竜神に転生失敗されて女体化して不死身にされた件
襲来
晴れた昼下がり。俺はエリシアとクレープの様な食べ物を手に大通りを歩いていた。
「不思議ね。ただ味だけでいえばいつも屋敷で食べてるものの方が美味しいはずなのに、ただ友達と一緒というだけで何よりも美味しく感じるわ」
「今さらっと羨ましい発言が出た気がするけど……意外とその程度でもバレないものなんですね」
そういってエリシアの服装を改めてみる。服はどこにでも売っているような普通の白いワンピース。白いつば広の帽とフレームだけの眼鏡。
貴族ということである程度の変装は必要だと思っていたが、あまり表に出ないことが幸いしこの程度でも誰かに気づかれた様子はない。
「にしてもよく許可もらえましたよね。ちょっと外に出るにしてもあんなに従者の人が隠れてついてきてたのに、今日は誰も来てる気配無いですし」
今日の朝ギルドでいつも通り暇を持て余していると、変装したエリシアが来て誘ってきたのだ。まあ国外よりは危険はないだろうけど、それでも貴族だからある程度制限が付きそうだけれど……。
「ええ。それはそうですわよ。だって秘密で抜け出してきたんですもの」
「……えっ」
思わず手に持ったクレープを落としそうになった。ギギギと音のなりそうなぎこちない動きでエリシアの方を見ると、可愛く舌を出した表情を浮かべていた。
ええい、可愛いな畜生。
「大丈夫なんですかそれ」
「帰ったら怒られちゃうかもしれないわね。でもたまにはいいのよ」
そう言ってクレープの最後の一欠けらを口に放り込む。
まあ周りの感じからして危険もないだろうし、怒られるのは俺じゃないし……いや、俺が連れ出したってことになって怒られるのか? ……別にいっか。偶にはうんと楽しむことも大切だな!
「エリシアさん、あっちに美味しいケーキ屋さんがあるんですよ!」
「まあ楽しみ。行きましょう」
俺とエリシアは手を繋いで、歩き出した。
ケーキ屋で甘いケーキを食べ、アクセサリー店で色々な宝石をあしらった高価な物をプレゼントすると言われなんとか断って、雑貨屋でよくわからないものを見て笑いあって。
思えばこの世界に来て初めて友達と休日を満喫したのかもしれない。
「ふふっ。こんなに楽しい日は初めて!」
「私もです」
一通り満喫し、俺たちは噴水のある公園のベンチに座って休憩していた。
結構歩いた気がするなあ。まだまだ知らないところあったし、この噴水公園も知らなかったしなあ。
「……ねえ。ねえったらアリア!」
「あっはい! すいませんぼうっとしてました……」
しまった。つい何も考えず噴水をぼーっと見ていた。
「もう。これからどうします?」
「うーん。私もこの辺りあまり知らないんですよね」
「だったら服を身に行きません? アリア、貴女あまり服を持ってないでしょう?」
「えっと……まあ……」
確かに持ってるのは動きやすい訓練用の服と任務用の装備だけだけど……だってなんかまだ女物の服買いに行くって違和感あるし……。
「でしたら! 私、前からアリアに似合いそうな服を考えていたんです! さあ、行きますわよ!」
急に活き活きと顔を輝かせて立ち上がるエリシア。
「ちょ、ちょっと待って。もしかしてその服って……フリフリ?」
「ええ! とっても可愛らしいものを探しますわよ!」
「それだけは! フリフリの覚悟だけはまだついてないんです!」
「そんなもの、一旦着てしまえば自然とつきます!」
抵抗虚しく、フリフリでレースなドレスが数多く並ぶ店で着せ替え人形と化した俺だった。
「やはり色はピンク系ですわね。でも色は濃すぎない薄いもの。スカートはふわりと広がっているもので、長さは迷いますわね。ロングかミニか……」
「あ、あのエリシアさん……?」
「あまり装飾がありすぎるものは似合わないですが、レースに関しては別ですわね。あればあるほど可愛い気がしますわ」
「エリさーん。エリ様ー?」
「ああもう駄目ですわ! アリア、もう一度試着しますわよ! いっそこの店のドレスを全て着ますわよ!」
「もう好きにして……」
結局着せ替え人形から人間に戻れたのは二時間後だった。
「あ、あの……やっぱこのまま出るんですか?」
「勿論ですわ。着替えようとしても無駄ですわ。私が預かってますもの」
「……ええい!」
もうどうにでもなれと、思い切って俺は店から出た。
薄いピンク色。緩いウェーブのかかった膝より少し長いスカートにはこれでもかとレースがあしらわれている。端的に言えばめっちゃ可愛いドレスだ。生地とかも多分良い奴だし、ドレス自体はほんと可愛い。ただそれを俺が着ている事実がちょっと辛い。
――……っ! ククっ……。
おいドラグニール。笑ってんじゃねぇぞテメェ。
――良いではないか。似合って……クク、おる……ぞ……。
いっそもう笑ってくれよ。
――クハハハハハハハハハハハハハハ!
