オタク気質が災いしてお妃候補になりました
5-12 令嬢と王女
お妃候補が正式にお披露目される日がきた。
アリーシアは前日から支度におわれ、ドレスを新調した。今回もグリーンのドレスだがやわらかい色味のパステル調の色合いのものである。白いレースが胸元に添えられ、昼間の茶会にふさわしいドレスだ。 アリーシアは城でお妃候補の面々と会うことになり、そこでエドワードの妹王女にも会えることになっていた。
アリーシアは髪の毛をメイドに編み込んでもらい、エドワードに返してもらった髪飾りを髪に添えた。 この髪飾りは決意の意味を込めている。お妃候補になることのだ。不本意であるが、今後数年において、お妃にふさわしいか総合的に判断されるのである。お妃にならなかったとしても、これはいい経験になるだろう。人に注目され、自分という人間がどう成長していくのか。厳しい道のりではあるが、兄が言ったようにアリーシアにしかできないことがあるかもしれない。
馬車にのり城へ移動する。そして城に通された時には、お茶会らしく城の中庭だった。中庭はとても美しく、アリーシアの屋敷の庭の何倍も大きかった。木を剪定して動物などのオブジェとしておかれているものもあった。さすが国一番の庭と言われるだけある。
「落ち着くのよ、アリーシア。私ならきっとやれる。…………たぶん」
アリーシアは顔合わせする令嬢達のことを思い、緊張が高まった。これからライバル関係になるだろう令嬢達。考えられるのは、きっと嫌味を言われることだ。今までアポロから聞いているかぎり、母の身分が低いことを蔑む貴族が多かったそうだ。ここでも、もしかしたら馬鹿にされるかもしれない。
今回候補になる令嬢達は、身分も血統も財力も、すべてにおいて遜色ない面々であるという。アリーシアはそのなかでは劣るかもしれない。だが、アリーシアにとっては競争ではない。アリーシアは自分のできることをして、そのなかで今後やりたいことを見つけ、自分なりの選択をしたい。
「アリーシア様、こちらです」
ジャンが迎えに来てくれて、会場に案内される。そこには美しく着飾った令嬢達5人が既にいた。見たことがある人もいれば、初対面の人もいた。アリーシアはそれぞれに笑みを浮かべ、挨拶をした。最初が肝心である。
「アリーシアです。今日はいいお天気ですね。お茶会ができること、楽しみにしていました」
アリーシアが席についた面々に話しかけると、やはり選ばれた令嬢達である。みなとても綺麗であり、気品がある人だった。アリーシアの世間話にのるように話し始める。しばらくすれば、ジャンに通されエドワードが茶会に参加する。
エドワードを囲み、お妃候補がそれぞれ自己紹介をする。
寄宿舎に入り、同じ学校で学び、そして同じお妃候補として切磋琢磨していくのである。
お妃候補筆頭は、大臣の娘。彼女の名前はビクトリア。ビクトリアは楚々とした美人であり、大臣の愛娘であるらしい。口うるさく、野心家である大臣とは似てはいない様子だ。おとなしく、気品あるご令嬢であるが、いうべき意見ははっきり言う女性だった。
次は、北の貴族。彼女の名前はアナスタシア。彼女は北の貴族の特徴を受け継ぎ、金の髪、青い瞳である。色がとても白く、寒さの厳しい地方であるので、思慮深くクールな女性であった。少しアリーシアの母に似ている部分もあった。
三人目は南の貴族。彼女の名前はルイーサ。彼女は南の貴族らしく、褐色の肌であり、髪の毛は黒い。南の地方の特徴を受け継いでいた。彼女は明るく、物怖じしない性格で、女性ながら騎士として務めをしているらしい。
四人目は西の貴族。彼女の名前はロレーナ。ルイーサの双子の妹という。彼女らの両親は南と西の侯爵家の跡継ぎ同士で婚姻関係があり、現在もそれぞれが地方で国を治めながらも、夫婦として両親は暮らしているのだという。ロレーナは肌色が白く、髪の毛は茶色であった。明るく商人としての才覚に恵まれ、ルイーサともとても仲がよいようだ。
