなく、完全に治るまでかなりの時間を要した。
強敵と出会って命からがら生き延びた冒険者の殆どは引退という道を選ぶ。恐怖心、無力感、理由は様々だろうが分からないではない。ロイとダイモ、ケーデもそうなると皆思っていたが、彼らは残る選択肢を選んだ。強敵との戦闘は例え負けても生き残ったという自負は、さらに強くなると言う選択肢をした者には大きな経験値として得られる。実際彼らはメキメキと実力をつけ、パーティとしてのランクはB、ロイにいたってはまもなくAランクに届こうかと言われている程だ。
「もうすぐアリアと同じ土俵に立てるとは言っても、三対一、しかもアリアは刀だけで魔法禁止ってハンデでようやく良い勝負だもんな」
「とは言っても実践でものを言うのはパーティ間の連携ですから」
「そういえば、アリアちゃんのお友達も最近冒険者になったのよね。どの人達とパーティ組むんだっけ?」
「そうなのか? どんな奴らなんだ?」
「木の剣を使う魔法使いエルフと、大きい籠手の鍛冶師ハイ・ドワーフです」
「……全員前衛脳筋パか?」
「……違うはずです」
クラガはともかくエリシアは違うはず。後衛の訓練してたし。うん。
「じゃあ編成は私たちと同じかしら。ダイモは防御専門の前衛だけれど、その鍛冶師の人が攻撃の前衛に変わる感じ?」
「どうでしょう。機動力はあるから中衛でって感じですかね。私も身体強化魔法である程度自由に動けますけど、クラガさん一人に前衛っていうのはちょっと危ないですし」
「そうだよなー。俺らもそうだけど、やっぱ三人だとどっかが手薄になるもんな。隙を突かれてケーデに集中されると結構やばい」
やっぱロイ達もそうなのか。ドラグニールも前衛があと一人って言ってたけど、前衛に限らずあと一人はいた方が良いんだな。
「その二人の訓練の具合はどうなんだ? 三対三で模擬戦とかやってみようぜ」
「良いですね。結構順調に進んでて、この間グローム教官と模擬戦して結構良い感じでした」
「ああ……あのゴリラ教官……」
グロームの名前を口にした途端、ロイとダイモが暗い表情をした。
「信じらんねぇよ……俺はともかくダイモを軽々殴り飛ばしたんだぜ……身体強化魔法無しで……腕力だけで……」
最早それゴリラどころじゃねぇよ。
「アリアちゃん、今日はこの後どうするの? もしよかったらお茶でもどうかしら。この間美味しいケーキ屋さん見つけたのよ」
「是非……って言いたいんですけど、今日はこの後その二人と初任務なんですよ。簡単な採取任務なんですけど、ちょっと遠くて帰るのも遅くなるのでまたの機会に誘って下さい」
「残念。初任務、頑張ってね」
「まっ、アリアがいりゃ大抵は余裕だろ」
そう言うケーデとロイ、頷くダイモに別れを告げ、俺は一度ギルドの受付フロアへ移動した。
「まだ来ては無いかな……」
既に任務は受注済み。後は二人と合流してギルドに出発の受付をするだけだ。
「おーい!」
「お待たせしました」
手持ち無沙汰に待っていると、やがて奥からクラガとエリシアが駆け寄ってきた。
「私も今来たところです。じゃあ早速!」
「行くか!」
「ええ!」
俺たちは意気揚々と初めての任務へと繰り出した。
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コメント
ノベルバユーザー318086
こういうのすごく好きです
頑張ってください