やっぱ笑いすぎだテメェこの野郎!
「どうしましたアリア?」
「いえその……ちょっと恥ずかしくて」
「ふふ。似合ってますわよ」
似合ってしまってることも逆になんか辛いな。
――ハハハ! ……ああそうだ。あまりに滑け……似合っておるから言うのを忘れとったが。
おい今滑稽って言ったか? 言ったな?
――後ろから魔法撃たれておるぞ。
テメェ後で覚えて……待て今なんつっ――。
「魔障壁!」
途中でドラグニールへの言葉を打ち切り無我夢中で後ろに魔法用のシールドを張る。その瞬間、シールドに火球がぶつかった。
「な、なんですの!?」
「分かんないけど、取り敢えず逃げます!」
俺はエリシアの手を取り走り出した。ちらりと後ろを見たが、煙で相手の姿は良く見えなかった。
まあ逆に言えば今は相手も俺達が見えないってことだ。
この隙に俺たちは路地裏に入り、エリシアを担いで跳躍して建物の屋上に登った。
「どうして屋上に? 逃げた方が良いのでは……」
「そうですけど、せめて相手の姿くらいは確認しておいた方が逃げやすいですし。この高さなら周りに潜んでいても見つけやす……いっ!?」
慎重に顔を出した瞬間、地上にいた相手がこちらを見ていた。白いローブ。フードの中の顔は何か模様の書かれた赤い仮面で隠されていた。
俺は弾かれたように引き返しエリシアの手を引いて走り出した。
くっそ。なんで気づかれた! っつうか何者だあいつ等! ……いや、多分狙いはエリシア何だろうけど……やっぱ変装はちゃんとすべきだな。
「エリシアさん、あいつ等に……っていうかエリシアさんを狙うような奴らに心当たりありますか!?」
「正直色々あるのですが……ここまで強行に出てくるのようなものは……」
つまり手掛かりなし……。というかあんな目立つ格好で白昼堂々襲ってくるなんてまともな奴ではないよな……いや違う、奴等か!
「エリシアさんちょっと我慢してて!」
俺はエリシアさんを担ぎ、一気に加速。その瞬間、さっきまでいた所に衝撃波のようなものが左右から襲い掛かってきた。
少なくとも後ろと左右の計三人。多分もっといるだろうな。……ああもう、ドレス動きにくいな!
慣れないドレスにもたつきながらもなんとか走り続け、逃げる先を考える。
相手は大通りでも関係なく襲ってくる。人の多いところは避けた方が良い。ギルドに行けば武器も戦える人も……いやここからじゃ遠すぎる。どこに……そうか!
俺は一つの場所を思いつき、方向を無理矢理急転換しその場所へ向かった。
「不思議ね。ただ味だけでいえばいつも屋敷で食べてるものの方が美味しいはずなのに、ただ友達と一緒というだけで何よりも美味しく感じるわ」
「今さらっと羨ましい発言が出た気がするけど……意外とその程度でもバレないものなんですね」
そういってエリシアの服装を改めてみる。服はどこにでも売っているような普通の白いワンピース。白いつば広の帽とフレームだけの眼鏡。
貴族ということである程度の変装は必要だと思っていたが、あまり表に出ないことが幸いしこの程度でも誰かに気づかれた様子はない。
「にしてもよく許可もらえましたよね。ちょっと外に出るにしてもあんなに従者の人が隠れてついてきてたのに、今日は誰も来てる気配無いですし」
今日の朝ギルドでいつも通り暇を持て余していると、変装したエリシアが来て誘ってきたのだ。まあ国外よりは危険はないだろうけど、それでも貴族だからある程度制限が付きそうだけれど……。
「ええ。それはそうですわよ。だって秘密で抜け出してきたんですもの」
「……えっ」
思わず手に持ったクレープを落としそうになった。ギギギと音のなりそうなぎこちない動きでエリシアの方を見ると、可愛く舌を出した表情を浮かべていた。
ええい、可愛いな畜生。
「大丈夫なんですかそれ」
「帰ったら怒られちゃうかもしれないわね。でもたまにはいいのよ」
そう言ってクレープの最後の一欠けらを口に放り込む。
まあ周りの感じからして危険もないだろうし、怒られるのは俺じゃないし……いや、俺が連れ出したってことになって怒られるのか? ……別にいっか。偶にはうんと楽しむことも大切だな!