五人目の東の貴族。彼女はユーリ。文化はほかの地域とは違う、独自の成長をしている地域であり、不思議な魅力のある女性だった。寡黙であるが、ほかの人との距離感をとても大切にしていて、気の利く女性だ。その仕草からも賢さが溢れていた。
彼女たちの思惑があるだろうが、和やかにお茶会が行われた。エドワードもとても紳士な振る舞いで、遠方からきている令嬢達をねぎらった言葉もかけていた。アリーシアも悪意を感じることもなく、最初の顔合わせはまずまずであったと感じられた。それぞれの地域のこともアリーシアは聞きたいこともあるので、これから自分の興味関心を満たすためにも、いろいろな話がきくことができたらとも思った。
アリーシアはそのあとエドワードたちに連れられ、生まれたばかりの王女の間に会うことになった。令嬢達も続いていく。
「王家の新しい仲間、クリスティーナだ」
アリーシアはクリスティーナ王女を拝顔した。とても可愛らしい赤ちゃんである。しかしアリーシアはとても懐かしい感覚に襲われた。誰だろう、この感覚は。少し頭が痛くなった。
クリスティーナ王女はクリクリとした目で周囲を興味深そうに見つめた。そしてそれぞれの顔を見ると、アリーシアを見つめた。そしてじっとアリーシアを見つめたままであった。アリーシアもクリスティーナ王女を見つめた。
アリーシアとクリスティーナ、初めて出会ったはずなのに他人とは思えなかった。
懐かしい感じは、もしかして前世の妹に雰囲気が似ているからかもしれない。アリーシアはクリスティーナ王女との不思議な縁を感じながら、その場を下がった。
そして数日後お妃候補として、それぞれの名前が正式に発表が国中に出されるのである。
アリーシアは前日から支度におわれ、ドレスを新調した。今回もグリーンのドレスだがやわらかい色味のパステル調の色合いのものである。白いレースが胸元に添えられ、昼間の茶会にふさわしいドレスだ。 アリーシアは城でお妃候補の面々と会うことになり、そこでエドワードの妹王女にも会えることになっていた。
アリーシアは髪の毛をメイドに編み込んでもらい、エドワードに返してもらった髪飾りを髪に添えた。 この髪飾りは決意の意味を込めている。お妃候補になることのだ。不本意であるが、今後数年において、お妃にふさわしいか総合的に判断されるのである。お妃にならなかったとしても、これはいい経験になるだろう。人に注目され、自分という人間がどう成長していくのか。厳しい道のりではあるが、兄が言ったようにアリーシアにしかできないことがあるかもしれない。
馬車にのり城へ移動する。そして城に通された時には、お茶会らしく城の中庭だった。中庭はとても美しく、アリーシアの屋敷の庭の何倍も大きかった。木を剪定して動物などのオブジェとしておかれているものもあった。さすが国一番の庭と言われるだけある。
「落ち着くのよ、アリーシア。私ならきっとやれる。…………たぶん」
アリーシアは顔合わせする令嬢達のことを思い、緊張が高まった。これからライバル関係になるだろう令嬢達。考えられるのは、きっと嫌味を言われることだ。今までアポロから聞いているかぎり、母の身分が低いことを蔑む貴族が多かったそうだ。ここでも、もしかしたら馬鹿にされるかもしれない。
今回候補になる令嬢達は、身分も血統も財力も、すべてにおいて遜色ない面々であるという。アリーシアはそのなかでは劣るかもしれない。だが、アリーシアにとっては競争ではない。アリーシアは自分のできることをして、そのなかで今後やりたいことを見つけ、自分なりの選択をしたい。