「エリシアさん、あっちに美味しいケーキ屋さんがあるんですよ!」
「まあ楽しみ。行きましょう」
俺とエリシアは手を繋いで、歩き出した。
ケーキ屋で甘いケーキを食べ、アクセサリー店で色々な宝石をあしらった高価な物をプレゼントすると言われなんとか断って、雑貨屋でよくわからないものを見て笑いあって。
思えばこの世界に来て初めて友達と休日を満喫したのかもしれない。
「ふふっ。こんなに楽しい日は初めて!」
「私もです」
一通り満喫し、俺たちは噴水のある公園のベンチに座って休憩していた。
結構歩いた気がするなあ。まだまだ知らないところあったし、この噴水公園も知らなかったしなあ。
「……ねえ。ねえったらアリア!」
「あっはい! すいませんぼうっとしてました……」
しまった。つい何も考えず噴水をぼーっと見ていた。
「もう。これからどうします?」
「うーん。私もこの辺りあまり知らないんですよね」
「だったら服を身に行きません? アリア、貴女あまり服を持ってないでしょう?」
「えっと……まあ……」
確かに持ってるのは動きやすい訓練用の服と任務用の装備だけだけど……だってなんかまだ女物の服買いに行くって違和感あるし……。
「でしたら! 私、前からアリアに似合いそうな服を考えていたんです! さあ、行きますわよ!」
急に活き活きと顔を輝かせて立ち上がるエリシア。
「ちょ、ちょっと待って。もしかしてその服って……フリフリ?」
「ええ! とっても可愛らしいものを探しますわよ!」
「それだけは! フリフリの覚悟だけはまだついてないんです!」
「そんなもの、一旦着てしまえば自然とつきます!」
抵抗虚しく、フリフリでレースなドレスが数多く並ぶ店で着せ替え人形と化した俺だった。
「やはり色はピンク系ですわね。でも色は濃すぎない薄いもの。スカートはふわりと広がっているもので、長さは迷いますわね。ロングかミニか……」
「あ、あのエリシアさん……?」
「あまり装飾がありすぎるものは似合わないですが、レースに関しては別ですわね。あればあるほど可愛い気がしますわ」
「エリさーん。エリ様ー?」
「ああもう駄目ですわ! アリア、もう一度試着しますわよ! いっそこの店のドレスを全て着ますわよ!」
「もう好きにして……」
結局着せ替え人形から人間に戻れたのは二時間後だった。
「あ、あの……やっぱこのまま出るんですか?」
「勿論ですわ。着替えようとしても無駄ですわ。私が預かってますもの」
「……ええい!」
もうどうにでもなれと、思い切って俺は店から出た。
薄いピンク色。緩いウェーブのかかった膝より少し長いスカートにはこれでもかとレースがあしらわれている。端的に言えばめっちゃ可愛いドレスだ。生地とかも多分良い奴だし、ドレス自体はほんと可愛い。ただそれを俺が着ている事実がちょっと辛い。
――……っ! ククっ……。
おいドラグニール。笑ってんじゃねぇぞテメェ。
――良いではないか。似合って……クク、おる……ぞ……。
いっそもう笑ってくれよ。
――クハハハハハハハハハハハハハハ!
やっぱ笑いすぎだテメェこの野郎!
「どうしましたアリア?」
「いえその……ちょっと恥ずかしくて」
「ふふ。似合ってますわよ」
似合ってしまってることも逆になんか辛いな。
――ハハハ! ……ああそうだ。あまりに滑け……似合っておるから言うのを忘れとったが。
おい今滑稽って言ったか? 言ったな?
――後ろから魔法撃たれておるぞ。
テメェ後で覚えて……待て今なんつっ――。
「魔障壁!」
途中でドラグニールへの言葉を打ち切り無我夢中で後ろに魔法用のシールドを張る。その瞬間、シールドに火球がぶつかった。
「な、なんですの!?」
「分かんないけど、取り敢えず逃げます!」
俺はエリシアの手を取り走り出した。ちらりと後ろを見たが、煙で相手の姿は良く見えなかった。
まあ逆に言えば今は相手も俺達が見えないってことだ。
この隙に俺たちは路地裏に入り、エリシアを担いで跳躍して建物の屋上に登った。
「どうして屋上に? 逃げた方が良いのでは……」
「そうですけど、せめて相手の姿くらいは確認しておいた方が逃げやすいですし。この高さなら周りに潜んでいても見つけやす……いっ!?」
慎重に顔を出した瞬間、地上にいた相手がこちらを見ていた。白いローブ。フードの中の顔は何か模様の書かれた赤い仮面で隠されていた。
俺は弾かれたように引き返しエリシアの手を引いて走り出した。
くっそ。なんで気づかれた! っつうか何者だあいつ等! ……いや、多分狙いはエリシア何だろうけど……やっぱ変装はちゃんとすべきだな。
「エリシアさん、あいつ等に……っていうかエリシアさんを狙うような奴らに心当たりありますか!?」
「正直色々あるのですが……ここまで強行に出てくるのようなものは……」
つまり手掛かりなし……。というかあんな目立つ格好で白昼堂々襲ってくるなんてまともな奴ではないよな……いや違う、奴等か!
「エリシアさんちょっと我慢してて!」
俺はエリシアさんを担ぎ、一気に加速。その瞬間、さっきまでいた所に衝撃波のようなものが左右から襲い掛かってきた。
少なくとも後ろと左右の計三人。多分もっといるだろうな。……ああもう、ドレス動きにくいな!
慣れないドレスにもたつきながらもなんとか走り続け、逃げる先を考える。
相手は大通りでも関係なく襲ってくる。人の多いところは避けた方が良い。ギルドに行けば武器も戦える人も……いやここからじゃ遠すぎる。どこに……そうか!
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