「アリーシア様、こちらです」
ジャンが迎えに来てくれて、会場に案内される。そこには美しく着飾った令嬢達5人が既にいた。見たことがある人もいれば、初対面の人もいた。アリーシアはそれぞれに笑みを浮かべ、挨拶をした。最初が肝心である。
「アリーシアです。今日はいいお天気ですね。お茶会ができること、楽しみにしていました」
アリーシアが席についた面々に話しかけると、やはり選ばれた令嬢達である。みなとても綺麗であり、気品がある人だった。アリーシアの世間話にのるように話し始める。しばらくすれば、ジャンに通されエドワードが茶会に参加する。
エドワードを囲み、お妃候補がそれぞれ自己紹介をする。
寄宿舎に入り、同じ学校で学び、そして同じお妃候補として切磋琢磨していくのである。
お妃候補筆頭は、大臣の娘。彼女の名前はビクトリア。ビクトリアは楚々とした美人であり、大臣の愛娘であるらしい。口うるさく、野心家である大臣とは似てはいない様子だ。おとなしく、気品あるご令嬢であるが、いうべき意見ははっきり言う女性だった。
次は、北の貴族。彼女の名前はアナスタシア。彼女は北の貴族の特徴を受け継ぎ、金の髪、青い瞳である。色がとても白く、寒さの厳しい地方であるので、思慮深くクールな女性であった。少しアリーシアの母に似ている部分もあった。
三人目は南の貴族。彼女の名前はルイーサ。彼女は南の貴族らしく、褐色の肌であり、髪の毛は黒い。南の地方の特徴を受け継いでいた。彼女は明るく、物怖じしない性格で、女性ながら騎士として務めをしているらしい。
四人目は西の貴族。彼女の名前はロレーナ。ルイーサの双子の妹という。彼女らの両親は南と西の侯爵家の跡継ぎ同士で婚姻関係があり、現在もそれぞれが地方で国を治めながらも、夫婦として両親は暮らしているのだという。ロレーナは肌色が白く、髪の毛は茶色であった。明るく商人としての才覚に恵まれ、ルイーサともとても仲がよいようだ。
五人目の東の貴族。彼女はユーリ。文化はほかの地域とは違う、独自の成長をしている地域であり、不思議な魅力のある女性だった。寡黙であるが、ほかの人との距離感をとても大切にしていて、気の利く女性だ。その仕草からも賢さが溢れていた。
彼女たちの思惑があるだろうが、和やかにお茶会が行われた。エドワードもとても紳士な振る舞いで、遠方からきている令嬢達をねぎらった言葉もかけていた。アリーシアも悪意を感じることもなく、最初の顔合わせはまずまずであったと感じられた。それぞれの地域のこともアリーシアは聞きたいこともあるので、これから自分の興味関心を満たすためにも、いろいろな話がきくことができたらとも思った。
アリーシアはそのあとエドワードたちに連れられ、生まれたばかりの王女の間に会うことになった。令嬢達も続いていく。
「王家の新しい仲間、クリスティーナだ」
アリーシアはクリスティーナ王女を拝顔した。とても可愛らしい赤ちゃんである。しかしアリーシアはとても懐かしい感覚に襲われた。誰だろう、この感覚は。少し頭が痛くなった。
クリスティーナ王女はクリクリとした目で周囲を興味深そうに見つめた。そしてそれぞれの顔を見ると、アリーシアを見つめた。そしてじっとアリーシアを見つめたままであった。アリーシアもクリスティーナ王女を見つめた。
アリーシアとクリスティーナ、初めて出会ったはずなのに他人とは思えなかった。
懐かしい感じは、もしかして前世の妹に雰囲気が似ているからかもしれない。アリーシアはクリスティーナ王女との不思議な縁を感じながら、その場を下がった。
そして数日後お妃候補として、それぞれの名前が正式に発表が国中に出されるのである。
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